プロ野球離れを防ぐため、パ・リーグが実施した大学での「マーケティング」に関する講義とは

パ・リーグ インサイト

2017.5.29(月) 00:00

(C)PLM
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先日、パ・リーグ6球団を代表し、パシフィックリーグマーケティング(以下PLM)が東京都国立市の一橋大学にて、インタラクティブ・マーケティングの授業として「プロ野球パシフィック・リーグとマーケティング」という講義を実施。“プロ野球離れ”が進んでいる若い世代の男女に少しでも興味を持ってもらうという活動の一環として行われた。

この講義では、なぜPLMができたのかといった設立のきっかけから、PLMが提供している主なサービスについて。そして、講義の要でもある、パ・リーグが6球団合同でやることでのメリットやスポーツ界全体への影響など、PLMマーケティング室室長の荒井勇気氏が約1時間半に渡って熱弁をふるった。

今回の講義の実現には、「マーケティングとIT」との関係を専門的に研究している一橋大学商学研究科・神岡太郎教授に、PLMがデータ分析の協力をお願いしたという背景がある。教壇に立った荒井氏は「2017年シーズンからパ・リーグTVでも本格的なデータ分析の取り組みを開始しており、学術的な観点を含め神岡先生のお力を多々お借りしています。そのなかで神岡先生から、『今回の講義を通して、若い学生さんの意見も参考に聞いてみませんか?』と素敵なご提案を頂戴したことで、今回の講義を実施することとなりました」ときっかけについてこのように説明する。

講義の内容は冒頭で示したとおりだが、それ以外にも荒井氏から「球場に足を運んだことがある人」や「その中でもパ・リーグの試合を見に行ったことがある人」などの質問も学生に向けて投げられた。60人ほどが出席した講義の約半数の30人が挙手し、パ・リーグに限定すると、そのさらに半数の15人ほどという結果に。それを受けた荒井氏は「得られているデータからも、パ・リーグが約半数というのは当然の結果。だからこそ、次々に新しいことを打ち出していかなければならないんです」と真剣な眼差しで学生に訴えかけた。

約1時間半に及ぶ講義の終了後、参加した学生からは、「野球は好きですが、このような色々な試みをされていることは知らなかった」や、「野球に詳しいわけではないが、今日の講義を受けて今後はパ・リーグの取り組みを見ていきたい」などの感想を聞くことができた。

「プロ野球観戦をしたことのない学生さんが大半でしたが、とても熱心に話を聞いてくださっていましたし、その後の質疑応答や感想などからも、真剣にパ・リーグの現状を理解してくれたことが印象に残っています。今回の授業を通し、『もっとこうしたら良いのでは?』という意見は真摯に受け止めて実現できる方法を探りたいですし、引続き神岡先生のお力をお借りしながら、パ・リーグの現状分析と新たな施策案を模索していきたいと思います」と講義を終えた荒井氏は率直な感想を述べ、今後についての展望を語った。

講義を見届けた神岡太郎教授は「一般の学生にとって、スポーツは馴染みがあっても、そのビジネスやマーケティングについては、意外に知られていない領域です。PLM様には教室で学んだデジタルマーケティングを、応用して考えるのに、非常によい機会を提供していただきました。荒井様の講義を受けて、受講生は、その奥の深さに、驚いたようです。スポーツを別の視点からも見るきっかけになったのではないかと思います」

「また、このゲスト講義は、PLM様と神岡研究室との間の共同研究のキックオフとして、提供していただいたものです。研究室の方では、顧客経験という視点から、顧客行動データを分析することにチャレンジし始めました。学生は、リアリティのある課題に大変エキサイトしていますし、PLM様のフレンドリーな態度に何か親しみのようなものをもちはじめたようです。今風に言えば、エンゲージメントでしょうか。私も今後の共同研究の展開をとても楽しみにしています。」と締めくくった。

パ・リーグとしては、あえて野球を知らない学生が過半数を占める中での講義を行ったことで得られた収穫も多かったことだろう。また、それと同時に今後改善していくべき課題もいくつか見つかったはずだ。パ・リーグ6球団が今回の大学での講義を通して何を学び、どのような取り組みを行っていくか。これからのパ・リーグの動向に注目していきたい。

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