中村奨吾、井上晴哉が覚醒、平沢大河の台頭 課題もまだ山積み…千葉ロッテの2018年

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2018.11.20(火) 07:30

千葉ロッテ・井口監督※写真提供:Full-Count(画像提供:(C)PLM)
千葉ロッテ・井口監督※写真提供:Full-Count(画像提供:(C)PLM)

チーム盗塁が78から124へ増加、機動力野球には一定の成果

 球団ワーストの成績に終わった昨季からの巻き返しを図った千葉ロッテ。しかし今季は、リーグ6位から5位へとひとつ順位を上げるにとどまった。今後に向けて楽しみな要素は少なくなかったものの、上位進出に向けて課題はまだまだ山積みだ。

 昨季はともにリーグ最下位となるチーム打率.233、479得点と貧打にあえいだ打線は、リーグ4位の打率.247、534得点と改善を見せた。盗塁も前年の78から124へと大きく増加しており、井口新監督が掲げた機動力野球は初年度から一定の成果を挙げた。

 投手陣では、先発の涌井と石川の両輪が復調し、新加入のボルシンガーも抜群の安定感を見せて初年度から大活躍。これらの要素がかみ合ったことで、交流戦は11勝7敗の3位。リーグ5位ながら、前半戦で40勝38敗2分と貯金を作った。その勢いのまま、後半戦は2年ぶりのAクラス入りを目指す…はずだった。

 だが、7月9日に荻野貴が右手指に投球を受けて負傷離脱すると、オールスターを挟んで流れは一変。前半戦だけで9勝を挙げてタイトル争いにも加わっていた石川と、破竹の11連勝を飾っていたボルシンガーがそれぞれ違和感を訴えて離脱した。先発陣は駒不足が深刻となり、負担の増したリリーフ陣も安定感を失う負のスパイラルに陥った。

 シーズン終盤には前年の先発ローテの柱だった二木が復調したが、投手陣を救うまでには至らず。最終的な成績は59勝81敗3分で、最下位の東北楽天とはわずか1ゲーム差。「マクレ」を合言葉に誓った上位進出は果たせなかった。

有吉が先発、唐川は中継ぎで、それぞれ新境地を開拓

 しかし、明るい話題も少なくはない。今シーズン途中から外野に挑戦し、自己最多112試合に出場した平沢が台頭。打率は.213ながら出塁率は.328を記録しており、チャンスメーカーとしての資質を十分に示してみせた。バッティングの確実性が高まれば、20歳のホープがさらなる飛躍を果たせる可能性は高いだろう。

 また、素質を見込まれながらもこれまで本領を発揮しきれていなかった選手たちが一皮も二皮も剥けた。2014年ドラフト1位の中村はフルイニング出場を果たし、二塁手としてゴールデン・グラブ賞も獲得した。リーグ10位の打率.284、同6位の157安打に加えて、39盗塁でタイトル争いを繰り広げ、機動力野球を象徴する存在としてひとり立ちした。

 これまで一軍通算4本塁打となかなか殻を破れなかった井上も覚醒。規定打席に到達し、打率.292、24本塁打、99打点と、打撃主要3部門すべてで好成績を収めた。千葉ロッテの選手で20本塁打以上を放ったのは、2013年の井口監督以来のことで、その存在感のある打撃はチームにとって明るい材料となった。

 投手陣では、中継ぎとしては開幕から不振が続いた有吉が先発に転向して新境地を開拓。かつてエース候補と目されながら、ここ数年は結果を残せていなかった唐川もリリーフに回り、復活に向けて新たな一歩を踏み出している。

 まさにどん底だった昨季に比べれば少なからず成績を向上させ、投打ともに薄い選手層の改善も図れた印象の千葉ロッテ。来季は本拠地のホームランゾーンも広がるだけに、個々の本塁打数の増加にも期待したいところだ。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

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