3球団競合・埼玉西武ドラ1の武内夏暉が語る来季への思いと、憧れの選手

パ・リーグ インサイト

2023.12.7(木) 18:30

武内夏暉投手【写真:筆者撮影】
武内夏暉投手【写真:筆者撮影】

 10月26日に行われたプロ野球ドラフト会議で、3球団がが1位で入札した武内夏暉投手の交渉権を獲得したのは、今季5位からの巻き返しを図る埼玉西武ライオンズだった。

 16日に入団交渉を終えて仮契約を結んだ武内投手に、ドラフト会議を終えた現在の心境やプロ選手としての抱負を語ってもらった。

「前の日は美容室に行ったり、練習したりして、いつもと同じような生活をするように心がけていましたが、実際はどこかソワソワして、落ち着かない日々を過ごしていました。試合とは違う緊張感がありましたが、進路が決まった時にはとにかくホッとして、気持ちが楽になりました」と、武内投手は“人気候補”として過ごしたドラフトまでの日々を振り返る。

 ドラフト会議終了後には、埼玉西武・松井稼頭夫監督が武内投手を表敬訪問。「格好良くてスターのオーラを感じた」という松井監督との2ショットは、埼玉西武の新たな歴史の到来を予感させるものであった。

 背番号は武内投手の憧れでもある和田毅投手や今永昇太投手など「左のエースが付けているイメージ」の21番に決定。「1日でも早くチームの戦力になれるように頑張っていきたい」と、来季に向けた思いを語った。

「東都7人衆」は刺激し合うライバル 人間的な成長が今につながっている

【写真:筆者撮影】
【写真:筆者撮影】

「これまでの4年間でやってきたことを出し切ろう」と大学最後の秋季リーグに臨んだ武内投手は、4位に終わったチームの中で最優秀防御率(0.97)とベストナインを獲得。終わってみれば「満足したシーズン」だったものの、今季の東都大学リーグは、終盤まで優勝もリーグ最下位で入れ替え戦に回る可能性もあるという緊迫感に満ちた戦いとなった。

 開幕カードの日本大戦(9月2、3日)で2連敗。「初戦で勝てるかどうかは結構大事なので、試合に負けた辛さや悔しさが込み上げてきて。本当にしんどくて、気持ちを切り替えるまでに時間がかかりました」。

 今年のドラフト会議では、武内投手をはじめ東都大学リーグでプレーする7人の投手がNPBの1位指名を受けるなど、「戦国東都」と呼ばれるリーグの実力を示すこととなった。

「互いに刺激し合いながらここまで来られたので、その存在は本当にありがたい」と他校のライバルへの思いを語る武内投手は、「入れ替え戦に行きたくないという思いや、日頃から1点の重みに向き合っていることが高いレベルの競争につながっている。僕に関しては、野球だけでなく人間として成長できたことや、監督やコーチ、チームメイトとともに歩んだ日々の積み重ねが、今につながっていると思います」と、自身の経験を交えながら東都大学のエースたちがドラフト1位を席巻した理由についても言及する。

コントロールと変化球を磨いて、勝てる投手に

左/武内夏暉投手 右/渡辺久信ゼネラルマネジャー【写真:球団提供】
左/武内夏暉投手 右/渡辺久信ゼネラルマネジャー【写真:球団提供】

 パ・リーグの印象を「DH制が導入されていることもあって、山本由伸さんのようにレベルの高い投手が揃っている」と語る武内は、理想の投手像として福岡ソフトバンク・和田毅投手の名を挙げる。

「球の出どころが見にくい投球フォームは僕も参考にしていますし、僕もプロの世界で長年に渡って活躍できる投手になれたらと思っています。活躍されている投手は皆さんコントロールが良いので、コントロールや絶対的な決め球になるような変化球を磨きあげて、“勝てる投手”になれるように頑張っていきたい」

 来季の飛躍を誓う武内投手が一番得意とするのは、大学3年の秋に習得したというツーシームだ。「ストレートとの軌道の違いに戸惑う相手打者からゴロを量産することができて、リーグの優勝旗を手にすることができたのはツーシームのおかげでもあるんです」。意外と短期間で身に付けられたという新球種を武器に4勝を挙げ、最高殊勲選手に輝いた武内投手は、昨秋のリーグ優勝に貢献。國學院大初の明治神宮大会決勝の舞台にも導いた。

【写真:国学院大提供】
【写真:国学院大提供】

「埼玉西武は隅田知一郎投手のような若手投手が活躍していますし、高いレベルの投手陣の中でプレーできることが今から楽しみ。1年目の来季はまずはローテーション入りを目指し、最終的には新人王獲得を目標にしていきたい。僕のセールスポイントでもある“インズバ”と言われる打者のインコースに投げ込むストレートに注目してほしいです」と力強いコメントを寄せた。

佐々木朗希投手や柳田悠岐選手との対戦を熱望

 来季のパ・リーグでは、「フルスイングが魅力的な選手。自信のある真っ直ぐで打ち取りたい」という柳田悠岐選手と「同世代のトップを走っているので、ぜひ投げ合ってみたい」と佐々木朗希投手との対戦を心待ちにしているという武内投手は、今は卒業に向けた論文の制作に追われているという。

 テーマは日米の野球文化の違いや歴史に関する内容で、今年行われたWBCのテレビ観戦や、今夏にアメリカで開催された日米大学野球に参加して感じた両国の野球文化の違いなど、自身の経験も反映される予定だという。

「独特な雰囲気が漂うアメリカの球場でのプレーした記憶がとても印象に残っていて。まずは西武で活躍して、侍ジャパンの一員に選ばれるような日本を代表する投手になりたいですし、WBCや日本シリーズのようなプレッシャーと隣り合わせの大舞台で投げられること今から楽しみにしています。そのためにも即戦力として期待して下さっている皆さんの思いに応えられるように、埼玉西武の力になれるように全力で頑張っていきたいと思っています」

文・白鳥純一

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