ケガで棒に振った2年前のリベンジ。新エースは今年こそ優勝の美酒を味わえるか

パ・リーグ インサイト 望月遼太

2018.7.19(木) 19:00

北海道日本ハムファイターズ・上沢直之投手(C)PLM
北海道日本ハムファイターズ・上沢直之投手(C)PLM

故障を乗り越え、輝きを放ち続ける24歳の長身右腕にとって、2018年はまさにターニングポイントと呼ぶにふさわしい年だ。

北海道日本ハムの上沢直之投手が開幕から快投を続け、チームの新たなエースへと名乗りを上げている。球宴初出場をも果たした若武者は、「今のところすごくいい形で投げられているので、調子を崩さずにやっていきたいです」と、今後の登板をしっかりと見据えている。

若くして、2年以上に及ぶ苦難の道のり

専大松戸高校から2011年ドラフト6位で北海道日本ハムに入団した上沢投手は、3年目に先発陣の一角に加わると、23試合で8勝8敗、防御率3.19とブレイク。ポストシーズンでも先発登板の機会を得るなど、飛躍の1年を過ごした。

しかし、ここから上沢投手を待っていたのは、2年以上に及ぶ苦難の道のりだった。翌2015年は13試合5勝6敗、防御率4.18と成績を落とし、続く2016年は故障の影響でシーズンを棒に振ることに。球史に残る大逆転劇を演じ、リーグ優勝・日本一を飾ったチームに全く貢献することができず、1年が終わってしまった。

復活を期して臨んだ昨年、故障が癒えた上沢投手は徐々に本来のピッチングを取り戻していく。チームの不振もあって15試合の登板で4勝9敗と負け越したものの、防御率は3.44と上々の数字。この投球内容を球団側も高く評価していたようで、背番号「15」を背負うことになった。

成功者の多い背番号を背負い、臨んだ2018年シーズン

北海道日本ハムの「15」といえば、1982年に最多勝・最高勝率・ベストナインを受賞した工藤幹夫氏や、先発と抑えの双方で活躍し、1991年の最優秀救援にも輝いた武田一浩氏が背負った番号でもある。

さらには2004年に最優秀救援を受賞した横山道哉氏、2010年に新人王となった榊原諒氏もこの番号をつけており、先述のメンドーサ投手も含めて成功者の多い番号と言える。

「背番号が変わって来季にかける思いもありますし、自分の中で良いきっかけになると思います」と、背番号が軽くなった喜びを語った上沢投手は、「大好きなメンドーサの後に15番をつけられることもうれしいです」と、自身が一軍にデビューした2014年、ともにローテーションを支えた前任者に対する思いも語っていた。

大谷翔平選手、クリス・マーティン投手、増井浩俊投手らがチームを離れたため、今季開幕前の北海道日本ハムの前評判は高くなかった。そんな中で上沢投手は開幕ローテーション入りを果たすと、周囲の期待を上回る圧巻のピッチングを見せていく。

5月23日の段階で防御率1.18と、序盤戦の投球はまさに支配的。その後はやや数字を落としたものの、6月26日の福岡ソフトバンク戦では完封を記録するなど、7回以上を投げて自責点0の試合は、14試合のうち実に6度。ハイレベルな投球をコンスタントに披露していることが分かるだろう。

新たなエースとして、上沢投手にかかる期待

今季、前評判を覆して優勝争いを繰り広げる北海道日本ハム。そんなチームをけん引し、大谷選手に代わる新たなエースとしての期待も高まりつつある上沢投手。

高卒の長身右腕という点でも、北海道日本ハムの歴代のエースと重なる部分がある。実際に「松戸のダルビッシュ」と呼ばれた上沢投手が、エースの系譜を継ぐ存在となれるかどうかは、今後の投球にかかってくるだろう。

若き右腕は、「松戸のダルビッシュ」から「ダルビッシュの後継者」となれるか。まだ24歳。大きな伸びしろを秘めた背番号「15」は、故障を乗り越えて一段上のステージへと進みつつある。

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パ・リーグ インサイト 望月遼太

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