埼玉西武の「負けない男」。岡本投手31歳、先発としての覚醒

パ・リーグ インサイト 望月遼太

2017.8.23(水) 00:00

大型連勝が途切れて以降も快進撃を続ける埼玉西武で、先発ローテーションの一角として活躍している岡本投手。今季ここまでの成績は9試合6勝0敗1セーブ、防御率3.70と、1人で貯金「6」を生み出す安定した投球で、波に乗るチームを後押ししている。

岡本投手は国士舘大学時代にエースとして活躍。ヤマハで評価を高め、2009年のドラフトで埼玉西武に6位指名されたが、2012年まではプロの壁に苦しみ、3年間で通算11試合に登板して防御率9.95と、結果を残すことができなかった。

2013年シーズン、岡本投手に転機が訪れる。6度の先発を含む32試合に登板して4勝4敗6ホールド、防御率3.84と存在感を発揮し、チームのAクラス入りに貢献。さらにクライマックスシリーズファーストステージ第2戦の先発を任されると、レギュラーシーズンでも未経験の完封勝利を決める。ポストシーズン初登板でプロ入り初完封を記録したケースは過去になく、飛躍のシーズンに自ら花を添えた。

その後の2シーズンも、先発と中継ぎを兼任しながら一軍で登板を重ねていた岡本投手。2016年はわずか4試合の登板に終わってしまうものの、31歳で迎えた2017年、6月7日の巨人戦でシーズン初登板を果たすと、5回2/3を無失点で今季初勝利を挙げる。

さらに白星を挙げてチームに貢献するが、7月中旬からは一旦ブルペンに回ることに。7月11日の千葉ロッテ戦では最後の3イニングスを投げてプロ入り初セーブをマーク。7月26日のオリックス戦から再び先発に回り3連勝。これまでのプロ生活と同じく多様な起用法に応えつつ、先発投手としての確かな成長を見せ付けている。

今季、1試合で投げた最長イニングは6回が最高と体力面で課題を残しているが、先発して5イニングスを投げ切れなかった試合、および今季4失点以上を喫した試合は8月9日のオリックス戦のみだ。ほぼ全ての登板で安定して試合を作り、後続にバトンを託している。強力打線と安定した救援陣を誇る埼玉西武にとって、それが勝利の近道であることは、岡本投手の成績が如実に示しているであろう。

ここまで7試合の先発で6勝と非常に高い確率でチームに勝利をもたらしてきたが、8月16日の試合でお立ち台に上がった際には「もっともっと長い回を投げられるように頑張ります」と語り、自身の課題を修正していく意気込みを示した岡本投手。昨季までは投手陣に生じた穴を埋める「便利屋」としてチームを支えてきた男が、今季からは「負けない」先発投手として、次なるステージに歩みを進めようとしている。

記事提供:

パ・リーグ インサイト 望月遼太

この記事をシェア

  • X
  • Facebook
  • LINE