7月21日から8月4日にかけて、球団記録に迫る13連勝を果たした埼玉西武。連勝が途切れた5日の福岡ソフトバンク戦でも終盤で6点差を追い付くなど、炎獅子ユニホームにふさわしい「炎の猛攻」を見せた。8月15日現在、首位・福岡ソフトバンクとのゲーム差は、4.5まで縮まっている。
長打力が開花し、ますます隙のない5ツールプレイヤーとなった秋山選手、自身2度目の打撃タイトルを目指してチームをけん引するキャプテン・浅村選手、走・攻・守で存在感を発揮するゴールデンルーキー・源田選手はもちろんのこと、「おかわり2世」こと山川選手や外崎選手、7月の月間打率4割超の金子侑選手らの活躍もめざましい。数多くの本塁打王を輩出してきた伝統ある強力打線は、上位2チームを確かに脅かしている。
そんな埼玉西武打線に、さらなる破壊力をもたらすだろう男が帰ってきた。170センチ、80キロ。姿勢を低くしてバットを立てた左打席での姿が印象的な、森選手だ。
高身長の投手と対戦したときなどは身体の小ささが際立つが、その打力は春夏の甲子園を制覇した高校時代から突出していた。プロ2年目の2015年、「マツダオールスターゲーム2015」に選出されると、10代の選手としては2人目の快挙となる「球宴本塁打」を放つ。同年、史上17人目となる高卒2年目でのシーズン2桁本塁打を達成した。
プロ4年目の今季は開幕前の左肘の骨折により、ここまで戦線離脱を余儀なくされていた。今月8日、ファームで約5カ月ぶりの実戦復帰を果たすと、翌日には逆方向に特大ソロをかっ飛ばし、豪快に復調をアピールする。捕手としての調整には時間がかかるため、当面はDHあるいは代打起用となる見込みだが、その打棒の頼もしさは、上位2チームへの追撃に燃えるチームをますます盛り立てるだろう。
森選手は8月15日に一軍に合流すると、その日の楽天戦で、7番・DHとして即スタメン出場を果たす。ファンの大歓声に迎えられながら最初の打席に立ったのは、1回裏、2死1,3塁の場面だった。制球が安定していなかったとはいえ、初対戦だったコラレス投手の初球を、さすがのスイングスピードで鋭くはじき返すと、早速今季初打点を挙げる。5対5の同点で迎えた4回裏には、一時勝ち越しの適時三塁打も放った。
試合は両チーム2桁安打、複数本塁打が飛び交う乱打戦となったが、結果的に森選手は3打数2安打3打点と、復帰直後にも関わらず、それを感じさせない好調な打棒を披露。山川選手とともにお立ち台にも立った。
お立ち台では「個人としてもチームとしてもまだまだ上を目指せるなと思います」と話した森選手。一軍復帰最初の試合ですぐさまこのように結果を出せるのは、怪我をしてからここまでの長くもどかしい調整期間を、真摯に取り組んできた証だろう。リーグトップの打率を誇る「強打の獅子打線」をさらなる高みへ押し上げてくれるかもしれない森選手のバットに、今後も期待せずにはいられない。
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