早川隆久-太田光バッテリーは何が変わったのか。強気の投球に理由あり

パ・リーグ インサイト

東北楽天ゴールデンイーグルス・太田光選手、早川隆久投手(C)パーソル パ・リーグTV
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乱調から一転、見事な完投勝利

早川隆久投手 投手成績(C)データスタジアム
早川隆久投手 投手成績(C)データスタジアム

「2週間前はいろいろとお騒がせして申し訳ありませんでした」。5月3日、千葉ロッテ相手に9回1失点で完投勝利を挙げた早川隆久投手がお立ち台で発したのは、喜びの言葉ではなく謝罪だった。お立ち台の隣には、その試合マスクをかぶった太田光選手。早川投手が謝罪したのは、5失点と振るわなかった前回登板の試合後の発言が野球ファンを驚かせたためだった。

 5月3日の白星は、早川投手と太田選手の再出発の1勝だ。そこで今回は、4月までとそれ以降の試合で早川投手と太田選手のバッテリーがどのように変わったのかを分析していきたい。

速球中心の組み立てへの変化

早川隆久投手 球種別投球割合(C)データスタジアム
早川隆久投手 球種別投球割合(C)データスタジアム

 まずは、早川投手と太田選手のバッテリーで投球割合がどのように変わったのかを見ていきたい。4月までの早川投手は太田選手とのコンビで計398球を投じたが、その内ストレートは153球。割合にすると38.4%という数字だった。一方5月の投球を見てみると、その割合は45.0%まで増加。またカットボールも同じように割合を増やしてきており、ストレートとカットボールという比較的速いボールが投球の6割以上を占めるような組み立てに変化している。

苦しいカウントでこそ見せた攻める姿勢

カウント別のストレート投球割合(C)データスタジアム
カウント別のストレート投球割合(C)データスタジアム

 こうした投球スタイルの変化は、カウント別の投球割合にも表れている。4月まではストライク先行時こそストレートの割合が4割を超えていたが、カウントが打者有利に近づくほど変化球を選択するケースが増えていた。しかし5月は打者有利カウントでのストレートの割合が49.3%と投球の半分近くまで増加。中でも完投勝利を挙げた5月3日の試合では、62.5%とその傾向がより顕著に表れている。

カウント別のストライク率(C)データスタジアム
カウント別のストライク率(C)データスタジアム

 また投球に占めるストライクの割合を見ても、打者有利のカウントでは大きな改善が見られた。4月まではストライク率がリーグ平均を下回る数字に留まっていたが、5月は10ポイント近く向上。ボールになればより苦しい投球を強いられるカウントで、しっかり打者と勝負できるようになっている。

直球の割合増加と併せて、苦しい状況下でこそ攻めのピッチングをできるようになったという点が、早川-太田バッテリーに見られた大きな変化といえそうだ。

早川隆久投手 カウント別被打率・被出塁率(C)データスタジアム
早川隆久投手 カウント別被打率・被出塁率(C)データスタジアム

 こうした変化も影響してか、打者有利カウントでの成績は劇的に改善を見せている。4月までは被打率が5割超え、被出塁率に至っては.680とカウントを悪くするとほとんど抑えることができていなかったが、5月は被打率1割台と打者を封じることに成功。またストライク率が改善したことで、5月の3試合で与えた四球は2つのみと余計な走者を出すケースはほとんどなくなった。こうして不利なカウントでも好結果に繋げられていることが、投球全体の安定感に影響を与えている。

5月3日、早川投手が最後に対峙した打者は田村龍弘選手だった。カウントは2ボール1ストライク。奇しくも打者有利のカウントだ。早川投手が投じた127球目はストレート。打球は力なくライトのグラブに収まり、マウンドでは大きな壁を乗り越えた早川投手と太田選手が抱き合っていた。

※文章、表中の数字はすべて2024年5月19日終了時点

文・データスタジアム

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