大谷のルーキーイヤーが自身の楽天加入1年目「私はきっと彼から打っていないと思います」
メジャー1年目から投打二刀流で米国を驚かせたエンゼルスの大谷翔平投手。元大物メジャーリーガーとして2013年に楽天の日本一に貢献したアンドリュー・ジョーンズ氏も、そのプレーには強い衝撃を受けたようだ。
DAZNではオフの新番組「Home of Baseball」の配信を2日から開始。第1回は大谷の特集で、投手編(2日から)、野手編(9日から)に分けてルーキーイヤーを様々な角度から分析している。日米通算2148安打、484本塁打のジョーンズ氏、エンゼルスOBで現在はオリックスのシニアアドバイザーを務める長谷川滋利氏、元レイズ(デビルレイズ)の岩村明憲氏、エンゼルスのOBで地元テレビ局の中継解説者を務めるMLB132勝のマーク・グビザ氏らが登場。2013年、2014年の楽天在籍時に大谷と対戦した経験のあるジョーンズ氏は、かつての対戦経験も織り交ぜながら、MLBでのルーキーイヤーを終えた大谷翔平を語った。
ジョーンズ氏が楽天入りした2013年は、大谷が前年のドラフト会議で日本ハムから1位指名を受けて入団したルーキーイヤー。ジョーンズ氏は、自身が加入して球団史上初のリーグ優勝、日本シリーズ制覇を成し遂げたこの年を懐かしむように振り返った。
「移籍1年目はタナカ(田中将大=現ヤンキース)を筆頭に、みんなの活躍で優勝できました。私が日本に行った時、タナカは日本で特に有名な選手で、オオタニはちょうどファイターズにドラフト指名されてプロ入りしたばかりでした」
当時すでに36歳、MLB通算434本塁打を誇る強打者だったジョーンズ氏の来日1年目と大谷の19歳のルーキーイヤーが重なっているというのも、何かの縁だろうか。
「彼は素晴らしい若者です。個人的にも知っていますし、一緒に日本のオールスターゲーム(2013年)にも出ました。彼がどんなピッチャーなのか、分かっています。オオタニはパワーで押す投手です。速球でグイグイいきます。私は日本できっと彼から打っていないと思います。おそらく4、5回くらい対戦したんじゃないかと思いますけどね」
実際には、ジョーンズ氏は楽天に在籍した2013年、14年の2年間で7試合、20打席対戦している。結果は16打数ノーヒット、4四死球、7三振。完璧に抑え込まれた。
大谷との初対戦は同年9月6日、Kスタ宮城(現楽天生命パーク宮城)で、結果は中飛、四球、死球の1打数ノーヒットだった。
翌年、6試合でジョーンズ氏は大谷と対戦しているが、結局1本もヒットを打てなかった。特に2014年7月9日の対戦では、4打席すべて空振り三振。この日の試合で楽天打線は大谷から16三振を奪われたが、その4分の1はジョーンズ氏が喫したものだった。
「アメリカで彼のことを話すとみんな、『オオタニはまるで神みたいだ』と言います」
ジョーンズ氏は自らが打者として対戦したこともあり、二刀流の中でも「投手・大谷翔平」のイメージの方が強いという。「彼がメジャーに移籍するに際し、投手として通用するかという点については心配していませんでした。確かに、メジャーの打者に対峙するために修正が必要だろうとは思っていましたが、それは彼がメジャーに来る時の不安材料ではありませんでした」。実際に対戦してその実力を目の当たりにしているだけに、投手としてMLBでも成功することは信じて疑わなかったという。
「皆さんがオオタニや、彼が二刀流に挑戦することについて話しているのを聞いて、とてもワクワクしました。両方やるなんて想像できませんよ。難しいことです。本当に特別なことです。しかも、ピッチングとバッティングの両方に優れているんですからね」
ジョーンズ氏によると、大谷に対する米国人の興味と尊敬は、日本人が想像しているよりはるかに大きい。「アメリカで彼のことを話すとみんな、『オオタニはまるで神みたいだ』と言います。みんな彼のプレーに興味津々で、ベーブ・ルースのように思っています。メジャーリーグでベーブ・ルースのように、二刀流として継続的にいい成績を残してきた選手はいませんからね」。ナショナル・パスタイム(国民的娯楽)と呼ばれるMLBだが、その中でもベーブ・ルースという名前に、アメリカ人は敏感に反応する。
ベーブ・ルースは、1915年~19年のレッドソックス時代は二刀流として活躍。打者に専念するようになったのは、1920年にヤンキースに移ってからだ。ジョーンズ氏は、大谷の二刀流も、継続的、長期的にできてこそ価値が出るものだと考えている。「トミー・ジョン手術後にも、継続的に高いレベルでパフォーマンスができるのかが大切です。ベーブ・ルースがプレーしたのは、ずっと昔のこと。それから野球は変わりました。今後のオオタニに注目ですね」。二刀流が現代野球でも継続的にプレースタイルとして成立するのか、ジョーンズ氏も興味深く見つめている。
(Full-Count編集部)
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