一軍の舞台は"近くて遠い"。簡単には来れぬ場所だからこそ後輩たちに伝えたいことがある【内海哲也引退セレモニー】

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2022.9.19(月) 20:50

監督コーチ、チームメイトと握手を交わす内海哲也投手 (C)PLM
監督コーチ、チームメイトと握手を交わす内海哲也投手 (C)PLM

巨人・阿部慎之助コーチ、高橋由伸氏がサプライズで登場

 今季限りで現役を引退する埼玉西武・内海哲也投手の引退セレモニーが、9月19日ベルーナドームにて行われた。

 選手、家族、大勢のファンが見守るなか、グラウンドに姿を現した内海投手。

 セレモニーは、5月7日の対北海道日本ハム戦での2000投球回達成の連盟表彰から始まり、温かい拍手が内海投手の積み重ねた記録を祝福した。

 内海投手の19年間の功績のショートムービーに続き、親交の深い敦賀気比高校 東哲平監督、巨人時代バッテリーでチームを牽引した、巨人コーチ 阿部慎之助氏からのビデオメッセージが流れると、時おり涙をぬぐい、かみしめるように見つめる。

 その後、2009年からのべ1,553個ものランドセルを寄贈してきた「内海哲也ランドセル基金」の受贈者や、選手、監督としてともに戦った高橋由伸氏、恩師である堀内恒夫氏から花束が贈られた。高橋氏はスピーチで「野球に対する姿勢は本当にすばらしかった。影響を受けた人も多くいた」と述べ、自他共に認める“練習の虫”だった内海投手が、いかに模範的であったかを回想した。
 
 内海投手はマイクの前に立つと関係者に感謝を伝え、「振り返れば、祖父もプレーしたジャイアンツからプロ野球人生がスタートしました。入団会見で亡き祖父を思い出すかのようにユニフォームに手を触れ、涙を流した祖母の姿は今でも忘れられません。入団当初、プロ野球という世界のレベルの高さに圧倒され、無理かもしれないと思った時期もありましたが、諦めず、泥臭く、自分らしくがんばってきました」とまっすぐ前を見つめ話した。

 4年間のほとんどを、同じ敷地内にある二軍球場・CAR3219フィールドで過ごしたからこその実感もあった。一軍の舞台を「近くて遠いこの場所は、簡単に来ることができる場所ではない」と表現し、「僕自身、若い頃からがむしゃらに練習をし、今も変わらず19年間やり抜いたつもりです。練習は嘘をつきません。それは自分自身が身をもって感じたからです。ファンのみなさま、この壁を乗り越え、一軍で活躍する選手たちを楽しみに待っていてください」と後輩たちにプレッシャーをかけることも忘れなかった。誰よりも己に厳しく。19年間の現役生活から得た経験を最後に残した。

(C)PLM
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 場内を一周し大きく両手を振りながらファンへ別れを告げる。3塁ベンチ前で待つチームメイトのもとへ向かうと握手や言葉を交わし、高橋光成投手らの導きで、マウンドで3度宙を舞った。

 最後まで拍手が鳴り止まぬ球場。そこには常に野球とひたむきに向き合い、選手、ファンから慕われた内海投手の姿があった。


文・鈴木優菜

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