パ・リーグ史上初となる、「4番・投手」で今季ラスト登板に臨んだ大谷選手は、投手として最速162キロの速球を軸にオリックス打線に2本の安打しか許さず、今季初の完封勝利。打者としては後の先制打を呼び込む安打を放つなど「二刀流」として最高の形で応えた。
1回、1番・T-岡田選手に対し、初球、2球目と158キロの剛速球を連発し、二ゴロに打ち取ると、続く2番の大城選手は141キロのフォークで空振り三振。3番・小谷野選手も158キロの速球で一ゴロに打ち取り、わずか7球で危なげなくオリックス打線を無失点に抑えた。続く1回裏に大谷選手は、4番打者として2死2塁といきなり先制の好機で打席に入ったものの、ここは一ゴロに倒れ、自身のバットで先制とはならず。
2回は5番・中島選手を驚異的な変化量のスライダーで空振り三振に打ち取ると、6番・武田選手も162キロの剛速球で2者連続となる空振り三振に斬った。3回も2三振を奪って3者凡退。3イニングスを投げて、27球、被安打0、奪三振5、無失点と文句なしの完璧な立ち上がりを見せた。
4回、2巡目を迎えても安定した投球は揺るがず。1死から2番・大城選手をスライダーで空振り三振に打ち取ると、3番・小谷野選手は外角への159キロの直球で2者連続三振。投球テンポの良さを打撃にも生かし、第2打席ではオリックス先発・金子千尋投手の直球を綺麗に中前にはじき返して、この試合初の安打を放った。この一打を皮切りに打線の連打で2死満塁の好機を作ると、7番・大田選手が走者一掃の適時二塁打を放ち、大谷選手に3点の援護を送った。
5回、4番・マレーロ選手に初安打を許し、続く中島選手に四球を与えて無死1,2塁とこの試合初めて得点圏に走者を背負う。しかし、ここからまた一段階ギアを上げた大谷選手は、160キロ前後の直球と切れ味抜群のスライダーで後続を危なげなく打ち取り、無失点で切り抜けた。
続く6回も2死1,2塁のピンチを背負ったものの、4番・マレーロ選手を156キロの直球で一邪飛。今季自身最長の7回のマウンドにも上がると、直球、変化球共に全く疲れを感じさせず、この試合5度目の3者凡退に打ち取った。
8回は1死3塁と再びピンチを迎えたが、1番・T-岡田選手を160キロの直球でこの試合10個目の三振に仕留めるなどオリックス打線をねじ伏せ、無失点。今季初の完封勝利を目指して9回のマウンドにも上がると、四球で走者を得点圏に背負いながらも、後続を併殺に打ち取って試合終了。9回124球、被安打2、与四球5、10奪三振の圧巻の投球で今季初の完封勝利を手にした。
球史に残る「4番・投手」としての起用でしっかりと結果を残した大谷選手は、本拠地最終戦に集ったファンの心に深く刻まれたことだろう。進化を続ける大谷選手が来季以降、どんな驚きを提供してくれるのか。
記事提供: