7月26日、北海道日本ハムの岡大海外野手と千葉ロッテの藤岡貴裕投手のトレードが両球団から発表された。両者ともに背番号「18」を背負っていたというだけでなく、2016年には故障がありながら出色の活躍を見せていたが、そこから2年は不振に苦しんでいたという点も共通しているのが興味深いところ。共にその潜在能力を高く評価されていた選手なだけに、環境の変化をきっかけに覚醒できるか。
岡選手は2016年の終盤に大活躍し、日本一に大きく貢献
倉敷商業、明治大学を経て2013年のドラフト3位で北海道日本ハムに入団した岡選手は、ルーキーイヤーに負った大ケガを乗り越えて翌2015年には一軍に定着。101試合に出場し打率.236、4本塁打、26打点という打撃成績を残す。それに加えて18盗塁、10犠打と器用さを示し、俊足強肩の外野手として早くも台頭を見せていた。
2016年には度重なるケガで41試合の出場にとどまったものの、打率.374と出場した試合では抜群の存在感を発揮。とりわけチームが反攻体勢を整えるに至った球団新記録の15連勝中の活躍ぶりはめざましく、チームの逆転優勝に少なからず寄与してみせた。日本シリーズでもチームの勝利に貢献し、大きな成長を感じさせるシーズンとなった。
翌年はセンターとして長きにわたってファイターズを支えた陽選手(現・巨人)がFAでチームを離れたこともあり、岡選手はその後継者候補のひとりとして期待をかけられる存在となっていた。しかし、60試合で打率.169と絶不調に陥ってしまい、定位置獲得の大きなチャンスを生かすことができず。今季も28試合で打率.154と状況は変わらず、一軍での出場機会も徐々に減少しつつあった。
しかし、イースタンでは26試合の出場で打率.329と好調で、出塁率.429と選球眼も向上。千葉ロッテは開幕から「1番・センター」として好調を維持していた荻野貴選手が故障で離脱し、それ以降は中堅手のポジションを固定できない状況に。加えてレフトの角中選手も指名打者に入るケースが少なくないことを勘案すれば、俊足と強肩を兼ね備えた岡選手が環境の変化によって本来の打撃を取り戻せば、外野の一角に割って入るチャンスは十二分にあるはずだ。
一方の藤岡貴投手はルーキーイヤーに6勝、その後は中継ぎへ
藤岡貴投手は桐生第一高校から進学した東洋大学で絶対的なエースとして大活躍し、圧倒的な成績を残したことで2011年のドラフトでは目玉選手のひとりとなっていた。そして、3球団競合の末に抽選で千葉ロッテへの入団が決まり、エースナンバーの「18」が与えられるなど入団当初から将来を嘱望される存在だった。
藤岡貴投手はその期待に応え、1年目から開幕ローテーションに入って4月までに早くも3勝をマーク。順調なスタートを切ったかに思われたが、その後は思うように勝ち星を伸ばせず。21試合で6勝7敗、防御率3.36という成績に終わり、有力候補とされていた新人王も同期入団の益田直也投手が受賞するなど、開幕前の期待値を思えばやや不満の残るルーキーイヤーとなってしまった。
翌2013年からは2年続けて6勝10敗という数字となり、2015年からは中継ぎとしての登板が主になっていく。プロ入り当初の高い期待にはなかなか応えきれずにいたが、それでも入団以来5年続けて20試合以上に登板し、そのうち4度は防御率3点台以内と、慢性的な左腕不足に悩むチームにあって貴重なサウスポーとして奮闘していた。
とりわけリリーフに専念した2016年は開幕から好調で、イニング跨ぎもいとわずに大車輪の活躍。途中まで防御率1点台をキープするなど成績を大きく向上させ、中継ぎ左腕として新境地を開拓しつつあった。しかし、シーズン中盤以降に離脱した影響で32試合の登板にとどまり、不運な形で大きな飛躍のチャンスを逃すことになってしまった。
翌年も中継ぎとして10試合に登板したが、防御率16.62という大不振に陥りプロ入り後ワーストのシーズンを送ってしまう。先発に完全転向して臨んだ今季はさらに苦しいシーズンとなり、イースタンでも13試合で防御率4.20と不振から抜け出せず。一軍での登板機会はここまで一度も得られていなかった。
環境の変化をきっかけに、本来の実力を発揮するか
ここ2年間はスランプにあえいでいたが、そのポテンシャルの高さはアマチュア時代から広く認められていた。球威が2016年に近いレベルに戻れば、復活の可能性は大いにあるはずだ。左の先発が不足している北海道日本ハムのチーム事情もあって、藤岡貴投手が自身の希望する先発投手として一軍で登板できる可能性も残されている。巨人からのトレードをきっかけに本来の実力を発揮できるようになった大田選手と同様、環境の変化を触媒にかつての姿を取り戻すことができるだろうか。
ゆくゆくは将来のチームを担う存在に…と期待されながら、故障もあってここ2年間は満足のいく結果を残せていなかった両者。岡選手は27歳、藤岡貴投手は29歳。今回のトレードをきっかけに、「第二の春」を謳歌できる可能性は決して低くはないだろう。投手と野手という立場の違いこそあれど、両チームの背番号「18」同士のトレードとなった今回の移籍がどのような結果をもたらすのか、ファンならずとも注目されるところではないだろうか。
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