豪州代表のダリル・ジョージがオリに在籍した2017年、山本由伸は新人
ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場する豪州代表には、日本の野球を良く知る選手、首脳陣が何人もいる。三塁手として打線の中核を担うダリル・ジョージ内野手もその1人だ。BCリーグの新潟や、オリックスで育成選手としてプレーしたことがあり、12日の日本戦で対戦が予想される山本由伸投手とは、2軍でともに戦った仲だ。「ニホンゴ、スコシダケ」と、陽気に取材に応じてくれた。
ジョージがオリックスに在籍した2017年、ドラフト4位で入団したのが山本だった。いわば、同期入団だ。山本は1年目の2軍で、8試合に登板し防御率0.27というすばらしい成績を残し“卒業”していった。
山本といえばジョージの脳裏に焼きついているのが、すばらしいストレートだ。「コントロールもすごく良かった。本当にいい投手だったし、彼が成功を収めているのはうれしいね」と、日本のエースに成長した“同期”を讃える。今でも「トモダチ」だといい、インスタグラムを通じてコミュニケーションをとることもある。
いい投手だと知っているだけに、攻略法はと考えるともはや「笑うしかない」という領域だ。日本は豪州戦の先発に山本を立てると予想されている。これにジョージは「できれば対戦したいと思っているけど、どう打つかだって? 『バントするよ』ってメッセージしようかな」と笑い飛ばす。
豪州代表でラーメンが大ブームに「全てがすばらしいんだ」
ジョージはレイズ傘下のマイナーリーグでプレーしたあと、2015年にBCリーグの新潟へ入団し日本球界で育った。オリックス育成時代を含めた3年間で「野球のプレーもレベルアップできたし、人間としても成長できた。とても貴重な時間だった」と振り返る。
その期間で大好きになったのが、ラーメンだ。豪州代表が今回合宿を行った東京都府中市では、大柄な選手たちが駅前のラーメン店に通っているのが話題となった。その中心となっていたのがジョージ。チーム内での時ならぬブームについて聞くと「私がラーメンチャンピオンだよ。キャプテン・ラーメン」と大笑いだ。
「麺もスープも全てがすばらしい。チャーシューもね」。チームに起こった大ブームにも「僕と一緒にいたら、ラーメンを食べさせるから」と仕掛け人を自負している。昨秋の強化試合で札幌を訪れた際にも食べ歩いたというから、ラーメン愛は本物だ。
ジョージのオリックス在籍は1年で終わった。現在、野球選手としての主戦場は豪州のウインターリーグだ。夏の間は建設関係のビジネスをしているという。「機会があればまた、夏も野球をしたいんだけど……」と、野球への愛情も強い。WBCという大舞台で「トモダチ」相手に何を見せてくれるか。
(羽鳥慶太 / Keita Hatori)
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