野球スコアのつけ方は? スコアブックの書き方を紹介!

パ・リーグ インサイト

2023.2.3(金) 19:15

初心者必見! スコアブックのつけ方(C)PLM
初心者必見! スコアブックのつけ方(C)PLM

 野球ファンなら一度は耳にしたことがある「スコアブック」。その試合の詳細が一目でわかるスコアブックは、記入ができるようになればさらに野球を深く楽しめるかもしれません。

 スコアブックは試合の記録簿です。野球以外の球技でも用いられていて、得点者や選手交代をはじめ、打者の打撃成績や投手のと投球成績、野手のエラーなど様々な成績を記入することができます。

 また、野球のスコアには「早稲田式」と「慶応式」と2種類の記録方法があります。NPBで用いられているのは慶応式の方ですが、本稿では慶応式よりも記録がビジュアル的にわかりやすくなっている早稲田式の解説を行います。

必要な持ち物

 スコアの記録方法を説明する前に、必要な持ち物を確認しましょう。

 必要なものはスコアブック、黒・赤・青の鉛筆、またはそれらが含まれている3色ボールペンだけです。線を引くこともあるので、丁寧に線を引きたい方は定規もあるといいかもしれません。

基本的な書き方

未記入のスコアシート(C)PLM
未記入のスコアシート(C)PLM

 野球のスコアシートはこのようになっています。先攻と後攻でページが異なり、また記入する内容も先攻チームの攻撃と後攻チームの攻撃で分けることになります。

 試合が始まる前に日付や対戦カード、審判、スタメンを書き込んでおきます。

 ところで、皆さんは各ポジションの守備番号をご存じでしょうか? スコアを記入する上で必ず知っておかなければいけないので、おさらいしていきましょう。

 野球の守備番号は以下の通りです。

投手「1」
捕手「2」
一塁手「3」
二塁手「4」
三塁手「5」
遊撃手「6」
左翼手「7」
中堅手「8」
右翼手「9」
指名打者「D」

 試合が始まる際に場内アナウンスで守備につく選手を紹介してくれることもありますが、必ず守備番号順に読んでいる訳ではないので注意してください。

 打順通りに「選手名」「守備番号」「背番号」「打ち方」を書き込めば、スタメンの記入は完了です。

 先発投手は下にある投手欄の「先発」と書かれた場所に「選手名」を記入します。

 パ・リーグは指名打者制なのでスタメンに投手を書き込む必要はありませんが、指名打者制を採用していない試合や指名打者制を解除した場合は該当する打順に選手名と守備番号を「1」にして記入しましょう。

 以上の記入が終わったら、いよいよ試合状況の記録です。

 早稲田式の記録は基本的に「記号」を記入します。小さなマスに1プレーごとに「4番打者が左中間を破る安打を放ち、その間に1,2塁ランナーが生還」なんて書くのは難しいですし、試合中にそんな余裕もありません。なのでもっと素早く書くことのできる記号を使っていきましょう。

 主な記号はこちらです。

記号の早見表(C)PLM
記号の早見表(C)PLM
記号の早見表(C)PLM
記号の早見表(C)PLM

 この記号を試合の内容に合わせて記入していきます。

 しかし偏に記入と言ってもこれを見るだけでは混乱してしまいますよね。
 実際の試合映像とともに記入例を見てみましょう。


 例えばこの場面。

 マリーンズ・佐々木朗希投手が投ゴロに打ち取るシーンです。映像を見てわかる通り、佐々木朗投手は自分で捕球して1塁の井上晴哉選手に送球しています。

 よって投手から一塁手への送球で「1-3」と書くのが正しいです。数字の下のゴロアウトを示す記号は、打球処理を行った選手の守備番号の下に書きましょう。

投ゴロの記入例(C)PLM
投ゴロの記入例(C)PLM

 基本的にゴロアウトは「送球した選手-捕球しアウトにした選手」と、ボールに触れた選手全員を記入していきます。なので二塁手がベースカバーに入った一ゴロは「3-4」になり、走者を2塁でアウトにする場合でも、二塁手が遊撃手に送球したのであれば「4-6」と書き込みます。


 ではこのゴロではどうなるでしょう。

 ライオンズ・山川穂高選手が自らベースカバーに入って一ゴロにするシーンです。この場合は「3A」と記入しましょう。

一ゴロの記入例(C)PLM
一ゴロの記入例(C)PLM

 ここで出てくる「A」は1塁ベースの意味です。「3」や「-3」という書き方もありますが、これだけでは別の打席結果と誤認してしまうかもしれません。なので1塁を「A」、2塁を「B」、3塁を「C」、本塁を「D」と各塁ごとにアルファベットを当てはめてベースカバーであることを明確にすると後で読み返す時にわかりやすくなります。

 ゴロアウトを示す記号は、他のゴロ同様、打球処理を行った選手の守備番号の下に書いてください。

 他にも、遊撃手が自分で2塁のベースカバーに入ったなら「6B」、捕手が本塁を踏んだなら「2D」などアルファベットを使って記入していきましょう。

 また、気をつけなければならないのは、安打で記入する守備番号です。例えば、左方向への打球でも打球処理をしたのが中堅手だった場合は左安打ではなく「中安打」になります。

 打球方向だけで記入せず、打球処理をした選手と、その選手がどこの守備位置なのかをしっかり確認してから書き込むのが大切です。


 次に選手交代の記入です。野球では代打や代走、投手・野手交代があります。

代打・代走の記入例(C)PLM
代打・代走の記入例(C)PLM

 代打・代走の場合は、このように選手の出場したタイミングのわかる場所に波線を引き、代打なら「PH(ピンチヒッター)」、代走なら「PR(ピンチランナー)」と記入します。

代走の記入例(C)PLM
代走の記入例(C)PLM

 代走の際はどの塁から出場したのかによって記入する場所が変わります。2塁上で出場した場合は左上のマスに、3塁上で出場した場合は左下のマスに書き入れましょう。

 また、一番左の選手名簿にも、出場した選手として「選手名」と「PH(またはPR)」を記入します。もしもそのまま守備についたならば、PH(PR)の隣のマスについたポジションの守備番号も合わせて書き込みましょう。

投手・野手交代の記入例
投手・野手交代の記入例

 投手・野手交代も代打・代走同様に出場したタイミングのわかる場所に波線を引きますが、書き込む場所は「相手チームのスコアを記入する側」になります。投手や野手の交代は攻撃ではなく守備の交代なので、自分たちの攻撃の時ではなく、相手チームの攻撃の時に書き込むことになるんですね。

 野手交代の場合は、代打・代走と同じように選手名簿に出場した選手として「選手名」、そして守備についたポジションの「守備番号」を記入しましょう。もしもその後に交代で入った選手が打席に立つ場合は、わかりやすいように該当の打席の欄に縦の波線を入れるなど、工夫すると良いかもしれません。

投手欄(C)PLM
投手欄(C)PLM

 投手交代の場合は、一番下の投手欄の先発投手に続けて、出場した選手順に書いていきます。また、攻守交代の際など時間がある時に、直前まで投げていた選手の投球内容を記入すると良いでしょう。

特殊なプレーの記入例

 まずはこちらのシーンを見てみましょう。

 マリーンズ・角中勝也選手の放った打球が右方向へのフェンス直撃の安打になるも、角中選手とその前に出塁していた1塁ランナー・中村奨吾選手が走塁死となったシーンです。

 この一連のプレーは、以下のように記入します。

フェン直ゲッツー記入例(C)PLM
フェン直ゲッツー記入例(C)PLM

 この話題になったプレーでは1つの打席で2つのアウトが生まれましたが、厳密には併殺打ではなく、安打と走塁死が2つ重なったプレーとなります。そのためこのプレーには併殺打を示す記号や文字を記入する必要はありません。

 そして、ここで大事になるのが、「アウトになった順番」です。

 先に出塁していた中村奨選手に2アウト目を示す記号を書きたくなってしまいますが、このプレーの中で先にアウトを宣告されたのは角中選手です。なので、2アウトの記号を記入するのは角中選手のマスで、中村選手のマスには3アウト目を示す記号を記入しましょう。

 試合の記録簿ですのでアウトになった順番も疎かにしてはいけません。打球処理をした選手だけではなく、アウトになった順番までしっかり確認することを心がけましょう。


 次にこのプレーをご覧ください。

 1-1の同点の場面、ファイターズ・谷内亮太選手が適時二塁打を放ちサヨナラ勝ちを決めたシーンです。

 この一連のプレーは、このように記入します。

サヨナラの記入例(C)PLM
サヨナラの記入例(C)PLM

 サヨナラにおいて注目するべきポイントは2つあります。

 1つ目は「打者の安打記録」です。この試合の谷内選手のように、長打でサヨナラを記録する場合や、単打でサヨナラを記録する場合がありますよね。

 これについては、「決勝点となる走者が進んだ塁の数までの塁打が上限で、しかも打者は実際にそこまで進塁する必要がある」という野球規則によって規定されているので、どんなに打者走者が塁を進めても決勝点となる走者が塁を1つしか進めていなければ単打扱いになります。

 よって、サヨナラ適時二塁打は、決勝点のランナーが2塁にいて、尚且つ打者走者が2塁に到達していれば成立することになります。

 もう1つは「残塁」です。本塁打の場合は、打者走者を含み全ての走者が生還しますが、適時打の場合は決勝点の走者が生還した時点で試合終了となってしまうため、1人以上の走者が必ず残塁することになります。

 なのでそこを見落とさないようにして、生還した走者には得点の記号、生還していない走者には残塁を示す記号を記入漏れのないように書き込みましょう。

実戦あるのみ! 実際にスコアブックをつけてみよう!

 最初は覚えるのが大変ですが、慣れてしまえば簡単に記録することができます。思い出に残る試合をパーソル パ・リーグTVで見返しながら記録をつける練習をしてもおもしろいかもしれませんね。

 ぜひスコアブックを使って、いつもと違う野球の楽しみを味わってみてください!

文・飯田彩花

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