今季は開幕から好調な打撃を続けている
攻守両面でチームの要となることを期待され、2019年ドラフト2位で千葉ロッテに入団した佐藤都志也選手。昨季までの4年間は満足のいく打撃成績を残すことができなかったが、5年目の今季は5月12日終了時点で25試合に出場して打率.321を記録。本塁打こそ出ていないものの、開幕からバットで存在感を示している。本コラムでは、佐藤選手の好成績を生み出しているバッティングの変化について見ていきたい。
引っ張り傾向が強かった打球方向に変化が
初めに紹介するのは打球方向の変化だ。昨季までは全体的に引っ張り傾向が強かったが、ストレートと変化球に分けて年度別の打球方向を見てみると、今季はストレートをレフト方向、つまり左バッターである佐藤選手にとっての逆方向に飛ばしていることが分かる。一方で変化球を捉えた際は昨季までと同様にセンターから右方向への打球が多く、球種によって打球を広角に打ち分けていることが見てとれる。
今季はストレートに振り負けない
次に示したのは球種別のコンタクト率で、毎年のリーグ平均はストレートが84~86%、変化球が72~74%程度となる。最も目を引くのは98.5%と非常に高い今季のストレートコンタクト率だろう。ここまでストレート65球にスイングを仕掛け、空振りはたったの1つ。しかもその1つはハーフスイングを取られたもので、打ちにいっての空振りは1度も喫していない。リーグ平均以下の82.2%であった前年と比べると、ストレートへの対応力は格段に向上しているといえる。また、元々平均以上の数値を記録していた変化球コンタクト率も同水準を維持しており、変化球への対応も決しておろそかになっていない。先に示した通り、今季はストレートを逆方向にはじき返しており、直球を引きつけて打つ意識を強く持っていると考えられる。この新たな打撃スタイルがストレートと変化球両方への対応を可能にしているのだろう。
ストレートへの対応についてもう少し掘り下げてみる。投球をバットでコンタクトした際、その結果はファウルまたはインプレー打球のどちらかになる。上の表で示したのはストレートコンタクト数に占めるインプレー打球の割合で、今季のリーグ平均が47.4%である中、佐藤選手は66.7%と高い数値を記録している。つまり、ストレートを引きつけて逆方向へ打つ意識を持ちながら、振り遅れて空振りやファウルにすることなく、しっかりとフェアゾーンに打球を飛ばしているということになる。
ストレート打率はリーグ屈指
昨季までのストレート打率は良くて2割台中盤であったが、今季はここまでリーグ屈指の打率.378を記録。さらに、例年であれば2割前後と低調な変化球打率も.256と良化しており、確率良くヒットを放つことができている。広角に打ち分ける打撃とストレートへの対応力、この2つの変化が好成績につながっているのだろう。
50年ぶりの勝率1位でのリーグ優勝を目指す千葉ロッテは、現在リーグ3位につけている。ここ数年、正捕手と呼べる存在がいないチームにとって、佐藤選手の飛躍が大きなプラスとなることは間違いない。シーズン終盤に訪れるであろうその時に、ホームプレートからマウンドへ駆け寄り歓喜の輪に飛び込むのは、幕張で新たに誕生した「打てる捕手」かもしれない。
※文章、表中の数字はすべて2024年5月12日終了時点
文・データスタジアム
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