これこそが動員力の秘密。イベントでこのように楽しませ、ファンは増え続ける

パ・リーグ インサイト 武山智史

2018.8.15(水) 14:51

【撮影:武山智史】
【撮影:武山智史】

福岡ソフトバンクの「タガガールデー」、千葉ロッテの「スーパーレディースデー」…。近年、パ・リーグに限らずプロ野球全体で目立つのは女性をターゲットにしたイベントの開催だ。元来、男性ファンが多いプロ野球だが、最近では女性ファンを多く取り込むことで新たなファン層開拓を図っている。

その流れは一軍だけでなく、二軍でも広がっている。北海道日本ハムの二軍本拠地・ファイターズ鎌ケ谷スタジアムでは7月7、8日のイースタン・リーグ 東京ヤクルト戦で女性ファンを意識した企画「鎌スタ女子の日」が開催された。ファイターズ鎌ケ谷スタジアムと言えば、これまでにも球場内にプールを設置したり、婚活イベント「スタ婚」を実施したりするなど二軍独自で様々な試みを行ってきた実績があるが、今回の企画は大学生のインターン生による発案で行われたイベントだ。インターン生の戸村美佳さん(明治大3年)は言う。

「『女性を対象としたイベント』という全体像は決まっていて、それ以降はインターン生で考えて企画しました」

球場外では「インスタ映え」を意識したフォトフレームや原宿で人気のスイーツが販売され、地元企業と協力して出店した占いブースや化粧品のサンプリングと女性ファンを意識した店が並ぶ。さらには浴衣の着付けサービスと女性ファンにとって、試合以外の面で楽しめるポイントが盛りだくさんとなっていた。

中でもひときわ目立っていたイベントが

また、今回の企画で目を引いたのが前売りで販売された「カメラ女子チケット」だった。バックネット裏の指定席券に加え、試合前にグラウンドレベルから撮影と練習見学ができるという、一軍の試合でもなかなかない特典がセットになっているチケットだ。戸村さんは「最近は球場でカメラを構える女性も増えています。インターン生の中でも、一ファンとして選手に近い距離で写真が撮れるのは魅力的という意見が出た」とその企画意図を語る。

近年、プロアマ問わず、野球場にて一眼レフカメラで選手を撮影する「野球カメラ女子」を多く見かけるようになった。カメラメーカーからも女性向けに野球の撮り方を紹介する冊子が発行されるなど、プロ野球を見るだけでなく「撮影する」文化も生まれつつある。

当日のカメラ女子の様子は…

試合開始3時間前の午前10時。グラウンドではホームチームの北海道日本ハムが試合前練習で汗を流す中、3塁側カメラマン席前では1組10分間×3組で練習見学&撮影がスタートした。

スタッフの案内でグラウンドに足を踏み入れた参加者たちは、カメラを構えて選手を撮影し始める。150mm-600mmの望遠レンズで撮影する若い女性は姫野優也選手のファン。「本当はキヤノンのEOS 1D X(キヤノンの一眼レフカメラの最高機材)も持っているのですが、重いので今日はEOS 6Dで撮影しています」とこだわりの機材で選手の姿を追う。

また、「子どもの運動会撮影でカメラを始めた」という女性は「普段はネットが重なるのですが、ネットが無く最高です」とグラウンドレベルでの撮影を楽しんでいた。この日の先発投手である村田透投手は外野からベンチへ戻る際、女性たちの向けたカメラに思わずVサインをする場面も。これに対し「いつもの癖で選手にあいさつしてしまって、撮れなかった…」と悔しがる参加者の姿もあった。

最後の組ではソニーのミラーレス一眼のカメラで撮影していた女性は、「今日のために望遠レンズをレンタルしました」と語った。平沼翔太選手のファンだが、一軍帯同中だったため「誰を撮影するか探しています…」と選手の一挙手一投足に集中。この「カメラ女子チケット」は初日の7日で22人、2日目の8日で定員いっぱいの30人が試合だけでなく、試合前の練習撮影も堪能した。

試合中に目を向ければ、スコアボードの文字がピンク色で表示。試合前と7回には地元・鎌ヶ谷高校のダンス部がそのダンスパフォーマンスで球場を大いに盛り上げた。この日のイベント内容からも北海道日本ハムのファーム(二軍施設)が魅力的で、ファンを惹きつけるモノが充実しているということを知ることができた。女性対象のイベントは一軍だけではない。今後もファイターズ鎌ケ谷スタジアムからの新しい情報発信が気になるところだ。

【撮影:武山智史】
【撮影:武山智史】

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