東北楽天ペゲーロの三振率は.345を記録、3打席に1回以上の三振
振り逃げ以外では出塁はない三振は、投手にとって最も安全なリザルトだ。逆に打者にとっては最も残念なリザルトではある。しかし長距離打者は三振を恐れては、本塁打を量産することはできない。三振は、打者にそういうジレンマを与える記録だ。
今季、パ・リーグで最も三振しやすかったのはどの打者か? 200打席以上立った打者の三振率(三振数÷打席数)20傑。参考までに本塁打数、打率もつける。
パ・リーグで200打席以上は63人、そのうちの20傑。
1ペゲーロ(楽).345(348打席120三振17本塁打 打率.233)
2中村剛也(西).286(392打席112三振28本塁打 打率.265)
3アルシア(日).284(324打席92三振14本塁打 打率.222)
4マレーロ(オ).278(245打席68三振11本塁打 打率.201)
5メヒア(西).2650(234打席62三振9本塁打 打率.212)
6若月健矢(オ).2649(302打席80三振1本塁打 打率.245)
7嶋基宏(楽).247(361打席89三振0本塁打 打率.206)
8T-岡田(オ).2462(333打席82三振13本塁打 打率.225)
9レアード(日).2455(505打席124三振26本塁打 打率.233)
10アマダー(楽).2436(234打席57三振20本塁打 打率.269)
11大田泰示(日).240(429打席103三振14本塁打 打率.274)
12平沢大河(ロ).2323(353打席82三振5本塁打 打率.213)
13ロメロ(オ).228(501打席114三振25本塁打 打率.237)
14岡島豪郎(楽).224(241打席54三振3本塁打 打率.190)
15ウィーラー(楽).220(413打席91三振15本塁打 打率.269)
16甲斐拓也(ソ).218(363打席79三振7本塁打 打率.213)
17田中和基(楽).217(465打席101三振18本塁打 打率.265)
18栗山巧(西).215(363打席78三振8本塁打 打率.256)
19横尾俊建(日).214(210打席45三振9本塁打 打率.207)
20山川穂高(西).213(647打席138三振47本塁打 打率.281)
オリックスの吉田正はフルスイングの印象も三振率はわずか.124
東北楽天・ペゲーロが群を抜いている。この打者は3打席に1回以上の三振を喫している。続いておかわり君こと埼玉西武・中村。本塁打王4回は現役最多。三振を恐れず本塁打を量産してきた。中村にとっては、三振は“必要経費”のようなものだ。
以下、外国人打者が続き、そのあとにオリックス・若月、東北楽天・嶋と捕手陣がならぶ。下位打線に座ることが多い捕手は、打撃が得意でないことが多い。本塁打王の埼玉西武・山川は、138三振で三振王にもなったが、三振率は.213とそれほど高くない。確実性もあったということだ。
三振率上位20傑には3割打者は含まれていない。
では、三振率下位の選手はどうなのか。下位10傑を見てみよう。
54安達了一(オ).125(514打席64三振3本塁打 打率.219)
55吉田正尚(オ).124(598打席74三振26本塁打 打率.321)
56中村晃(ソ).117(580打席68三振14本塁打 打率.292)
57内川聖一(ソ).108(296打席32三振8本塁打 打率.242)
58島内宏明(楽).0993(453打席45三振11本塁打 打率.292)
59鈴木大地(ロ).0986(558打席55三振8本塁打 打率.266)
60福田周平(オ).096(345打席33三振1本塁打 打率.264)
61銀次(楽).085(552打席47三振5本塁打 打率.276)
62荻野貴司(ロ).071(351打席25三振2本塁打 打率.287)
63藤田一也(楽).052(289打席15三振4本塁打 打率.266)
タイプの違う打者が並んでいる。一番三振率が低い東北楽天・藤田や千葉ロッテ・荻野はMLBで言うところのスモールボーラーだ。さらに東北楽天・銀次や福岡ソフトバンク・内川など、3割の常連だったアベレージヒッターも入っている。これらの打者は確実性が売りだった。
そんな中で、オリックスの若き主砲・吉田正の名前がある。彼は26本塁打を打ち。打率も.321をマークしながら、三振率は.124。これは確実性も長打力も兼ね備えた優秀な打者であることを示している。
シーズン最多三振は、1993年、近鉄のブライアントが記録した204だが、この時の三振率は.371(550打席)。ブライアントは1990年に三振率.429(461打席198三振)という破天荒な記録を残している。バットをぶんぶん振り回し、三振を量産する選手は「大型扇風機」と揶揄される。しかし、それもプロ野球の魅力の一つではある。来季もいろいろな“扇風機”を楽しみたいものだ。
(広尾晃 / Koh Hiroo)
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