日ハム右腕マルティネスは若手の見本。栗山監督が評価する、野球と向き合う姿

Full-Count 石川加奈子

2018.6.22(金) 15:25

北海道日本ハムのニック・マルティネス【写真:石川加奈子】
北海道日本ハムのニック・マルティネス【写真:石川加奈子】

ここまでチームトップの7勝「ベンチにいる俺らもこれだけ感じるわけだから」

北海道日本ハムのニック・マルティネス投手が22日の楽天戦(楽天生命パーク)で先発する。若い投手陣のお手本になっている助っ人右腕がリーグ戦再開の先陣を切る。

昨季までメジャー通算88試合に登板して17勝を挙げたマルティネスは、今季開幕から抜群の安定感を発揮している。11試合に先発し、6回以上を投げて自責3以内のクオリティースタート(QS)を果たせなかったのは2試合だけ。3試合で完投しており、チームトップの7勝をマーク、防御率は2.75と頼りになる存在だ。

その能力と野球に取り組む姿勢を高く評価する栗山英樹監督は、マルティネスを若手のお手本と位置付けている。

指揮官の口からその言葉が出たのは、6月14日の阪神戦後だった。マルティネスが毎回走者を出しながら7回6安打無失点と好投して7勝目を挙げた試合。5回まで2-0とどちらに転んでもおかしくない試合展開だったが、結果的に6回以降に打線が爆発して11-3で大勝した。

「(マルティネスは)調子どうこうは別問題として、先頭をかなり出しながら、気持ちを切らさず、本当に丁寧に、一つ一つ我慢して前に進めてくれる感じもあった。それが打線に気持ちがすごく伝わったと思う」

必死に投げる姿がチームに大きな影響を与え、試合を動かす。指揮官は若い投手陣に、そのことを感じてほしいと願っている。

「マルちゃんの場合、今日この1球を投げたらもう終わりますという雰囲気で投げている。ベンチにいる俺らもこれだけ感じるわけだから、やっている選手たちは絶対に感じるはず。それがどういう大きさなのか。何がものを動かすのか。マルちゃんの姿はいろんな選手たちに、そのことを伝えてくれているという風に思っている。そういう意味でもチームにとって大きい」

謙虚な人柄の本人が真っ先に口にする言葉「打って守ってくれた野手のおかげ」

指揮官が選手たちに求めているのは結果ではなく、野球と向き合う姿だ。

「粘って投げている姿を見せても、打たれる時もあるんだけども。そういう風に打たれたら、納得できるし、そこまで考え尽くしたら、やられても次につながるよね。何となくと投げているボールはないので、こうなのかというものが自分でもわかるはずだし」

昨季レンジャースで18試合に先発した元メジャーリーガーが初めてプレーする日本で1球1球魂を込めて投げる姿。それが見えないところでチームを動かし始めている。

6勝を挙げ、防御率はリーグ4位の2.30と今季好調の上沢直之投手は言う。「毎回試合をつくれるのはすごいと思います。長いイニングを投げていますし。タイプは違いますが、勉強になるので、話を聞いています。考え方とか、どうやったらそこでその球を投げられるのかとか」とマルティネスに一目置き、参考にしている。

マルティネス自身は、周囲への配慮を欠かさない謙虚な人柄。勝利後、真っ先に口にするのは「打って守ってくれた野手のおかげ」という言葉だ。5月に誕生した長女の話題になると目尻を下げながら「赤ちゃんは泣き声でしか伝えられない。どういう意味があるか、一つ一つ勉強中だけど、つかめてきたよ」と愛嬌たっぷりに語ったりする。

交流戦で3戦3勝と調子を上げて臨む1戦。自然体で日本に溶け込んでいる温厚な助っ人右腕が、マウンド上で見せるプロフェッショナルな姿に注目したい。

記事提供:Full-Count

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