マイコラスは「急成長した選手」部門で選出
MLBも今シーズンの全日程を終え、米メディアは様々な形で今シーズンの総括、地元チームのシーズン回顧と来季へ向けた課題等の特集記事を続々掲載している。二刀流・大谷翔平が所属するエンゼルスの地元紙「オレンジ・カウンティ・レジスター」が、賞形式で独自の視点から今年活躍した選手、期待を裏切った選手を特集した。
投手として10試合4勝2敗、防御率3.31.打者として打率.285、22本塁打、61打点を記録した大谷について、同紙は「新人王」の項目で、ライバルのミゲル・アンドゥハー(ヤンキース)とともに扱っている。
エンゼルスの地元紙だけに熱烈な“大谷推し”かと思いきや、非常に冷静な記述で、「アンドゥハーはア・リーグ2位の二塁打数で、他の主要な4部門ではトップ10に入っている。彼はこの賞に値するものの、ショウヘイ・オオタニが見せた(二刀流という)斬新なアクションは、見事過ぎて認めざるを得なかった」と、どちらにも肩入れせず、両方を称えている。
例年ならアンドゥハー一択のはずが、大谷の常識破りの二刀流によって議論になっていることを暗示する書き方に。記者投票はすでに終了しているが、ここへ来てニューヨークのメディアが大谷を新人王と予想したり、エンゼルスの地元紙が大谷について抑え気味に記述したりと、お互いに“ほめ殺し”のような状態になっているのが面白いところだ。
そして、マイコラスは「急成長した選手」部門に選出された。「2014年以降はメジャーリーグのマウンドに立っていなかったが、日本から復帰してカージナルスでプレーし、18勝4敗、防御率2.83の成績を残した」と同紙は紹介。ア・リーグで39セーブをマークし、アスレチックスのワイルドカードゲーム進出の原動力となったクローザー、ブレーク・トライネン(アスレチックス)とともに、今年もっともブレークした選手として認定している。
最低監督賞、カムダウン賞、ワーストFA選手賞まで選出
記事で選出されている賞には、大谷の新人王のようにMLBが公式タイトルとして表彰している部門もあるが、マイコラスの「急成長した選手」部門のように、同紙が独自で選出した賞もある。各部門の賞と選出された選手は、次の通り。
◯MVP ナ・リーグがイエリッチ(ブルワーズ)。ア・リーグはJD・マルティネス(レッドソックス)が指名打者であるという点を考慮し、三振が100を切っている同じレッドソックスのムーキー・ベッツを選出。
◯サイ・ヤング賞 ア・リーグは21勝を挙げ最多勝のブレーク・スネル(レイズ)、ナ・リーグは10勝9敗ながら防御率1.70と唯一1点台、24試合連続クォリティスタート(QS、6回以上を投げ自責点3以下)を記録したジェイコブ・デグロム(メッツ)を選出。
◯最優秀監督賞 レッドソックスのアレックス・コーラ、アスレチックスのボブ・メルビン、ブレーブスのブライアン・スニッカーの3氏の争いとしている。
◯最低監督賞 球団記録のシーズン115敗を喫したオリオールズのバック・ショーウォルター監督、ナショナルズを早々とプレーオフ争いから脱落させたナショナルズのデーブ・マルティネス監督。
◯最優秀GM賞 レッドソックスのデーブ・ドンブロウスキー、ブルワーズのデビッド・スターンの2氏。
◯カムバック賞 過去2年で1勝から今年9勝(10敗)を挙げたエンゼルスのアンドリュー・ヒー二―投手、高額年俸選手の整理対象と言われながら、オールスターゲームに選出されるまでに復活したドジャースのマット・ケンプ外野手の受賞を予想。
◯カムダウン賞 カムバック賞の逆で、もっとも成績を下げた選手。ナ・リーグが、昨年打率、249、31本塁打を放ちながら、今年はレッズとブレーブスの2チームで打率.195、15本塁打と期待を裏切り、プレーオフではベンチ外となったアダム・デュバル。ア・リーグは2016年に11勝を挙げ新人王を獲得しながら、今年は3勝12敗と大きく負け越し、シーズン終盤は右膝手術を受けて離脱したマイケル・フルマー(タイガース)。
◯ベストFA選手 ダイヤモンドバックスからレッドソックスへ移り、43本塁打、130打点を挙げたJD・マルティネスと、ロイヤルズからブルワーズに移って.308、10本塁打をマークし、プレーオフ進出の原動力となったロレンゾ・ケイン(ブルワーズ)。
◯ワーストFA選手 3年3800万ドル(約42億5600万円)でロッキーズからカブスに移ったタイラー・チャットウッド(カブス)。4勝6敗、防御率5.30と期待を大きく裏切り、103回2/3で95四球と制球難を露呈した。また、4年5700万ドル(約63億8000万円)でレイズからオリオールズに移籍したアレックス・コブも、昨年12勝10敗から今年は5勝15敗と期待を裏切る成績に終わった。
記事は最後に、米記録サイト「ベースボール・リファレンス」によると、今年の1試合あたりの三振の平均が8.48個と、1試合当たりの安打数平均8.44を上回るほど三振が多かったという数字を紹介し、「トニー・グウィン(現役生活20年で434三振しかしていない、強打の殿堂入り外野手)のビデオが必要かも知れない」と皮肉っぽく締めくくっている。
(Full-Count編集部)
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