今季のレギュラーシーズンの全日程が終了し、各タイトルの受賞者が確定した。打撃部門では北海道日本ハムの松本剛選手が初の首位打者を獲得した一方、投手部門ではオリックスの山本由伸投手が2年連続で主要タイトルを独占。そんな群雄割拠のプロ野球界では、毎年好成績を残しタイトル争いに加わるも、あと一歩届かなかった名選手が少なからず存在した。
そこで今回は、長年にわたって第一線で活躍を続けながらも、主要タイトルを獲得したことがない意外な現役選手をパ・リーグ各チーム1選手ずつ紹介する。
オリックス・比嘉幹貴投手
【通算成績】382試合 24勝11敗87H 316回 275奪三振 防御率2.71 WHIP1.11
【キャリアハイ】62試合 7勝1敗20H 56.2回 48奪三振 防御率0.79 WHIP1.15(2014年)
大きく曲がるスローカーブを駆使して緩急をつける投球が特徴のベテラン右腕。2014年には62試合に登板して防御率0.79と抜群の成績を残し、優勝へあと一歩迫るチームの快進撃を支えた。その後はしばらく不振が続いたが、近年は円熟味を増した投球術で見事に復活を果たし、日本一に大貢献。チーム内での役割もあってかタイトルの獲得経験はないが、数字では表すことのできないほど比嘉投手の存在は大きい。
福岡ソフトバンク・今宮健太選手
【通算成績】1354試合 5280打席1141安打 83本塁打449打点326四球74盗塁 打率.251 出塁率.304 OPS.667
【キャリアハイ】130試合 510打席133安打 7本塁打47打点37四球 打率.296 出塁率.352 OPS.761(2022年)
抜群の身体能力と野球センスを生かした躍動感溢れるプレーが魅力のショート。例年シーズン序盤は抜群の成績を残しており、今季もシーズン中盤まで首位打者争いでトップに立っていたが、後半戦で徐々に成績を落とした。それでも、リーグ4位の打率.296を記録し自己最高打率を更新するなど、着実に打撃を向上させている。2019年の「パーソル CS パ」では1試合3ホーマーを記録するなど、パンチ力も持ち合わせており、来年以降もさらなる飛躍に注目だ。
埼玉西武・平井克典投手
【通算成績】283試合 25勝22敗72H 396.1回 318奪三振 防御率3.47 WHIP1.29
【キャリアハイ】81試合 5勝4敗36H 82.1回 66奪三振 防御率3.50 WHIP1.32(2019年)
埼玉西武のブルペンを支え続ける右腕。プロ1年目の2017年に42試合登板で防御率2.40と好成績を残すと、その後もチームのリーグ連覇に大きく貢献。特に2019年は81試合に登板し、パシフィック・リーグのシーズン登板数の記録を塗り替えるなど、大車輪の活躍を果たした。2020年以降は先発としての登板も徐々に増え、今シーズンは自己最多の6勝をマーク。まさに「鉄腕」という言葉が似合う平井投手の、来季以降のプレーにも注目したい。
東北楽天・鈴木大地選手
【通算成績】1449試合 5879打席1398安打 73本塁打527打点484四球 打率.275 出塁率.348 OPS.735
【キャリアハイ】140試合 614打席152安打 15本塁打68打点56四球 打率.288 出塁率.373 OPS.826(2019年)
優れたバットコントロールと、安定した守備力が光るベテラン内野手だ。千葉ロッテ時代はルーキーイヤーからほぼ毎年.270前後の打率を記録していたが、東北楽天移籍後初年度の2020年には、自己最高の打率.295をマークし、ベストナインも獲得した。打撃タイトルの獲得経験こそないものの、10年連続で100安打を放っている鈴木選手。最多安打や首位打者を狙える可能性も大いにあり、チーム躍進のキーマンであることは間違いないだろう。
千葉ロッテ・中村奨吾選手
【通算成績】991試合 3871打席847安打 74本塁打378打点372四球103盗塁 打率.255 出塁率.341 OPS.723
【キャリアハイ】143試合 639打席157安打 8本塁打57打点60四球39盗塁 打率.284 出塁率.374 OPS.767(2018年)
走攻守全てで高水準のプレーを魅せる不動のセカンド。2014年ドラフト1位で入団すると、1年目から素質の高さを存分に発揮し111試合に出場。その後も一軍で経験を積み、キャリア初の規定打席に到達した2018年にはリーグ2位の39盗塁、さらにゴールデングラブ賞も獲得と躍動した。2021年シーズンからはチームの主将に就任するなど、精神的支柱でもある中村選手。FA権を行使せず残留を決めた来季は、どのような活躍を見せるか。
北海道日本ハム 上沢直之投手
【通算成績】149試合 61勝53敗1H 948.1回 789奪三振 防御率3.24 WHIP1.19
【キャリアハイ】24試合 12勝6敗 160.1回 135奪三振 防御率2.81 WHIP1.04(2021年)
ノビのある直球と、タフなスタミナが持ち味である北海道日本ハムのエース。プロ3年目の2014年から好成績を残し、若くして大きな期待を受けると、2018年に4完投を含む11勝を挙げ大きな飛躍を挙げた。2021年も多くの投手タイトルにおいて上位に食い込んでおり、タイトル獲得へ大きな期待を持てることは間違いないだろう。本拠地を新たにして迎える来季こそ、悲願の初タイトル獲得なるか。
元福岡ソフトバンク・松田宣浩選手
【通算成績】1910試合 7562打席1831安打 301本塁打991打点501四球135盗塁 打率.265 出塁率.318 OPS.782
【キャリアハイ】143試合 603打席153安打 35本塁打94打点60四球8盗塁 打率.287 出塁率.357 OPS.889(2015年)
打撃タイトルの獲得経験がない選手を挙げるうえで、この選手を語らずには終われないだろう。通算8度のゴールデングラブ賞を獲得、走攻守3拍子そろったリーグ屈指のサードとして福岡ソフトバンクでプレーした松田選手。輝かしい実績を残しながらも、タイトル獲得まではあと一歩届かず、特に本塁打王争いでは2011・2015年とリーグ2位を記録したが、両シーズンともに、埼玉西武の中村剛也選手が立ちはだかった。それでも通算1831安打を放つなど、球史に名を残す偉大な選手であることに変わりはない。他球団でもう一花咲かせてほしいだけに、今後の去就に注目だ。
文・村井幸太郎
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