3人がプロ初勝利をマーク。2022年に育成から支配下への昇格を果たしたスターターたち

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千葉ロッテマリーンズ・佐藤奨真投手(C)パーソル パ・リーグTV
千葉ロッテマリーンズ・佐藤奨真投手(C)パーソル パ・リーグTV

 昨季のパ・リーグにおいては、20人もの育成選手が支配下へ昇格。2021年の11人を大きく上回る結果となった。特に中継ぎ投手の活躍がシーズンでは際立っていたが、先発で印象的な活躍を見せた投手も。昨季支配下昇格を果たして先発を中心に登板した投手を振り返りながら、今季の働きを展望する。

オリックス・東晃平

 まずはオリックスの東晃平投手だ。地元・兵庫出身の東投手は2017年育成ドラフト2位で入団。昨季は3月9日中日戦で自身初めてオープン戦のマウンドに上がると、4回無失点の力投でアピール。以降もファームで着実に登板を重ね、登録期限が迫った7月28日に入団5年目で悲願の支配下昇格を勝ち取った。プロ初登板初先発となった7月30日の千葉ロッテ戦では4.2回4失点(自責点3)と悔しい結果となったが、本拠地で行われた8月6日の北海道日本ハム戦では5.1回を1失点に抑える好投で初勝利をマーク。今季は目標の5勝に向けて、開幕からローテーションに加わりたいところだ。

福岡ソフトバンク・田上奏大

 福岡ソフトバンクは田上奏大投手が一軍デビューをつかんだ。オフに育成契約へ移行して迎えた2年目の昨季はファームの開幕投手を任されると、3月の2登板で10イニング1失点の好成績を残し、4月7日に支配下へスピード復帰。すると、プロ初登板初先発となった4月12日の千葉ロッテ戦では5.2回を無失点に抑える好投を披露した。しかし、続く23日の北海道日本ハム戦では1.2回2失点の内容で役割を果たせず。以降はファームが主戦場となり、一軍での登板はこの2試合にとどまった。ファームでは17試合で83イニングを投げるなど経験を積んだだけに、今季こそはプロ初勝利を掴み、先発ローテーション定着を図りたい。

千葉ロッテ・佐藤奨真

 千葉ロッテでは佐藤奨真投手が奮闘した。開幕直前の3月22日に同じく当時2年目の小沼健太投手とともに支配下へ昇格すると、31日の福岡ソフトバンク戦にリリーフでプロ初登板。5月からはローテーションにも加わり、自身4試合目の先発登板となった6月12日に待望のプロ初勝利。最終的には先発として9試合の登板で2勝6敗、QS率44.4%の成績を残した。今季は130km/h台の直球を軸に緩急を生かした自慢の投球スタイルに磨きをかけ、一年間ローテーション投手の座を守り抜きたいところだ。

千葉ロッテ・森遼大朗

 また、21年オフに支配下契約を勝ち取った森遼大朗投手も、昨季が支配下選手として初めてプレーするシーズンとなった。開幕を二軍で迎えたものの、ファームでは安定した投球を続けてアピールすると、7月30日に中継ぎでプロ初登板を果たした。しかし8月につかんだ2度の先発機会ではいずれも5回持たずの降板と悔しい結果に。プロ6年目を迎える今季こそは、一軍の舞台で実力を発揮したいところだ。

北海道日本ハム・田中瑛斗

 北海道日本ハムは田中瑛斗投手が支配下再昇格を果たした。育成選手としてスタートした昨季はプロ5年目にしてファーム初勝利を挙げ、7月1日に支配下へと返り咲いた。すると、復帰後はすぐに先発ローテーションへと加わり、2019年以来の一軍登板でプロ初先発となった7日の試合では6回1失点の好投で一軍でも初勝利を手にした。しかし以降は3連敗を喫するなど苦しい投球が続き、わずか4試合の登板に終わった。今季は課題となった制球面を改善させ、再び一軍での登板機会をつかみ取れるか。

支配下昇格から先発機会をつかんだ投手たちの今後、支配下昇格を目指す育成投手たちに期待

 昨季は育成から支配下へと昇格した15人の投手のなかで5投手が先発登板を経験し、うち3投手がプロ初勝利を掴む結果となった。先発のマウンドを経験した投手たちが、一軍定着に向けて今季は序盤からどのようなパフォーマンスを見せてくれるのだろうか。また、現在育成としてプレーする選手においても、先発投手として初勝利を手にする投手がいるかもしれない。支配下昇格を目指す育成投手たちの動きからも目が離せない。

文・和田信

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