文句ない“先発復帰"だった。東北楽天・松井投手が27日、ZOZOマリンスタジアムで行われた千葉ロッテ戦に先発し、5回を投げて3安打、7奪三振、無四球、無失点の好投。2014年以来、4年ぶりとなる先発としてのマウンドに臨んだ左腕だったが、スタミナの不安も感じさせず白星を手にした。
長らく東北楽天の抑えを務めてきた男の新たな挑戦。「きれいなマウンドは久しぶり。楽しもうと思って投げました」。初回、危なげなく3者凡退で切り抜けると、リズムに乗った。2回も3者凡退、3回は1死から鈴木選手に中越えの二塁打を打たれたものの、田村選手、平沢選手を切って得点を許さない。
145キロ前後の直球でカウントを稼ぎ、勝負どころのスライダー、チェンジアップが冴えた。4回は無死1,2塁のピンチを招いたが、中軸の井上選手を中飛、安田選手を三邪飛とすると、女房役の堀内選手が相手の盗塁を防いで切り抜けた。5回は3者凡退。80球程度の球数を想定していた中で、83球、7奪三振という上々の内容だった。
打線も頼もしかった。2回1死1,2塁、内田選手が右中間に先制の3ラン。2013年のドラフト1位が松井投手、2位が内田選手。「同級生が先発している中で、一本打てて良かった」。左腕を勢いに乗せる一発は、球団生え抜きの右打者としては初の2桁本塁打となる10号。来季の中軸として期待される和製大砲候補も期待に応えた。
5球団が競合の末、東北楽天入りした松井投手。2年目からはチーム事情もあって抑えに回り、任されたポジションでもキッチリ結果を出し続けた。今季こそ苦しんだものの、今月16日に通算100セーブを達成。22歳10カ月という史上最年少での到達となった。だが、桐光学園時代は甲子園で1試合22奪三振という伝説を残した男だけに、もともとは先発として計算されていた。来季を見据え、可能性を探る意味でも先発挑戦が決まった。
その試合で最高の結果。「力まず、リラックスして投げることが目標でした」という言葉通り、終始落ち着いた表情で先発としての役割を果たした。すでに「2018 パーソル クライマックスシリーズ パ」進出の可能性も消え、厳しいシーズンとなった2018年の東北楽天。来季の再浮上に向け、楽しみな材料が加わった。
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