5月末に開幕した「日本生命セ・パ交流戦 2024」は東北楽天が13勝5敗、勝率.722の成績をおさめ、うれしい球団初優勝を達成した。この頂点にたどり着くまでの18試合を振り返る。
VS横浜DeNA(横浜スタジアム)
5月28日横浜スタジアムで迎えた開幕戦は、交流戦連覇を狙う横浜DeNAにじわじわとリードを許す展開。5点ビハインドの7回表、東北楽天が2死満塁とし、代打・伊藤裕季也選手でいざ反撃…… というところで無情にも雨脚が強まり、コールド負けとなった。
2戦目は太田光選手の1号ソロで均衡を破ると、横浜高出身・渡邊佳明選手が慣れ親しんだ球場で適時打を放つなど点差を広げる。投げては内星龍投手が5回無失点の好投し、チームに今季交流戦初白星をもたらした。
3戦目は初回に村林一輝選手の2号ソロで幸先よく先制すると、1点を追う6回表に鈴木大地選手の適時二塁打などで逆転。7回表には小郷選手と辰己涼介選手の適時打で突き放す。終盤1点差に迫られたが、宋家豪投手と則本昂大投手の無安打投球で逃げ切り、交流戦最初のカードを勝ち越した。
VS東京ヤクルト(福島、楽天モバイルパーク宮城)
2カード目の初戦は福島・県営あづま球場に東京ヤクルトを迎えた。7回裏に小郷選手の適時打で1点差に迫った東北楽天。9回裏、1死から小深田大翔選手と小郷選手に連打が出ると、代打の代打・フランコ選手が左中間へ3ラン。逆転サヨナラ勝利でチームは今季初の3連勝となった。
福島での一戦を終え、東京ヤクルト2回戦から楽天モバイルパークへ。3回裏に村林選手の3号3ランで先制し、7回裏には村林選手と辰己選手の連続適時打など一挙5得点で突き放す。先発・松井友飛投手は6回1失点で今季1勝目を挙げ、チームも4連勝した。
3戦目は東京ヤクルト・石川雅規投手から得点を挙げられずにいると、この交流戦2度目の降雨コールド負け。それでもこの3連戦を2勝1敗で終え、交流戦2カード連続で勝ち越した。
VS阪神(甲子園)
3カード目は甲子園で行われた阪神戦。1戦目の先発・ポンセ投手は6回3安打6奪三振1失点の快投を見せる。5回表に村林選手の適時打で同点に追いつくと、試合は1対1で延長戦へ。延長10回表、フランコ選手の安打をきっかけに2死2塁とし、代打・茂木栄五郎選手の三塁打で勝ち越すと、小郷選手も適時二塁打で続き、またしても逆転勝利をおさめた。
2戦目は先発・内投手が6回2失点も、打線が大竹耕太郎投手から得点できず。しかし0対2の8回表、辰己選手が二塁打で出塁し、代打・阿部寿樹選手の内野ゴロの間にまず1点を返す。そして9回表、先頭・小深田選手の安打などで2死2塁から、小郷選手がライトスタンドへ逆転2ランを突き刺した。
対阪神3回戦は藤井聖投手が投打二刀流で躍動。2対1の4回表、1点を追加しなおも2死1、2塁のチャンス。ここで藤井投手がプロ初安打初打点となる適時打で貴重な追加点を叩き出す。本業の投球はプロ入り最長の7.1回を投げ、3安打7奪三振1四球1失点の好投。同一カード3連勝に貢献した。
VS中日(バンテリンドーム)
中日との初戦は1回表、1番・小郷選手が本塁打性の大きな当たりで二塁まで進むと、辰己選手の内野ゴロの間に先制。2回表には阿部選手が古巣から適時打を打ってみせた。投げては早川隆久投手、酒居知史投手、則本投手による無失点リレー。2点差で逃げ切った。
2戦目は打線がルーキー・古謝樹投手を序盤から援護。2点を追う2回表、渡邊佳選手と太田選手の適時打で追いつき、小郷選手にはプロ初の満塁ホームランが飛び出す。援護に守られた先発・古謝投手は2回以降、中日に得点を許さず。6回9安打2失点と粘り、プロ1勝目を手にした。
3戦目は阿部選手に先制の一発が出るも1対3で逆転負け。今季最長となっていたチームの連勝は「5」で止まった。
VS巨人(楽天モバイルパーク宮城)
交流戦最後のホーム6連戦。対巨人1回戦は先発・ポンセ投手が5回まで投げるも、本塁打3の6失点(自責点3)と苦しい展開に。しかし2対6の8回裏、7試合ぶりにスタメン出場した浅村栄斗選手が5号2ランを打ち、続く9回裏に阿部選手の押し出し四球で1点差。すると、小郷選手がここでも勝負強さを見せた。2死満塁から逆転の2点適時二塁打で試合を決めた。終盤2イニングを抑えきった津留崎大成投手が4年ぶりの勝利投手に。
翌日も打線の勢いは止まらず、初回からフランコ選手に3ランが出るなど、打者一巡で5得点する。先発・内投手は6回2失点(自責点1)で3勝目。則本昂大投手は巨人に1点差に迫られたが、同点は阻止し今季15セーブ目を挙げた。
巨人3回戦は4回裏にフランコ選手が先制適時打。7回裏には辰己選手の適時打などで3対0とした。投げては5投手の継投で巨人打線を完封し、同一カード3連勝を飾った。
VS広島(楽天モバイルパーク宮城)
ラストは好調・広島との3連戦。1戦目は早川投手と広島・大瀬良大地投手による息詰まる投手戦となった。早川投手は援護を待ちながら延長10回を投げ抜き、4安打11奪三振無失点と気迫の投球。ところが打線は走者を出すが決定打に欠いていると、延長11回に犠飛で1点を奪った広島に惜敗した。
広島2回戦は先発・古謝投手が先制を許すなど6回4失点。7回裏に太田選手の適時三塁打などで3点を返したが、反撃はそこまで。2試合連続で1点差で敗れ、交流戦開幕から続いていた連続カード勝ち越しも「5」で止まってしまった。
福岡ソフトバンクに12勝5敗で並ばれて迎えた交流戦最終戦。2回裏、浅村選手と渡邊佳選手が連打すると、敵失で3点を先取する。3回裏には安打の辰己選手を一塁に置いて、4番・鈴木大地選手がライトスタンドへ1号2ランを運び、勝利をぐっと引き寄せた。
投手陣は先発・松井投手が3回無失点に抑え、その後は細かな継投で逃げ切りを図る。終盤に追い上げられたが、則本投手がラストバッターを三振に仕留めゲームセット。同率だった福岡ソフトバンクが阪神に敗れたため、東北楽天の球団初となる交流戦優勝が決定した。
再開するリーグ戦も、いただきへ駆け上がっていけるか
交流戦前後でチーム成績を比較すると、順位は5位から4位へ上がり、勝敗数は18勝26敗1分から、31勝31敗1分と勝率を5割に戻した。
交流戦期間中は投打で「1996年世代」が光った。劇的な一打を何度も放った小郷選手が交流戦3位タイの13打点と活躍し、辰己選手は打率.292、交流戦2位タイの5盗塁を記録。規定に到達していないが、渡邊佳選手も15試合で打率.354のハイアベレージ。藤井投手は3試合に先発し、3勝負けなしで優勝に貢献。中継ぎの鈴木翔天投手も8試合無失点だった。
ほかにも交流戦から一軍に合流したフランコ選手や、4番を務めた鈴木大選手も存在感を発揮。一時はスタメン落ちを経験した浅村選手も最後の広島3連戦で11打数5安打と復調を感じさせる。投手陣も早川投手は期間中1勝にとどまったが、23イニングで3失点、防御率0.39と貫禄の投球。酒居投手、渡辺翔太投手、宋家豪投手も好リリーフを続け、則本投手は交流戦2位タイの6セーブを記録した。
文字通り投打がかみ合って成し遂げた交流戦初優勝。再開するパーソル パ・リーグ公式戦もこの勢いに乗って「いただき」へたどり着けるか。
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