4年間チェックし続けた台湾現地記者が語る、“大王”こと王柏融選手の人物像とは?

パ・リーグ インサイト 上野友輔

2018.11.10(土) 11:00

 今オフの日本球界移籍が見込まれている、台湾プロ野球(CBPL)のLamigoモンキーズ・王柏融選手。中国文化大学卒業後にプロ入りし、台湾プロ野球在籍が通算でわずか4年(初年度はドラフト指名直後の9月以降29試合に出場しただけで実質3年強の稼働)ながら、プロ2年目の2016年に台湾球界初のシーズン200安打(年間120試合)、シーズン打率4割も2016、17年の2度マークするなど、数々のタイトルを獲得した台湾球界のスターだ。

 台湾プロ野球の実績をどのように日本での成績予想につなげるかは判断が分かれるところだが、そもそも、王という選手、そして王という人物はどのようなパーソナリティーを持つのだろうか。グラウンド内外で「大王」を見続けてきた台湾メディアの記者たちに、王という選手・人物像について聞いてみた。

NOWNews:吳政紘記者
 大学からプロ入りして、そのまま打撃に苦しむことなく、すぐにプロのレベルに順応した対応力が魅力です。タイミングの取り方が素晴らしく、足も速いですね。大学の時から日本やアメリカで活躍したいという思いを持っていて、CPBLでプロ選手になって実績を積み、それを実現させようとしています。台湾では、CPBLからトレードではなく自らの意思で海外に移籍する台湾人選手はほとんどいなかったので、実現すると彼は歴史に名を刻むことになります。

 プロ野球選手としてはとても真面目で、あまり感情を表に出しませんが、先日行われた台湾一を決める台湾シリーズでは珍しく雄叫びを上げて、ガッツポーズを見せるシーンもありました。Lamigoの一員として台湾シリーズを戦うのは最後になるかもしれないので、秘めていた感情が爆発したのかもしれません。アマチュア時代にはU-21の時の韓国戦で逆転の三塁打を放って涙を流したこともありますが、とにかくそういった激しい感情表現は少ないですね。ただ、(試合以外で)チームメートといるときは、はしゃいだりすることもあるみたいです。

ETToday:王真魚記者
 自分自身に求めるレベルが非常に高く、勝利に対する気持ちがとても強い選手です。スランプに陥ってもすぐに調整、練習して、復調させています。

 最初こそ人との距離をだいぶ感じて、なかなか自身の気持ちや感情を見せないのですが、親しくなってくるとしっかりと接してくれるイメージです。接する人をしっかりと見極めている感じがします。またスターらしく振舞わず、少し内気な感じなので、日本に移籍するならばストレスをあまり感じないチームの方がいいかもしれません。

自由時報:羅志朋記者
 間違いなく、過去10年で台湾ナンバーワンの選手です。打撃技術が相当ハイレベルです。高校の時は本当に普通の選手で、大学2年くらいまでは逆方向への流し打ちを得意とするような技巧派の選手でした。それが大学3年になって突然長距離打者に変化しました。

 人間としては、表現は難しいのですが、洗練された都会の人間というより、人間味のある田舎の人間、という感じです(台湾最南部の屏東県出身)。プロ野球選手としての立ち振る舞いもすごくきちんとして分別もあるのですが、グラウンド外ではチームメートととても仲を良くしており、スターっぽさを感じさせません。誰に対しても、ルーキーの時から変わらずとても謙虚です。スター選手ならばどうしてもアピールをしたがるのですが、彼は自分のやるべきことにフォーカスして、気取った感じを見せません。すごくいい青年です。

 選手としての評価は当然ながら高いのだが、共通するのは力強い打撃スタイルとは真逆の「派手を好まず」の姿勢。グラウンド上やパブリックな場ではプロ野球選手としてのあるべき姿を求める立ち振る舞いだが、プライベートではチームメートとじゃれあうなど、きちんとオンオフが切り替えられる様子で、どことなく、ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平の人物像と重なるようにも思えるのは気のせいだろうか。おそらく、本人としてはメディアの大きな注目を受けずに野球に集中できる環境を好みそうな可能性はあるが、果たしてチームと彼の選択はいかに。

記事提供:

パ・リーグ インサイト 上野友輔

この記事をシェア

  • X
  • Facebook
  • LINE