打率1割の苦悩から2年。真摯な努力で信頼を勝ち取り、ファンに愛される楽天・ウィーラー選手

パ・リーグ インサイト 望月遼太

2017.7.16(日) 00:00

7月9日、楽天は「We love ウィーラー!」と銘打ったイベントを開催した。昨年も大好評を博したこのイベントの存在こそ、楽天の主砲・ウィーラー選手が、チームから厚い信頼を寄せられている証拠だろう。しかし来日3年目を迎え、ユニークなキャラクターでファンに愛されているウィーラー選手も、現在の地位を手に入れるまでには多くの苦難を乗り越えなければならなかった。

内外野全てをこなせるユーティリティプレーヤーという触れ込みで2015年に来日し、楽天に入団したウィーラー選手。同年の開幕戦で見事来日初本塁打を放つという好スタートを切ったが、以降は深刻な打撃不振に悩まされることに。2番で起用されるケースもあったが結果を残せず、7月31日までに4度もの登録抹消。度重なる再調整を余儀なくされた。

しかし、ウィーラー選手は真摯に日本球界に溶け込む努力を続け、その姿勢が最終盤に結果へと結び付く。同年8月20日から4番に座ると、9月と10月だけで8本塁打をマークし打率も3割3分を超えるなど大爆発。「明日もいくわよ」とファンに呼びかける陽気なヒーローインタビューもお馴染みとなっていった。

最終的に2015年の成績は91試合に出場して274打数70安打14本塁打50打点、打率.255というもので、無事翌年の契約も勝ち取った。

来日2年目となった昨季、ウィーラー選手はさらなる進化を遂げる。梨田新監督によってシーズンの大半で4番を任されると、随所でその長打力を発揮して指揮官の期待に応える。チーム状況に応じて三塁と左翼を守り分けるなど、守備でも持ち前のユーティリティ性でチームを助けながら、前年比でほぼ倍増、リーグ全体でも3位タイとなる年間27本塁打を記録。主砲としての責任を、しっかりと果たしてみせた。

しかし来日3年目を迎えた今季は、開幕から絶好調なチームにあって、ウィーラー選手の状態はなかなか上向かなかった。3番や4番といった中軸を任されながら4月を終えた時点での打率は.191。来日初年度を思い起こすような苦しい成績となってしまう。徐々に適応して逆境から這い上がってみせたのもその時同様だ。

5月に入ると23試合87打数29安打10本塁打、打率.333と大活躍。続く6月も22試合87打数28安打4本塁打、打率.322と好調を維持し、6月を終えた時点での打率は.281。2カ月で打率を9分も上昇させ、優勝争いを繰り広げるチームの中で、主軸としての役割を果たしている。

そして迎えた先述の「We love ウィーラー!」が開催された日の試合において、ウィーラー選手は5打数3安打1本塁打4打点と、チームの全得点の大半を叩き出す。自身の名を冠したイベントが開催された試合で見事お立ち台に上がる活躍を果たし、2年連続でイベントを企画した球団、そして声援を送ってくれたファンの期待に応えてみせた。

2年目の入団会見で、「チームメイトからの信頼を得て、チームメイトを信頼したいと思います。エネルギーを出して、熱く・元気よくプレーをすることが信頼に繋がると思いますし、オフザフィールド(野球以外)でも信頼したいです」と語っていたウィーラー選手。

1年目は瀬戸際に立たされ、厳しい目を向けられることもあった。しかしその誠実な人格、野球に向き合う真摯な姿勢、そして自身のひた向きなプレーによって、チームとファンからの厚い信頼を勝ち取った。

前半戦を終えた現時点での打率は.288、本塁打は19本と、昨季の成績をさらに上回りそうな気配だ。首位ターンを決めたチームがこのままリーグ制覇を果たすためには、ウィーラー選手の活躍が今後も欠かせないだろう。チームを愛し、チームに愛される頼もしい大砲は、これからも周囲の信頼に応えるためにバットを振り続ける。

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パ・リーグ インサイト 望月遼太

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