北海道日本ハム・公文克彦、開花の兆しを見せる元G左腕。吉井Cの一言がきっかけに

Full-Count 石川加奈子

2018.6.20(水) 14:45

北海道日本ハム・公文【写真:荒川祐史】
北海道日本ハム・公文【写真:荒川祐史】

今季23試合に登板し防御率1.16と抜群の成績を残す

北海道日本ハムの中継ぎ左腕、公文克彦投手が好調だ。今季23試合に登板して、防御率は1.16と抜群の成績を誇る。

巨人から移籍2年目、今やチームに欠かせぬリリーバーになった。交流戦最終戦となった18日の広島戦(マツダスタジアム)では3点リードの6回に2番手で登板。2死から丸に左前打を許した後、4番の鈴木に圧巻の投球を見せた。フルカウントからファウルで粘られたものの、最後は足元近くを襲うスライダーで空振り三振に仕留めた。

この場面が象徴するように、インステップから内角をえぐるボールを投げ込み、右打者に圧倒的な強さを誇る。左打者の被打率.283に対して、右打者は.190だ。左、右、左、右と続く広島の1番から始まる打線を無失点に抑え、反撃の糸口を与えなかった。

「右(打者)の方が抑えているので、1イニングいける良いリリーバーになる」と吉井理人投手コーチの評価は高い。41試合で防御率2.70だった昨季と今季の違いについて問われると、少し考えてからこう言った。

「特に変わったところはない。去年から素晴らしい投球をしていたので。変わったとしたら、去年よりも監督の信頼度が上がったこと。いいところで使ってくれている。その差じゃないかな」

ホールドポイント数は6(1勝5ホールド)で、宮西、石川直、トンキン、西村に次ぐチーム5位ながら、投げる度に信頼度を上げている。4月22日福岡ソフトバンク戦から6月12日阪神戦まで17試合連続無失点。投手陣で防御率1点台は、公文と防御率1.56の宮西尚生投手の2人だけだ。

「17試合無失点の時は真っすぐでしっかり腕を振ることができ、その分スライダーも良かった。バロメーターは真っすぐです。今は若干落ち気味ですが、フォームの修正ポイントは分かっているので」と公文は落ち着いた口調で自己分析する。

3月31日の埼玉西武戦で痛打を浴び4月5日に登録を抹消

13日阪神戦では福留に2ランを打たれたが、その後3試合無失点を続けており、崩れる気配は全くない。「ピッチングもメンタルも波があるタイプなので、浮き沈みを少なくすることを目標にしています。シーズンは長いので、気持ちの切り替えを大事にしています」と精神面も充実している様子だ。

開幕時の失敗を糧にした。今季初登板した3月31日西武戦で打者2人に連打されて降板。この1試合投げただけで4月5日に登録抹消された。

降格後、吉井投手コーチから指摘された体重移動の修正に取り組んだ。「開幕の頃はしっくりくる投げ方ではなかったんです。右足を上げてから前に行くタイミングが早く、ためがなかった感じ。後ろ体重を意識してやっているうちに、調子が良くなり、いい状態に戻せました」と公文。4月20日に昇格して、抜群の安定感を発揮している。

今後の課題は、1年通して投げる体力だ。吉井投手コーチは、開幕時の不調について「体力がないので、やりたいことができなかった」と見ている。「コンディションが課題。若いので、体力強化を図りながら成長していってほしい」と注文を付ける。

公文自身も一番気を付けているのは故障だ。「状態は浮き沈みがあると思いますが、故障だけはしないようにしたいです。打たれて(2軍に)落ちるなら納得がいきますが、けがしたら悔いが残る」とコンディションに気を配る。

好調を維持しながら狙うのは、勝利の方程式入り。「勝ちパターンに入っていきたいです。それには結果を残すしかないと思っています」。成長著しい26歳左腕が北の大地で大きな殻を破ろうとしている。

記事提供:Full-Count

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Full-Count 石川加奈子

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