海の向こう、メジャーリーグでは今年10月に43歳を迎えるマイアミ・マーリンズのイチロー選手が現役を続け、依然としてここぞという場面でチームにとって欠かせない活躍を続けている。衰え知らずの活躍ぶりには本当に驚かされるばかりだ。
イチロー選手も所属したパ・リーグは昨年、多くの功労者が引退し、現在は最年長選手が投手では楽天・レイ投手(41歳)、野手では千葉ロッテ・井口資仁選手(41歳)となった。若くて勢いのある選手が次々に台頭してくるプロ野球という厳しい世界において、段々と年齢を重ねるごとにタイトルから遠ざかっていくということは、どうしても避けることはできない。しかし、年齢を重ねてもなお進化を続け、今年もタイトル争いに加われそうな「超人」がオリックスにいる。
まだシーズン終了まで90試合ほどを残しているものの、6月1日試合終了時点で、盗塁王争いに絡んでいるのが、今年7月に35歳の誕生日を迎えるベテランの糸井嘉男選手。リーグトップ(15盗塁)を走る北海道日本ハム・西川遥輝選手を追う2位(13盗塁)につけている。
盗塁は瞬時の判断、加速力などさまざまな要素が絡むが、やはり動ける若い選手が獲得する傾向が目立つ。ここ5年間での盗塁王のタイトルを獲得している選手を見渡してみると、2011年が福岡ソフトバンク・本多雄一選手(当時27歳)、2012年は楽天・聖澤諒選手(当時27歳)、2013年は北海道日本ハム・陽岱鋼選手(当時26歳)。さらにここ2年間はさらに若返り、2014年が北海道日本ハム・西川遥輝選手(当時22歳)、2015年は北海道日本ハム・中島卓也選手(当時24歳)が盗塁王のタイトルを獲得している。
上記した5選手の平均年齢は25.2歳。しかし糸井選手は、それを約10歳も上回る35歳。もし西川選手らとの争いを制して35歳での盗塁王獲得となると、82年の福本豊氏(当時阪急)、93年の大石大二郎氏(当時近鉄)と並び、プロ野球史上最年長の35歳シーズンでの盗塁王獲得となる。
ただし両者とも厳密にいうと34歳11か月での盗塁王となったため、今年7月31日に35歳となる糸井選手が獲得すると、35歳2か月という実質「プロ野球史上最年長」での盗塁王獲得ということになる。さらに、これまで手が届いていなかった自身初の盗塁王のタイトルに輝くということにもなる。
なおMLBでは世界の盗塁王、リッキー・ヘンダーソン氏が39歳で盗塁王を獲得したという実績も。さすがにこれはまだまだ先の話ではあるが、まずは「プロ野球史上最年長」での盗塁王獲得が視野に入る糸井選手の、「超人」と言われ続ける抜群の身体能力。球界に新たな歴史を刻めるかに注目したい。
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