【MLB】大谷翔平の靭帯損傷、米メディアはスプリット多投を指摘も…エ軍GMは影響否定

Full-Count

2018.6.9(土) 20:24

故障者リスト入りが発表されたエンゼルス・大谷翔平
故障者リスト入りが発表されたエンゼルス・大谷翔平

肘の靭帯損傷でDL入り、3週間後に再検査も「この影響は大きい」

エンゼルスの大谷翔平投手はグレード2の右肘内側側副靱帯損傷で8日(日本時間9日)に10日間の故障者リスト(DL)に入った。球団によると、7日(同8日)にロサンゼルスでスティーブ・ユン医師の診断を受けた大谷は、すでに多血小板血漿(PRP)治療と幹細胞注射を受けたという。3週間後に再び患部の状態をチェックし、その後の治療方針を固める予定だが、長期離脱は避けられないと米メディアは伝えている。

米メディア「ジ・アスレチック」は「ショウヘイ・オオタニの傑出したルーキーイヤーはトミー・ジョン手術の可能性により危うくなっている」とのタイトルで特集を組み、今後の展望について詳細に分析している。

記事ではまず「少なくとも3週間は、エンゼルスも球界も待つことしかできない」と指摘。再検査の結果が出るまでは、治療方針も決まらない。状態次第では、最悪の場合には靭帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)の可能性も浮上するが、それも3週間後までは決められないということになる。もっとも、エンゼルスのビリー・エプラーGMは「オオタニが(手術を)避けられること、医師が勧める処方で完全に治療できることを願っている」と手術には否定的であることを明かしている。

昨年12月、大谷がエンゼルスと契約した後、軽度の靭帯損傷で実は10月にPRP治療を受けていたと米メディアが報じていた。当時はグレード「1」で、あくまで予防的な措置だったとエプラーGMは説明。MRI検査の結果などから、心配はないと不安を一蹴していた。記事でもこのことを紹介しているが、今回はグレード「2」となっており、離脱を余儀なくされた。

「重症度について完全な詳細が分かっていない時点でも、この影響は大きい。23歳のルーキー右腕・指名打者は、今後3週間で痛めた靱帯(の状態)が回復したとしても、かなりの時間、離脱することになる。その期間、彼は投げることができず、48~72時間の休息期間の後は、強化・調整・治療プログラムを行うことに限定されるであろう。つまり、3週間後の検査の結果で回復が見られたとしても、一から投球プログラムを再び開始しなければならないだろう」

特集ではこのように指摘。靭帯は自然治癒しないため、いずれにしても手術を受けるまで損傷は治らないが、保存療法であるPRP治療で復帰している選手も多い。ヤンキースの田中将大投手もその1人で、メジャー1年目の2014年に軽度の靭帯部分断裂を負ったが、PRP治療で復帰。そのまま手術せずに現在も投げ続けており、今は肘への懸念はない。ただ、PRP治療でも長期離脱は避けられず、田中も復帰までに2か月半を要した。当然ながら焦りは禁物で、エンゼルスも慎重を期すことになるだろう。

スプリットの投げ過ぎは? GMは否定「統計的有意性はない」

大谷の負傷の要因についても、米メディアではあらゆる可能性が指摘されている。「ジ・アスレチック」では、「球種」について「興味深い」と言及。「オオタニは今季最高100マイル(約161キロ)以上、平均96.8マイル(約155.8キロ)の直球を投げるほか、スプリットを22.9%投げている。彼の肘の安全面を考えると、眉をひそめざるをえない。一部ではスプリットは他の球種よりも肘に負担をかけると考えられている」と伝えている。

実際に、肘に負担がかかるとされているスプリットの多投が理由なのか。これについては、「エプラーGMは、オオタニが最も得意とするスプリットを頻繁に投げていることは、トミー・ジョン手術の専門家であり、ここ10年間アメリカスポーツ医学研究所で研究しているグレン・フレイシグ氏と検討したことから、懸念していないと語った」とも指摘。エプラーGMが「フレイシグ氏は研究により、スプリットを投げることに統計的有意性はないことを示した」と話したことも紹介している。

そして、最も注目されるのが、二刀流としての今後だ。まずは、今季は大事をとって投げないとなっても、打者として出場を続ける可能性はあるのか。そして、二刀流を続けることに今回の負傷で支障は出ないのか――。

特集では、大谷が「二刀流というユニークな選手」だとした上で「理論上は指名打者として、今季の残り、もしくはエンゼルスが最終的に手術をすると決めるまで、チームにとってベストとなるように、復帰予定を先送りし、打者としてのみ出場させることも可能である」と言及。レッズのチームドクターであるティム・クレムチェク氏は同メディアの取材に対して、「トミー・ジョン手術の後は、通常すぐに打ち始めることができる。トミー・ジョン手術が必要で、靭帯を痛めていても、打つことはできる。守備と投げることはできない。中には、打つ時に痛みが生じて打てない選手もいる。しかし、概してほとんどの選手が打つことができる」と話したという。大谷はDHであり、守備で送球することもないため、トミー・ジョン手術を受けなければ今季中に打者として復帰することは十分に可能なようだ。

もっとも、エプラーGMは、もしエンゼルスが大谷をDHとしてのみ考えれば、打つことができるものの、そうした仮定は考えたくないし、二刀流の挑戦を台無しにしたくない、とも説明したという。あくまで二刀流として、大谷の能力を開花させることを望んでおり、チームとしても投打両方の力を必要としていることが伝わってくる。

メジャー移籍後初めての試練。二刀流右腕はいつ、どのような形で戻ってくるのだろうか。

記事提供:Full-Count

記事提供:

Full-Count

この記事をシェア

  • X
  • Facebook
  • LINE