2024年と同じく、2017年にも若手主体で招集
2024年の3月6日・7日に開催される「カーネクスト 侍ジャパンシリーズ2024 日本 vs 欧州代表」で、日本代表と欧州代表が対戦する。今回の日本代表は若手選手を主体としたメンバー構成となっているだけに、各選手の今後の成長にも期待したいところだ。
過去には、2017年に行われた「ENEOS アジア プロ野球チャンピオンシップ2017」においても、今回と同じく若手主体のメンバー選考が行われていた。今回は、同大会の日本代表におけるパ・リーグ戦士の顔ぶれと、その後の各選手の活躍ぶりを振り返っていきたい。
翌年の最多勝右腕や、ブルペンの中心として活躍した投手たちが顔を並べる
「ENEOS アジア プロ野球チャンピオンシップ2017」に選出された、当時パ・リーグの球団に在籍していた投手の、翌年の成績と2023年終了時点の通算成績は下記の通り。
野田昇吾氏は2017年に38試合で防御率1.98と安定感抜群の投球を見せ、翌2018年には自己最多の58試合に登板。防御率3.51、奪三振率8.78と持ち味を発揮し、セットアッパーとして19ホールドを記録。貴重な左腕として苦しい台所事情を支える活躍を見せ、同年のリーグ優勝にも貢献を果たした。
多和田真三郎投手は2017年こそ16試合の登板で5勝にとどまっていたが、代表選出後の2018年に大ブレイク。16勝を挙げて最多勝のタイトルを獲得し、先発の柱としてリーグ優勝の立役者となった。自律神経失調症の影響で長期にわたる活躍は叶わなかったが、残したインパクトは鮮烈だった。
近藤大亮投手は2017年に55試合で25ホールド、奪三振率11.48と素晴らしい数字を残す。2018年も52試合で防御率3.33と前年と同様に安定した投球を見せ、2019年まで3年連続で50試合に登板。翌年にトミー・ジョン手術を受けて長期離脱を強いられたが、2022年に32試合で防御率2.10と復活し、リーグ優勝と日本一に貢献してみせた。
平井克典投手はプロ1年目の2017年から42試合で防御率2.40と活躍を見せ、2018年は64試合で21ホールドを記録。2019年にはパ・リーグ新記録となるシーズン81試合登板の快挙を達成し、セットアッパーとしてリーグ連覇に大きく貢献した。その後は先発と中継ぎを兼任しつつ、主力投手としてチームを支え続けている。
堀瑞輝投手は高卒1年目の2017年、一軍登板はわずか4試合ながら日本代表に抜擢を受ける。翌2018年は防御率5点台と苦しんだが、2019年に53試合に登板して台頭を果たす。2021年には60試合で防御率2.36、42ホールドポイントと出色の投球を見せ、最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得する大活躍を披露した。
各チームの正捕手や2名の2冠王など、後に大成を果たした選手が多く存在
続いて、同大会に選出された、当時パ・リーグの球団に在籍していた投手の、翌年の成績と2023年終了時点の通算成績を見ていこう。
若月健矢選手は2017年に100試合に出場して正捕手の座をつかみ、続く2018年には114試合で打率.245と奮闘。2020年以降は他の捕手陣と出場機会を分け合いつつ、主力捕手の一人として攻守に堅実な活躍を見せ、2021年以降のリーグ連覇にも大きく貢献している。
近藤健介選手は2017年にわずか57試合の出場ながら、打率.413という驚異的な数字を残した。翌2018年は規定打席に到達して打率.323を記録し、その後もリーグ屈指の好打者として3度の最高出塁率を受賞。2023年には本塁打と打点の2冠王にも輝くなど、球界を代表する名選手へと成長を遂げている。
田村龍弘選手は2015年に定位置を確保し、2016年には打率.256でベストナインを受賞。代表選出翌年の2018年には自身初の全試合出場を果たし、不動の正捕手として活躍した。翌年以降は故障で出場機会が徐々に減少したが、2023年は2年ぶりに70試合に出場するなど、再び主力捕手として存在感を示した。
甲斐拓也選手は2017年に103試合に出場して主力の座をつかみ、代表選出後の2018年以降は不動の存在に。「甲斐キャノン」と呼ばれる強肩とパンチ力のある打撃を武器に、3度のベストナイン、6度のゴールデングラブ賞を獲得。2018年には日本シリーズMVPに輝くなど、球界屈指の捕手として活躍を続けている。
2017年のパ・リーグ新人王でもある源田壮亮選手は、翌2018年も2年連続となるフルイニング出場を果たし、自己最高の打率.278を記録。6度のゴールデングラブ賞に輝いた圧倒的なショートの守備に加え、4度のベストナインも受賞。2021年には盗塁王も獲得するなど、走攻守の全てでチームを支えている。
外崎修汰選手は2017年からレギュラーに定着し、2018年は自己最高の打率.287、25盗塁を記録。外野から二塁に転向した2019年には26本塁打、OPS.846と大活躍を見せ、リーグ連覇に大きく貢献した。同学年の源田選手と組む二遊間はまさに鉄壁で、二塁手として2度のゴールデングラブ賞にも輝いている。
中村奨吾選手は代表選出直前の2017年は85試合の出場にとどまっていたが、2018年は自身初の全試合出場を達成。自己最高の打率.284、39盗塁を記録し、不動の主軸に成長した。3度のゴールデングラブ賞に輝いた二塁守備の評価も高く、精神的支柱として若手の多いチームをけん引している。
松本剛選手は2017年に115試合で打率.274を記録し、外野のレギュラーとして活躍した。2018年以降は故障もあって苦しんだが、プロ11年目の2022年に大ブレイク。打率.347という圧巻のハイアベレージを残して首位打者を獲得し、一躍チームの主力選手へと飛躍を遂げた。
山川穂高選手は2017年にわずか78試合で23本塁打を放ち、OPS1.081と出色の活躍を披露。2018年には打撃三部門でいずれもキャリアハイの数字を記録し、本塁打王とリーグMVPを受賞した。これまで3度の本塁打王、1度の打点王に輝くなど、近年の球界を代表する和製大砲として活躍を続けた。
上林誠知選手は2017年にレギュラーの座をつかみ、134試合で打率.260、13本塁打を記録。続く2018年は全143試合に出場し、打率.270、22本塁打に加え、歴代4位タイのシーズン14三塁打を放った。その後は故障もあって苦しんだが、代表選出の翌年に出色の活躍を見せた点は注目に値しよう。
2024年の代表に選出された選手たちも、前回の“成功”を再現できるか
以上のように、ポテンシャルの高さを発揮しきれていないオコエ瑠偉選手を除く全員が、翌年以降に一軍で大きな活躍を見せていた。また、代表選出直後の2018年に好成績を残した選手が多かった点も特徴的であり、2024年の代表メンバーにも同様の活躍が期待されるところだ。
さらに、近藤選手、甲斐選手、源田選手、山川選手の4名は、後に2023年のワールド・ベースボール・クラシックの優勝メンバーとなった。すなわち、日本代表の中長期的な強化という側面においても、2017年の代表選考は意義のあるものだったといえよう。
後に大きな活躍を見せた2017年のパ・リーグ戦士と同様に、2024年の日本代表に選出された若手選手たちも、これからブレイクを果たすことができるか。今後の日本球界を担うことが期待される今回の代表メンバーの活躍に、ぜひ注目してみてはいかがだろうか。
文・望月遼太
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