2022年のパ・リーグは、埼玉西武・水上由伸投手がパの育成出身選手としては初の新人王に輝いた。パの新人王は2018年の田中和基選手以降、5年連続で2年目以降の選手が獲得。今季も2年目以降の選手が新人王を獲るのか。受賞資格を持ち、活躍が期待される選手を紹介する。
なお、新人王の資格は以下の通りである。
①【全選手】海外のプロ野球リーグへの参加経験がない
②【全選手】初めて支配下選手登録されてから5年以内
③【打者】前年までの一軍公式戦での打席が60打席以内
④【投手】前年までの一軍公式戦での投球回が30イニング以内
水上由伸に続け! 育成出身リリーフの新人王候補
育成出身のリリーフで、支配下登録された翌年。今季、水上投手と同じようなシチュエーションに身を置いているのが、オリックス・宇田川優希投手と東北楽天・宮森智志投手だ。
仙台大学から2020年育成ドラフト3位で入団した宇田川投手は、150km/h台後半も出る速球と、落差の大きいフォークが武器だ。1年目はファーム公式戦1試合の登板にとどまったが、2年目の昨季は15試合で防御率1.88の好成績を残し、7月28日に支配下登録を勝ち取る。
8月3日の埼玉西武戦でプロ初登板を果たすと、その後19試合に登板。奪三振率12.90と持ち味を存分に発揮して、防御率0.81を記録した。日本シリーズでも4試合で5.2回10奪三振無失点と好投、チームの26年ぶりとなる日本一に貢献した。今季は3月のWBCに出場する侍ジャパン入りも果たし、さらなる飛躍に注目だ。
宮森投手は、四国ILplus・高知ファイティングドッグスから2021年育成ドラフト1位で入団。193cmの長身から繰り出される直球を軸に、鋭く変化するスライダー、フォークを決め球とする投球スタイルが特徴だ。
昨季はルーキーながらファームで守護神に抜てきされると、3、4月に防御率0.90、9セーブの好成績を残しファーム月間MVPに選出。7月に支配下登録され、8月2日の初登板から9月10日の千葉ロッテ戦まで18試合連続無失点として水上投手の持つリーグ記録を塗り替えた。その後、NPB記録タイの22試合まで伸ばし、最終的には26試合で1勝1敗7H1S、防御率1.54の成績を残した。2年目の今季も同様の活躍を見せられるか。
野手新人王となれば5年ぶり…… 定位置奪取が課題か
パ・リーグにおける過去の新人王を見てみると投手が50人、野手が17人と投手の方が多く、2000年以降の野手の受賞者は埼玉西武・源田壮亮選手(2017年)と田中和選手(2018年)のみ。出場メンバーが固定されやすい野手は厳しい戦いが予想されるが、期待を込めて福岡ソフトバンク・渡邉陸選手と千葉ロッテ・山本大斗選手を紹介しよう。
渡邉選手は、神村学園高校から2018年育成ドラフト1位で入団。2020年まではファーム公式戦の出場はなかったものの、2021年は66試合で打率.263、3本塁打を記録。同年8月30日に支配下登録され、プロ4年目の昨季、一軍デビューを果たした。
5月28日の広島戦では、9番・捕手でプロ初スタメン入り。プロ初安打となる3ランに加えて2打席連続本塁打を放ち、お立ち台にも上がった。一軍では20試合の出場にとどまったが、ファームでは68試合で打率.308と好成績。甲斐拓也選手や嶺井博希選手もいるホークスの正捕手への道のりは険しいが、持ち前の打撃でアピールして定位置を確保できるか。
開星高校から2020年育成ドラフト3位で入団した山本選手は、豪快なスイングが持ち味。1年目からファームで93試合に出場し、5本塁打をマークすると、2022年7月30日に支配下登録を手にする。
一軍ではシーズン終盤の2試合に代打で出場も、いずれも空振り三振。しかし、ファームでは7月に3試合連続本塁打を放つなど、イ・リーグ3位タイの12本塁打をマークした。昨季チームトップの16本塁打を放った山口航輝選手や安田尚憲選手など、長距離砲として期待されるライバルは多い。春季キャンプから存在感を示し、競争に勝ち残りたい。
紹介した4選手以外にも、15試合で76.2回防御率1.17と圧倒的な成績を残した松井友飛投手(東北楽天)やイ・リーグ投手3冠に輝いた高田孝一投手(東北楽天)、一軍で16試合にリリーフ登板し5Hを挙げた小木田敦也投手(オリックス)など、候補は多数存在する。この中の誰かが栄冠をつかむのか、はたまた6年ぶりにルーキーの受賞となるか、要注目だ。
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