今、プロ野球が向き合うべき問題。埼玉西武ライオンズが“野球遊びのきっかけ”を生む球団初の試み

パ・リーグ インサイト

2017.8.14(月) 00:00

7月21日の北海道日本ハムファイターズ戦、エース・菊池雄星投手の好投での勝利を皮切りに、翌月の4日まで13連勝(59年ぶり)と快進撃を見せた埼玉西武ライオンズ。10連勝を飾った8月1日には、本拠地での観客動員数が100万1525人に到達したと発表した。44試合目での到達は、実数発表が導入された2005年以降最速の記録であり、様々な試みが実を結び、好結果として現れる形となった。

そんな埼玉西武ライオンズが8月15日(火)から17日(木)の3日間、本拠地・メットライフドームで行われる楽天イーグルスとの3連戦で「エンジョイベースボールシリーズ」を行うことを発表。“子供たちに野球遊びのきっかけを”というコンセプトのもと、球団初の試みで深刻化している中学生以下の野球競技者減少に歯止めをかける。

この3連戦の来場者には、「野球」をテーマにしたタブロイドを配布。最終日となる17日には、小学生以下の全員を対象に“ライオンズのロゴ入りゴムボール”がプレゼントされる。ゴムボールは柔らかい素材で作られているため、安心して野球遊びができるように配慮がなされており、野球に触れるきっかけとしては絶好の機会となるだろう。また、試合前には「野球崩壊 深刻化する『野球離れ』を食い止めろ!」の作者・広尾晃氏によるトークショーが組まれており、“皆でできる野球人気復活への取り組み”などの提言が語られる予定だ。

今回の企画に携わる、株式会社西武ライオンズの事業部コミュニティグループ担当・別府学氏は「小学生や幼児が野球遊びを経験することなく成長し、野球を知らない子どもが多くなってきているという事情を見てきている。競技者数を増やす為には野球界全体だけではなく、子育て世代の一般の方も一緒に“きっかけ”、“場所”、“支える人”の整備が急務だと感じています」と危機感を口にする。

そのうえで、「以前に比べて学校や公園で自由に遊べなくなってきている事が運動離れの一因ではないかと考えており、それには見守る大人、野球遊びの伝承を行える大人が減っている事も要因になっている。今回のイベントでは野球競技者人口の減少、特に若年層の野球離れが深刻だという事を野球ファンに伝え、子どもたちへ野球をプレーする楽しさを伝える活動を一緒にやっていきたい」という思いが込められ、球団初の試みとして実現に至ったと説明する。

野球の競技者の減少は、今後プロ野球界がしっかりと向き合っていくべき大きな課題であり、今のタイミングで手を打たなければという所まで来ているとも言えるだろう。

前出の別府氏はイベント開催を前に「指導することだけが野球の普及・振興だけでなく、野球の楽しさを伝える事・成長を見守る事が“継続”につながると思います。難しく考えず、家族や地域の子どもたちと野球遊びを通じてスポーツの楽しさを一緒に伝えていきましょう」と呼び掛ける。

夏休み最後の思い出作り、そして野球をプレーする良いきっかけとなり、これを機に野球の競技者人口が右肩上がりとなることを願いつつ、“野球遊び”を体感しにメットライフドームに足を運んでみてはいかがだろうか。

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