「慶三さん」が現役生活に別れ 川島慶三のホークス&イーグルスでの名場面

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東北楽天ゴールデンイーグルス・川島慶三選手(C)パーソル パ・リーグTV
東北楽天ゴールデンイーグルス・川島慶三選手(C)パーソル パ・リーグTV

 東北楽天は川島慶三選手の2022年シーズンでの現役引退および二軍打撃コーチ就任を発表した。

 川島氏は2005年大学生・社会人ドラフト3巡目で九州国際大から北海道日本ハムに入団。ルーキーイヤーの2006年4月2日オリックス戦に代打でプロ初出場、初スタメンとなった同年4月16日福岡ソフトバンク戦で初安打も記録する。

 飛躍のきっかけとなる最初の転機は、東京ヤクルトへのトレード移籍。移籍1年目の2008年はキャリア最多となる121試合出場、プロ初アーチを含む4本塁打、さらに20盗塁とインパクトを残す。続く2009年は118試合(そのうちスタメンは116試合)に出場し、109安打12本塁打43打点とさらに数字を伸ばした。

 守るほうでも北海道日本ハム時代には経験していないショート、サードそして外野とユーティリティープレーヤーとして開花。当時、東京ヤクルトは名手・宮本慎也氏がショートからサードへ転向し、後継者となる正ショートが課題となっていたが、川島氏が台頭してみせた。

 ところが、その後は故障に苦しんだ。2010年と2012年はリハビリのため一軍出場なし。ケガから復帰すると、川端慎吾選手や森岡良介氏(現・東京ヤクルト内野守備走塁コーチ)とのレギュラー争いが苛烈を極めた。そして、2014年7月に自身2度目のトレードで福岡ソフトバンクへ移籍する。

 福岡ソフトバンクでは2015年に就任した当時の監督・工藤公康氏のもとで多彩な活躍をした。左投手との対戦では無類の強さを発揮し、対左投手の打率は2015年が.323、2017年が.297、2019年が.396と「左キラー」に相応する数字を残した。守備はこれまで就いたことのないファーストも守るように。ベテランと呼ばれるようになっても明るいキャラクターは変わらず、常勝チームの盛り上げ役も買って出た。

 2021年オフに福岡ソフトバンクを自由契約となり、2022シーズンは東北楽天へ。交流戦期間中に得意の左投手から代打タイムリーやホームランと持ち味を出すも、新型コロナウイルス感染の影響などで一軍出場は12試合にとどまり、4球団を渡り歩いた17年の現役生活にピリオドを打った。

対左、代打、盛り上げ役…… あらゆる期待に応えた

 ここからは動画で福岡ソフトバンク、東北楽天での活躍を振り返る。まずは2020年7月9日の試合から。守っては難しい体勢から正確なトス。打っては東北楽天・塩見貴洋投手のカーブをとらえたタイムリー。「ユーティリティープレーヤー」「左キラー」の代名詞がしっくりくる。

 2017年日本シリーズでは第6戦、延長11回裏に川島氏がサヨナラタイムリーを打ち、チームの日本一を決めた。しかし公式戦でのサヨナラ打は、意外にもプロ16年目の2021年が初めてだった。アウトコースの球を器用にライト線へ弾き飛ばす技ありの一打。相手は右投げの千葉ロッテ・益田直也投手だったが、見事に代打起用に応えた。

 積極的にチームを盛り上げる姿も印象的。甲斐拓也選手の治療中に千賀滉大投手のキャッチボール相手になったことも。

プロ17年目も打って、守って、ヒーローに

 東北楽天移籍後は2022年6月11日巨人戦で攻守に魅せた。2回裏、巨人・メルセデス投手のストレートを振り抜くと、打球は東北楽天ファンでうまるレフトスタンドへ。期待された「左キラー」ぶりと、年齢を感じさせないパンチ力を見せつけた。

 守備でもダイビングキャッチを披露したヒーローは移籍後初めて本拠地のお立ち台へ。スタンドを見回して「優勝しましょうね、みなさん!」と呼びかけたシーンは、ファンにとっても忘れられない場面となっただろう。

 現役生活を終えた川島氏は早速、みやざきフェニックスリーグから東北楽天の二軍打撃コーチとして始動した。2度のトレード、ケガからの復活、自身の長所を生かして一軍で活躍し続けた17年。これを経て指導者となった「慶三さん」は、どのように若鷲たちを導くだろうか。来シーズンの東北楽天はファームも注目だ。

文・菊地綾子

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