ルーティンを捨ててでも大谷に勝ちにいったバーランダーとベッツ
ア・リーグ新人王の最終候補に名前を連ねたエンゼルスの大谷翔平投手。米国では最有力との見方が強く、受賞に期待が高まっている中、DAZNではオフの新番組「Home of Baseball」の配信を2日から開始。第1回はエンゼルス・大谷翔平の特集で、投手編(2日から)、野手編(9日から)に分けてルーキーイヤーを様々な角度から分析している。
日米通算2148安打、484本塁打のアンドリュー・ジョーンズ氏、エンゼルスOBで現在はオリックスのシニアアドバイザーを務める長谷川滋利氏、元レイズ(デビルレイズ)の岩村明憲氏らが登場する中、エンゼルスのOBであり、地元テレビ局の中継解説者を務めるMLB132勝のマーク・グビザ氏がこの1年を振り返り、大谷の魅力を語り尽くした。
他のメジャーリーガーは大谷をどう見ているのか。大谷はMLBルーキーイヤーの今年、印象に残った対戦相手に、自分が投手として対戦し、特大の本塁打を打ち込まれたムーキー・ベッツ(レッドソックス)、打者として初対戦で三振に打ち取られたが、その後ホームランを打つなど見応え充分の対決を繰り返したジャスティン・バーランダー(アストロズ)の名を挙げている。
「選手は誰もできないことをやってのける選手を見るのが好きです。バーランダー、ベッツはもちろん、ホセ・アルトゥーベ(アストロズ)やジャンカルロ・スタントン、アーロン・ジャッジ(ともにヤンキース)など超一流の選手たちがオオタニに注目しています。オオタニが、彼らが絶対にできないことをしているからです」と、大谷の存在が現役のトップ選手たちからも認められていることを明かした。
バーランダーとは、5月16日(同17日)には3三振とひねられたが、7月21日(同22日)の対戦では右翼への二塁打。そして8月25日(同26日)には、バックスクリーンに特大の14号2ラン本塁打。グビザ氏は「バーランダーは『オオタニがすぐに的確に修正してきて、とても驚いた』と言っていました」という逸話も紹介した。バーランダーは、のちに米スポーツ専門メディア「スポーティングニュース」に対し、初対戦の打者には投げないスライダーを投げて大谷から三振を奪ったことを明かしている。さらに、同じ試合の9回には大谷のバットに空を斬らせ、2500奪三振を達成した。
大谷はグレツキー、ウッズ、ジョーダンになり得る能力を持つ
4月17日(同18日)のレッドソックス戦に先発した大谷は1回、1番のベッツにいきなり先頭打者本塁打を打ち込まれた。この日、ベッツは3本塁打と大爆発。「ベッツは通常、打席で少し球を見てから打つのですが、その時はすでに準備ができていてすぐに打ちました」とグビザ氏は解説する。バーランダーにしてもベッツにしても、大谷に勝つために、いつものルーティンとは違うことをしている。そうでないと、大谷と互角に戦うのは難しかったということだ。
大谷自身も、レッドソックス、アストロズといったリーグ優勝を争うチームの主力と対戦することによって、自らを一段高いレベルへと引き上げていった。
「オオタニは超一流の投手からきっちり結果を残すことで実力を示し、投手として超一流の打者と対戦することでもう一段上のレベルに自らを上げた。超一流との厳しい対戦をすることでもう1つ上のレベルに行くというのは、真のスーパースターのすることです」
こう話したグビザ氏は「オオタニは、ウェイン・グレツキーやタイガー・ウッズ、マイケル・ジョーダンといったタイプです」と、野球という枠を超え、スポーツ界に名を残すスーパースターたちと比較した。そして、これは決してリップサービスではない。
「私がこの仕事(解説者)を始めた時に、ボスから『実際に証明されるまで選手を“一流だ”と評してはいけない』と教えられました。でもオオタニを見ていて、“彼は一流だ”と自信を持って言えたのです。そしてもっと成長すると思いました」
グレツキー、ウッズ、ジョーダンといえば、米国のみならず世界に名を轟かしたレジェンドたち。グビザ氏は実際のプレーを見た上で、大谷がそれら名選手と同じ「伝説の存在」になり得るだけのポテンシャルがあると認めた。
(Full-Count編集部)
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