今夏の出場校別。かつて甲子園を戦ったパ・リーグ選手たち

パ・リーグ インサイト

2017.8.7(月) 00:00

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8月8日から始まる「第99回全国高等学校野球選手権大会」。負ければそこで終わりという緊張感の中で、全力プレーを披露する高校球児たちの夢舞台が、いよいよ幕を開ける。もちろん、現在日本野球界のトップで戦う選手たちにも、高校球児だった時代があった。そこで今回は、今夏の甲子園出場を果たした49校の卒業生にあたる、パ・リーグの支配下選手に注目していきたい。

【北海道日本ハム】
鍵谷投手・瀬川投手(北海)
石井一選手(作新学院)
浅間選手・高濱選手・近藤選手(横浜)
中田選手・高山投手(大阪桐蔭)
西川選手(智弁和歌山)
有原投手・上原投手(広陵)
高良投手(興南)

昨季日本一のチームが誇るリードオフマン・西川選手は、智弁和歌山高校時代は怪我に悩まされながらも第91回、92回大会に出場し、潜在能力の高さを示した。8月7日現在はリーグ2位の27盗塁、打率.299をマークし、チーム不動の1番打者として定着している。母校の飛躍が、さらなる活躍を呼ぶか。

大阪桐蔭高校出身の主砲・中田選手は、「平成の怪物」の異名を持ち、高校通算87本塁打を記録した。作新学院高校出身のルーキー・石井一選手は、主将として第94回大会に出場し、チームをベスト8に導いている。今季はチームの新人では唯一、開幕一軍登録を勝ち取った。

【楽天】
八百板選手(聖光学院)
阿部選手(花咲徳栄)
藤平投手(横浜)
嶋選手(中京大中京)
吉持選手(広陵)
安樂投手(済美)
石橋投手(明徳義塾)

扇の要・嶋選手は、意外にも夏の甲子園の出場経験はない。後輩たちの奮闘を、自身の活躍で後押ししたいところだ。安樂投手は2年生時に出場した第95回大会で、甲子園最速タイとなる155キロをマークし、多くの高校野球ファンにその存在を印象付けた。今季は開幕から怪我で出遅れ、今も思うような投球を披露できていないが、これからの巻き返しに期待がかかる。

昨年の大会を沸かせた横浜高校出身のルーキー・藤平投手の存在感は、まだ野球ファンの記憶に新しいだろう。2回戦の履正社高校との一戦では、自他ともに認めるライバルである寺島投手(東京ヤクルト)と名勝負を繰り広げた。6月16日には今季の高卒ルーキー最速の一軍登板を果たし、堂々とした投球を見せている。

【埼玉西武】
戸川選手・川越投手(北海)
今井投手(作新学院)
高橋光成投手(前橋育英)
愛斗選手(花咲徳栄)
森選手・浅村選手・中村選手・岡田選手(大阪桐蔭)
中田選手(鳴門渦潮)
野上投手(神村学園)

埼玉西武は主力に大阪桐蔭高校出身の選手が目立つ。今季すでに24本塁打を放っている主砲・中村選手は高校でも4番に座り、通算83本塁打を記録した。高校時代、意外にも1番を務めていた浅村選手は、第90回大会で29打数16安打、打率.552という打力と華麗な守備を見せ、チームの全国制覇に大きく貢献した。森選手も2年生時の第94回大会で優勝。3年生時は高校日本代表の主将を務めている。

さらに、チームには甲子園の優勝投手も在籍している。前橋育英高校出身の高橋光成投手は、2年時の第95回大会で5完投を果たし母校の初優勝の立役者となった。今年のフレッシュオールスターに出場したルーキー・今井投手は、作新学院高校のエースとして昨年の大会に出場。登板した全試合で150キロ以上をマークすると、北海高校を破って全国制覇を成し遂げた。

【千葉ロッテ】
平沢選手(仙台育英)
岡田選手(作新学院)
根元選手(花咲徳栄)
金森投手(東海大菅生)
高濱選手・涌井投手(横浜)
香月選手・江村選手(大阪桐蔭)
角中選手(日本航空石川)
宗接選手(神戸国際大付)
中村選手(天理)
宮崎投手(下関国際)

涌井投手は横浜高校のエースとして第86回大会に出場すると、3完投を含む気迫の投球を披露。今季もリーグ5位の投球回を投げ、そのスタミナを遺憾なく発揮している。

平沢選手は、仙台育英の中心選手として第97回大会に出場し、3本塁打を放ってチームの準優勝に貢献した。また、香月選手は大阪桐蔭高校の副主将として出場した第96回大会で、27打数12安打1本塁打、打率.444を記録し、見事優勝を果たしている。

【オリックス】
吉田一投手(青森山田)
園部選手(聖光学院)
佐藤世投手(仙台育英)
若月選手・岡崎選手(花咲徳栄)
鈴木選手(東海大菅生)
澤田投手(大阪桐蔭)
伊藤選手(明徳義塾)
大城選手(興南)

現在オリックスの捕手一番手を務める若月選手は、花咲徳栄高校の出身だ。3年生時は惜しくも夏の甲子園出場を逃したが、プロ入りの決め手となったその安定した守備で、後半戦も引き続きチームの力になりたい。同じく花咲徳栄高校出身の岡崎選手は2年生時に出場した第97回大会で、チームメイトの吉田凌投手と中日の小笠原投手を擁する優勝高の東海大相模高校を相手に、3安打と気を吐いている。

大城選手は、2年生時に自慢の俊足で母校の興南高校の春夏連覇に大きく貢献した。今季は75試合に出場し、18犠打を決めるなどして手堅くチームを支えている。聖光学院高校出身の園部選手は、第94回大会と第95回大会に4番で出場し、2大会を通して打率.500の好成績。現在はファームでの戦いが続いているが、大舞台での経験を一軍でも生かしたい。

【福岡ソフトバンク】
三森選手(青森山田)
松本裕投手(盛岡大付)
上林選手(仙台育英)
攝津投手(明桜※秋田経済法科大付)
松坂投手(横浜)
明石選手(山梨学院)
栗原選手(坂井※春江工業)
岡本投手(神戸国際大付)
今宮選手(明豊)
九鬼選手(秀岳館)
島袋投手(興南)

仙台育英高校出身の上林選手は、2年生時から連続で甲子園に出場し4番を務め上げた。プロ4年目の今季は、一軍で2桁本塁打を放つなど才能が開花。首位を争う強力打線の一角として存在感を示している。

また、興南高校出身の島袋投手と、横浜高校出身の松坂投手はともにエースとして甲子園春夏連覇を成し遂げている。今季はファームでの調整が続いているが、本来の投球を取り戻すことができれば、チームにとって大きな好材料になることだろう。

ルーキーの九鬼選手は、昨年の甲子園では秀岳館高校の主将を務め、攻守にわたる活躍でチームをベスト4に導いている。1年目から多くの経験を積み、将来は激しい正捕手争いに加わっていきたい。


野球選手になるためには様々な道があり、甲子園で活躍することが絶対条件というわけではないが、高校球児だった時代の経験を良くも悪くも代え難いものだと捉える選手は、きっと少なくないだろう。自分自身で納得の行く結果だったから、あるいは後悔の残る結果だったからこそ、あの短い夏の思い出が、その後の野球人生にも大きく影響を及ぼす。

甲子園は、高校生が青春を燃やす部活の全国大会であって、観衆を楽しませるエンターテインメントではない。だからこそ毎年のように、筋書きのないドラマを目撃できる。同時に、未来のプロ野球をけん引するスター選手の、未完のプレーを見ることのできる絶好の機会でもある。8月8日に、早速開会式と第1回戦が行われる。重い校名を背負い、炎天下で戦うすべての選手たちに、ぜひあたたかい声援を送ってほしい。

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