来季への課題を露呈も、千葉ロッテは新戦力の台頭で最下位脱出【シーズン総括】

パ・リーグ インサイト 望月遼太

2018.11.19(月) 11:00

千葉ロッテマリーンズ(C)パーソル パ・リーグTV
千葉ロッテマリーンズ(C)パーソル パ・リーグTV

 球団ワーストの成績に終わった昨季からの巻き返しを図った千葉ロッテ。しかし今季は、リーグ6位から5位へとひとつ順位を上げるにとどまった。今後に向けて楽しみな要素は少なくなかったものの、上位進出に向けて課題はまだまだ山積みだ。

機動力向上も、選手層の薄さが深刻

 昨季はともにリーグ最下位となるチーム打率.233、479得点と貧打にあえいだ打線は、リーグ4位の打率.247、534得点と改善を見せた。盗塁も前年の78から124へと大きく増加しており、井口新監督が掲げた機動力野球が初年度から一定の成果を挙げている。

 投手陣では、先発の涌井投手と石川投手の両輪が復調し、新加入のボルシンガー投手も抜群の安定感を見せて初年度から大活躍。これらの要素がかみ合ったことで、交流戦は11勝7敗の3位と躍進して、前半戦はリーグ5位ながら40勝38敗2分と貯金を作る。その勢いのまま、後半戦は2年ぶりのAクラス入りを目指すはずだった。

 しかし7月9日、荻野貴選手が右手指に投球を受けて負傷離脱すると、オールスターを挟んで流れは一変。前半戦だけで9勝を挙げてタイトル争いにも加わっていた石川投手と、破竹の11連勝を飾っていたボルシンガー投手がそれぞれ違和感で登録抹消。先発陣は駒不足が深刻となり、負担の増したリリーフ陣も安定感を失う負のスパイラルに陥った。

 シーズン終盤には前年の先発ローテーションの柱だった二木投手が復調したが、投手陣を救うことは叶わず。最終的な成績は59勝81敗3分で、最下位の東北楽天とはわずか1ゲーム差。「マクレ」を合言葉に誓った上位進出はついぞ果たせなかった。

大砲覚醒、「8」の後継者などの収穫で、少しずつステップアップを

 しかし、明るい話題ももちろん少なくはない。今シーズン途中から外野に挑戦し、自己最多112試合に出場した平沢選手の台頭はうれしい誤算だった。打率は.213ながら出塁率は.328を記録しており、チャンスメーカーとしての資質は十分。バッティングの確実性が高まれば、20歳のホープがさらなる飛躍を果たせる可能性は高いだろう。

 また、素質を見込まれながらもこれまで本領を発揮しきれていなかった選手たちがついにブレイク。2014年ドラフト1位の中村選手はフルイニング出場を果たし、二塁手としてゴールデン・グラブ賞も獲得した。リーグ10位の打率.284、同6位の157安打に加えて、39盗塁でタイトル争いを繰り広げ、機動力野球を象徴する存在としてひとり立ちしている。

 そして、これまで一軍通算4本塁打となかなか殻を破れなかった井上選手が覚醒。規定打席に到達し、打率.292、24本塁打、99打点と、打撃三部門すべてで好成績を収めた。千葉ロッテの選手が20本塁打以上を放ったのは2013年の井口現監督以来のことで、その存在感のある打棒でチームの大きな希望となった。

 投手陣では、中継ぎとしては開幕から不振が続いた有吉投手が先発に転向して新境地を開拓。かつてエース候補と目されながら、ここ数年は結果を残せていなかった唐川投手もリリーフに回り、復活に向けて新たな一歩を踏み出している。

 まさにどん底だった昨季に比べれば少なからず成績を向上させ、投打ともに薄い選手層の改善も図れた印象の千葉ロッテ。来季は本拠地のホームランゾーンも広がるだけに、個々の本塁打数の増加にも期待したいところだ。

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パ・リーグ インサイト 望月遼太

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