崖っぷちから反撃ののろしを上げた。北海道日本ハムが14日、福岡ソフトバンクに勝利し、「パーソル CS パ」ファイナルステージ進出に向け、1勝1敗の五分とした。
鋭い当たりが外野の頭上を越えた。長打を確信した大田選手は、大きなガッツポーズでベースを回った。8回2死2塁、フルカウントから勝ち越しとなる左越え適時二塁打。「食らいつくだけでした。いいヒットになって良かった」。7回に同点とされ、終盤。敵地で1戦目を取られ、引き分けでも自軍の敗退が決まるという厳しい状況の中、少なくなったチャンスをモノにした。
続くヒットマン、近藤選手も右中間に適時二塁打。息を吹き返した北海道日本ハムは宮西投手、石川直投手とつないで、逆王手に成功した。
先発のマルティネス投手が7回2失点と役割を果たした。柳田選手、グラシアル選手、松田宣選手と一発のある相手に安打を許さず、完敗だった前日の嫌な流れをかき消した。「昨日圧倒的な打力で負けてしまったけど、マルちゃんが抑えてくれて、いい流れで打撃もできた」と、大田選手も右腕に感謝した。
当然この日のヒーローは大田選手。背番号33の男は、「37」のユニホームでインタビューに現れた。今季で引退する矢野選手の背番号だ。巨人でともにプレーし、その後北海道日本ハムでもチームメートとなった大先輩。前日に電話をし、打撃のアドバイスを受けたという。「兄貴分の矢野さんの分まで頑張りたい」と誓った。
敗れた福岡ソフトバンクは加治屋投手が誤算だった。8回2死から、上位打線に痛恨の3連打を許した。だが工藤監督は淡々。「打たれるときもある。信頼は変わらないし、忘れて明日また頑張る」。今季72試合に登板。勝利の方程式の一角を担うまでに成長した右腕を責めなかった。
15日にファイナル進出が決まる。レギュラーシーズン3位の北海道日本ハムは下剋上をかけての一戦。「勝つしかないので。貪欲に必死になって、一生懸命にやります」と大田選手は闘志を燃やした。
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