2200万円増で契約更改、大台へ「現実味を帯びてきたかな。28歳にして」
北海道日本ハムの大田泰示外野手が30日、札幌の球団事務所で契約更改交渉に臨み、2200万円増の6500万円でサインした(金額は推定)。
2100万円から4300万円、6500万円と3年連続でつかんだ大幅アップに思わず笑みがこぼれた。「アップです。金額? 言いません。1億まで行けたら自分で胸張って言いたいですけど、まだまだの選手なので」。具体的な金額を自ら明かすことはなかったが、来年の更改での大台到達は見えてきた。「届きそうだなぁ、みたいな感じですね。現実味を帯びてきたかな。28歳にして」と充実感たっぷりに語った。
巨人から移籍2年目の今季は、104試合383打数105安打59打点14本塁打3盗塁、打率.274の好成績を残した。7月8日の千葉ロッテ戦で死球を受けて左手第5中手骨を骨折。1か月半戦列を離れたため、規定打席には14打席届かず、本塁打も昨季より1本少ないものの、打率と打点は昨季を上回った。
バントをしない2番という難しい役割を任されたことで、打者としてレベルアップした。「野球の難しさを痛感しながら、自分の技術、バッティングの基礎というものがしっかりできたんじゃないかなと思います」と今季を振り返る。
初めて規定打席に到達した昨季の経験と自信が生きている。「去年1年間出ていろんな経験をさせてもらって、今年2番に入った時に、バッティングフォームとか変なことを考えずに、自分の形を貫き通して、ピッチャーと勝負できました。その中でチームバッティングだったり、方向決めて打ったり、いろいろ配球の部分も考え出して。進塁打を打って自己犠牲しなきゃいけない中で(打率).274出たので、もっと技術を上げれば進塁打がヒットになったり、それが長打になったりとつながっていくと思います」と手応えを語る。
30本塁打に特別な思い「揺るぎないものというか忘れてはいけないもの」
来季目指すのは30本塁打。今季開幕から34試合で10本、6月までに13本放ったペースを考えれば、十分可能な数字だ。「そこを目指す中で、打率、打点もしっかり上げてやっていければ」ともちろん一発狙いに終始するつもりはないが、30発にはプロ入りした時からの思い入れがある。
「日本人の右バッターで30本打つバッターはなかなかいないじゃないですか。その中に自分の名を連ねたい。元々プロ野球に入ってきたときにホームランを期待されて、そういう価値があるからプロ野球に入ってきたので、そこを見失わないように。揺るぎないものというか忘れてはいけないもの。その数字が30本」とそのこだわりを明かした。
達成のために考えているのは、打球角度を上げること。フェンスが高い札幌ドームでフェンス直撃の惜しい当たりが何本もあった。「角度が1度上がれば、ホームランというところがあるので。その1度を上げるのも相当難しいし、自分のバッティングを壊す可能性があるけど、練習でそういうことをちょっと意識してやれば、変化は出るだろうなと思っています」とイメージをふくらせる。
来季は台湾の“大王”と呼ばれる台湾プロ野球ラミゴの王柏融外野手の入団が濃厚。外野手争いは激しくなるが、大田は意に介さず、自分の道を追求する。「準備をしっかりしてアピールをしていくしかないので。王柏融選手にしかできないこともあるし、僕にしかできないこともある。それは選手の色だと思うので、自分の色をしっかり確立して、あとは監督に選んでもらうだけ。最高の準備をして、最高にいいキャンプを送ってという繰り返しの中で技術を上げ、選手としての価値を上げるということ」。やるべきことははっきり見えている。迷いなくプロ11年目に挑む。
(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)
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