今季は2019年以来3年ぶりに、プラスワン投票が実施されている
7月26日、27日の2日間にわたって開催される「マイナビ オールスターゲーム2022」。その最後の出場者を決める「プラスワン投票」において、北海道日本ハムの清宮幸太郎選手が5,279票を集め、自身初となる球宴への出場を決めている。
プラスワン投票は2010年に初めて実施されてから、2013年まで4年連続で行われていた。そこから2017年までの休止を挟んで、2018年と2019年にも実施。3年ぶりに行われた今季も含めると、のべ7名の選手がプラスワン投票で選出されたことになる。
また、パ・リーグのプラスワン投票で選出された選手たちは、同年のシーズンにおいて揃って好成績を収めている、という点も興味深い。当然ながら、オールスター前の時点で既に好調だったからこそ票が集まるのは確かだ。しかし、球宴後も大きく調子を落とすことなく、充実のシーズンを送る流れが続いているのは特筆ものだ。
今回は、2013年から2019年までのプラスワン投票で1位となった、パ・リーグの選手たちを紹介。その顔ぶれと同年の活躍を振り返るとともに、この投票が持つ縁起の良さを確認していきたい。
2010年:田中賢介氏(当時・北海道日本ハム)
田中賢介氏はプロ7年目の2006年にブレイクして日本一に貢献し、その後もリーグ屈指の二塁手として活躍。この2010年は打率.335に加え、34盗塁、193安打と、多くの部門でキャリアハイの数字を記録。自身唯一となる、出塁率.400超えも果たした。惜しくも首位打者のタイトルこそ逃したものの、トップバッターとして申し分のない大活躍を見せている。
続く2011年こそ故障で49試合の出場にとどまったが、2012年は統一球導入の影響でリーグ全体の打撃成績が下降する中で、規定打席に到達して打率.300を記録。2年間の米球界挑戦を経て古巣の北海道日本ハムに復帰し、35歳で迎えた2016年にもレギュラーとして日本一に貢献。2019年に引退するまで、長年にわたってファイターズに貢献し続けた。
2011年:斎藤佑樹氏(当時・北海道日本ハム)
甲子園と東京六大学で華々しい活躍を見せた斎藤佑樹氏は、2010年に行われたドラフトの目玉の一人として北海道日本ハムに入団。ルーキーイヤーの2011年は即戦力としての期待を受け、シーズン序盤から先発として登板を重ねた。同年は故障で戦列を離れた時期もあったものの、6勝6敗、防御率2.69と、先発として一定の数字を記録してみせた。
翌年以降の更なる活躍も期待されたが、その後は相次ぐ故障の影響もあり、本領を発揮することはできず。結果的に、勝利数、投球回、奪三振、防御率といった主要な投手成績に関しては、プロ1年目にしてプラスワン投票でオールスターに出場した2011年が、それぞれ自己最高の数字となっている。
2012年:角中勝也選手(千葉ロッテ)
角中勝也選手は独立リーグからプロ入りして6年目の、2012年に大ブレイクを果たす。投高打低の傾向が強まる中で快調に安打を重ね、セ・リーグ相手にも打率.349の好成績を記録し、見事に交流戦の首位打者を獲得。シーズン全体でも打率.312という数字を残し、独立リーグ出身者ではNPB史上初となる、パ・リーグ首位打者の栄冠に輝いた。
その後も千葉ロッテの主力打者として活躍を続け、2016年には自己最高の打率.339を記録して、2度目の首位打者を受賞。現時点で独立リーグ出身者として最多となる1203安打を記録しているヒットメーカーにとっても、プラスワン投票によって初の球宴出場を果たした2012年は、まさにキャリアのターニングポイントといえるシーズンだった。
2013年:内川聖一選手(当時・福岡ソフトバンク)
内川聖一選手はベイスターズ時代の2008年に打率.378という驚異的な打率を残し、自身初の首位打者を獲得。そこから7年連続で打率3割を記録し、球界屈指の安打製造機として活躍した。2011年に福岡ソフトバンクに移籍すると、同年打率.338と投高打低をものともしないハイアベレージを残し、史上2人目となる両リーグ首位打者の偉業を達成した。
プラスワン投票でオールスターに選出された2013年は連続打率3割の記録を継続しただけでなく、自己最多の13本塁打、92打点を記録。3番打者として申し分のない働きを見せただけでなく、シーズン終盤は4番の座も任された。自身4年ぶり、福岡ソフトバンク移籍後では唯一となる全試合出場も達成するなど、充実のシーズンを送っている。
2018年・2019年:大田泰示選手(当時・北海道日本ハム)
大田泰示選手は2016年オフに巨人から北海道日本ハムに移籍し、翌2017年に初めて規定打席に到達。打率.258、15本塁打という打撃面に加えて、俊足と強肩を活かした外野守備でも存在感を放った。この活躍によってレギュラーの座を獲得すると、ともに故障で出場はならなかったものの、2018年と2019年には2年続けてプラスワン投票で1位となった。
2018年は故障の影響で104試合の出場にとどまったものの、自己最高のOPS.812を記録するなど好調で、ケガさえなければさらなる好成績も見込めたほどの打撃内容を示していた。続く2019年は132試合に出場し、2年ぶりに規定打席に到達。ホームラン数も自身初めて20本に到達し、打率も自己最高の.289と、現時点でのキャリアハイとなるシーズンを送った。
2021年オフに退団となったが、4年間にわたってファイターズの主力を務め、攻守両面でチームに貢献した。2022年からは横浜DeNAに活躍の場を移し、オールスター前の時点で打率.281、OPS.832と、随所で存在感を示している。
清宮選手も先人たちに続き、“縁起の良さ”を証明する年を送れるか
抜群の高打率を残した田中氏や、自身初の首位打者を獲得した角中選手はもちろん、内川選手と大田選手も、それぞれキャリア平均を上回るシーズンを送っている。また、斎藤投手はプロ1年目ながら、結果的に同年の成績がキャリアハイとなった。このように、プラスワン投票で1位となった選手たちは、いずれも同年に一定以上の成績を残したと総括できる。
そして、2022年にプラスワン投票で選出された清宮選手は、すでに自身初となる2桁本塁打を記録。昨季は一軍出場なしという苦しい1年を送ったが、今季は一気にブレイクを果たしつつある。先人たちに続き、清宮選手もプラスワン投票の“縁起の良さ”を証明する存在となれるか。若きホープが残りシーズンで見せる打撃に、あらゆる意味で要注目だ。
文・望月遼太
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