楽天期待の新人・茂木選手が挑む約半世紀ぶりの快挙とは!?

パ・リーグ インサイト 松下雄馬

4月に入社した新社会人も、そろそろ生活のリズム、そして会社に慣れてきたころではないだろうか。一方、プロ野球に入ったルーキーたちは、彼ら彼女らより一足早く、2月のキャンプからチームの一員として加わり、今日に至るまで日々鍛錬を続けている。

例外はあるものの、多くの選手はいわゆる「プロの壁」を痛感し、その壁を乗り越える、あるいは穴をあけるべく、厳しい環境に身を置いて一軍の舞台を目指している。そんな中「例外」が今年も現れ、チームを鼓舞し続け、そしてファンを魅了している。

その選手とは、2015年のドラフトで楽天から3位指名を受けた茂木栄五郎選手だ。

球団史上初となる開幕スタメンに名を連ねた茂木選手は、プロとしては小柄ながらも思い切りのいいスイング、そして左右広角に自由自在に打ち分けるバットコントロールを武器に、開幕から全57試合に出場。打率.285、55安打、1本塁打、23打点、7盗塁という成績に加え、守備でも好プレーを幾度も見せるなど、幸先良いプロ生活のスタートを切っていると言える(数字はいずれも9日の試合終了時点)。

まだまだ気が早いが、当然これだけの成績を残すと気になってくるのが、新人王獲得なるか否か。ここ20年間のパ・リーグにおいて、野手が新人王を獲得したのはたったの3人だけで、それ以外の17年は投手が新人王を獲得している。野手が新人王のタイトルを獲るのは非常に困難であり、それだけの価値があるということがお分かりいただけるだろう。ちなみに、その3人の新人王獲得時の成績は以下の通り。

【1996年 金子誠 (日本ハム)】
打率.261、103安打、4本塁打、33打点、15盗塁、38犠打

【1997年 小坂誠 (ロッテ)】
打率.261、130安打、1本塁打、30打点、56盗塁、38犠打

【1998年 小関竜也 (西武)】
打率.283、91安打、3本塁打、24打点、15盗塁、27犠打

上記した3選手の成績を野手の新人王獲得への一つの基準だとするのであれば、茂木選手がもしこのまま順調に数字を伸ばしていけば、新人王獲得に十分値する結果となる。野手で新人王獲得となれば1998年の小関竜也選手(当時西武ライオンズ)以来18年ぶり、さらに「大卒野手1年目での新人王獲得」となると、1969年の有藤通世氏(当時ロッテ)以来、47年ぶりの快挙となる。

また、これまでの長い歴史の間でパ・リーグの新人選手が打率3割をマークしたのは、石毛宏典選手(.311、当時西武・1981年)、清原和博選手(.304、当時西武・1986年)、渡辺清選手(.303、当時阪急・1955年)、そして横田真之選手(.300、当時ロッテ・1985年)のたったの4人だけ。このパ・リーグ史上5人目、そして左打者に限ると横田選手以来リーグ史上2人目という記録も十分視野に入る。

なかなか上昇の兆しをつかめないチームに出現した希望の光。5月11日にプロ初本塁打を放ち、お立ち台で新人王について聞かれた際には、「1試合1試合必死にやっているので、その結果がそういう結果(新人王)につながればいいなとは思いますけど、1試合1試合これからも大事にやっていきたいです」と力強く語っている。新人王獲得&3割達成なるか、ルーキーが躍動する姿にご注目あれ。

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