再び故障する可能性も? NPB時代に痛めた足首の影響も指摘
今シーズン、二刀流としてメジャーリーグに挑戦、投手としては10試合に登板し4勝2敗、打者としては打率.285の成績を残したエンゼルスの大谷翔平選手。右肘靭帯損傷後は打者に専念したが、開幕直後は投打で活躍した。2003年と2006年と2度にわたり沢村賞を受賞した元福岡ソフトバンクの斉藤和巳氏は、大谷の1年目をどう見ているのか。話を聞いた。
打者としては104試合に出場し打率.285をマーク、22本塁打を放ち61打点を記録したが、怪我の影響もあり投手としては10試合の登板にとどまった。それでも斉藤氏は1年目の結果を評価する。
「ピッチャーとしては、その能力からすると怪我もあったので物足りなさを感じますが、二刀流の大変さ、そしてメジャー1年目の苦労は間違いなくあったと思います。評価は難しいと思いますが、メジャーでも通用することは十分証明できたのではないでしょうか」
レギュラーシーズン終了翌日に右肘の手術を受けたため、来シーズンは打者に専念するが、それが投手としてのキャリアに影響することはないだろうと斉藤氏は見ている。
「今シーズン10試合投げて、ある程度メジャーのバッターを感じられた部分はあると思います。この1、2年で他球団も含めてチームの中の選手が変わる可能性はありますが、メジャーの野球が大きく変わるということはないでしょう。なので、彼の投手生命に大きな影響はないと思います」
あくまで二刀流としての活躍に期待「パイオニアとして活躍してくれれば」
とはいえ、同氏が見た限りでは、上半身が日本でプレーしている時より強くなっており、今のままの投球フォームでは再び故障する可能性があるという。そのため、下半身の使い方を大事にしたほうがいいのではと指摘する。
「あれだけの速いボールを投げられ、さらに球種も投げられる器用さがある。ピッチャーとしての能力は高いですが、今のままの投げ方ならまた故障しかねない。日本で足首の故障があったので、変な癖がついている可能性もある。投げられない間にフォームの見直しをしっかりしておいた方がいいと思います」
1年間、投手としてマウンドに上がることはないが、年齢も若く伸びしろがあるため、復帰した時にはまた違う姿を見せてもらいたいと期待を寄せる。
「頭がいいから、無駄な時間を過ごす選手ではないと思います。すべての経験をプラスに変えていくことができる。だからこそ日本で二刀流を成功させ、メジャーでも挑戦している。怪我で投げられない間にも、投球の質を高められるヒントを掴んでほしいと思います」
難しい二刀流に挑戦している大谷だが、斉藤氏はどちらかに専念するのではなく、二刀流での活躍に期待しているとエールを送る。
「彼の二刀流が今後どう変化していくのか見てみたいですね。二刀流のパイオニアとして活躍してくれれば、野球をやっている子供たちにも新しい選択肢が増えるし、野球界も盛り上がると思います」
二刀流復帰へどんな過程をたどるのか。また、打者としてどんな姿を見せてくれるのか。来シーズンも大谷の活躍に期待したい。
(篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)
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