【日本S】鷹に流れを呼んだ“丸封じ” 5打席4三振、打率.083に甲斐拓也「上手くいっている」

Full-Count 福谷佑介

2018.10.31(水) 10:45

福岡ソフトバンク・甲斐拓也※写真提供:Full-Count(写真:藤浦一都)
福岡ソフトバンク・甲斐拓也※写真提供:Full-Count(写真:藤浦一都)

打線の流れを切った広島主砲・丸の打席、“逆シリーズ男”しておくことができるか

■福岡ソフトバンク 9-8 広島(30日・ヤフオクドーム)

 福岡ソフトバンクが1勝1敗1分の五分に星を戻した。1敗1分けで終わった敵地マツダスタジアムでの2連戦から、舞台を本拠地ヤフオクドームに移して迎えた30日の日本シリーズ第3戦。打線が目覚めて12安打9得点を奪うと、終盤に広島の猛反撃に遭いながらも、1点差で逃げ切った。9-8。広島の驚異の粘りによって薄氷を踏む思いの勝利となったものの、2年連続日本一に向けて1勝目を挙げた。

 先発のミランダから高橋礼、モイネロ、武田、加治屋、嘉弥真、森と7投手をつないだ福岡ソフトバンク投手陣。鈴木誠也に2打席連発のソロ、そして安部友裕にはソロと満塁本塁打と4本塁打を浴びた。安打も自軍を上回る16安打を許して8点を奪われた。それでも、勝利につながったのは、広島の主砲である丸佳浩を徹底して封じ込んだところにあった。

 結果から言えば、丸は5打数無安打4三振。福岡ソフトバンクバッテリーは完璧に抑え込んだ。広島にとっては3番打者が大ブレーキになり、福岡ソフトバンクにとっては鯉打線を分断できた。この3試合でも、第2戦でシリーズ初安打となる二塁打を放っているものの、12打数1安打の打率.083だ。

 この日の第1打席は初回1死一塁。3ボール2ストライクからの6球目、ミランダが投じた外角高めのストレートに丸のバットは空を斬り、三振となった。第2打席は3回。2死満塁という窮地で迎えた鷹バッテリーは、3球連続のストレートで1ボール2ストライクと追い込むと、4球目のチェンジアップで再び空振り三振に仕留めた。

 5回2死一塁の第3打席では1球も真っ直ぐを投げず。チェンジアップで空振り、チェンジアップ、フォークで2球ボール、そしてチェンジアップで再び空振りを奪うと、2ボール2ストライクからの5球目でまたチェンジアップ。これで3打席連続空振り三振を奪った。

 こうなると、丸に“流れ”はない。7回1死一塁で武田翔太の2球目を捉えた打球は一塁・内川の正面を突くライナーとなり、走者は戻れずに最悪のゲッツー。1点差で迎えた9回の第5打席も、フルカウントからの6球目、森唯斗のカーブにバットは空を斬った。

工藤監督も細心の注意「特に丸君のところを抑えられたのが大きい」

 5打席で4つの空振り三振。主砲がことごとくチャンスで三振していれば、それだけでも流れは大きく福岡ソフトバンクに傾くもの。さらには1打席目から4打席目まで、丸でイニングが終わっている(4打席目の7回はホークスにとって幸運な併殺ではあったが……)。6回、8回と鈴木誠也に本塁打を浴びたが、先頭打者のソロ本塁打。これなら決して大怪我にはならないが、丸につながれていたら、結果は変わっていたかもしれない。

「ここまでは上手くいっているんじゃないでしょうか」と、3試合連続でスタメンマスクを被る甲斐拓也も“丸封じ”に感触を得ている。具体的な策は、3戦目ということもあり、当然「まだ深くは言えないです」と言うが、「投手陣もしっかり投げてくれていると思います。(丸のところは)大事にしているところではあります」と、細心の注意を払っていることは明かした。

 工藤公康監督も試合後に「今日は特に丸君のところを抑えられたのが大きい。ウチは柳田君がその逆をやられている中で、インサイドを攻められても打ってくれている」と語り、“丸封じ”が今シリーズのポイントとなることを伺わせている。

 短期決戦の日本シリーズでは“シリーズ男”や“逆シリーズ男”が生まれ、大きなカギを握るとされる。ラッキーボーイ的な“シリーズ男”の勢いには乗じ、そして、相手にとっての“逆シリーズ男”は最後まで目覚めさせないことが鉄則だ。丸をこのまま眠らせておくことができるかが、福岡ソフトバンクにとって大きな鍵を握る。4戦目以降も「鷹投手陣vs丸佳浩」の打席から目が離せない。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

記事提供:Full-Count

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