「栄養の取り方を変えた」キッカケは5月29日の広島戦
■福岡ソフトバンク 4ー1 楽天(19日・PayPayドーム)
19日に本拠地・PayPayドームで行われた楽天戦で、日米通算150勝を達成した福岡ソフトバンクの和田毅投手。チーム最年長41歳の大ベテランはNPBで145勝、MLBで5勝を重ねて節目の1勝に手を届かせた。現役最後の「松坂世代」。衰え知らずの投球には、常に上を目指す探究心と向上心がある。
立ち上がりから完璧だった。初回1死から小深田、浅村を連続三振。NPBでの通算奪三振数を1756個とし、杉浦忠氏の持つ球団記録に肩を並べた。2回先頭の島内も見逃し三振に仕留めて球団記録を更新。その後も楽天打線を圧倒し、6回1死までパーフェクトピッチングを続けた。
6回1死から茂木にソロ本塁打を浴びてパーフェクトこそ途切れたものの、この日打たれた安打はこの1本だけ。6回を投げ終えて1安打1失点、球数も71球と少なかったが、背中に張りが出てきていたこともあって、この回でマウンドを降りた。リリーフ陣も無失点で繋ぎ、和田は日米通算150勝の節目の1勝を手にした。
41歳になっても、そのピッチングは衰えない。いや、凄みを増しているほどだ。5月29日の広島戦では自己最速を更新する149キロをマーク。この試合では3回に足がつったため、降板となったが、この苦い経験も成長の糧に変えた。
41歳になっても「レベルアップしたい気持ちは若い子たちと変わりはない」
和田はこの日の試合後、こう明かす。「栄養の取り方に関して、ちょっと見直したところはある」。登板の2、3日前から、ミネラルやビタミンといった栄養素を意識的に摂るようにした。「千賀が教えてくれたので、やってみようかと思った」。3回で降板した広島戦後に千賀滉大投手からヒントを貰って早速、挑戦。ここ2試合は「そういう兆候も出ていない」と効果を実感している。
また、今季は米国のトレーニング施設「ドライブライン」の練習方法も取り入れている。「プライオボール」という重さの違うボールを使うなど、トレーニングにも工夫を凝らし「因果関係はちょっとわかりませんけど、間違いなく昨年より肩の状態や体の状態はいい。怪我の予防って意味ではすごく役に立っているんじゃないかな」と語る。
3回降板となった広島戦では149キロをマークしたが、ここ2試合の球速は145キロ前後。決して調子を落としているわけではない。「あの時みたいにぶん投げてはいないですね。ぶん投げたら(スピードは)出るんだなってのは分かったけど、逆に3回でつってしまった。今はちょっと自分で制御できるようなってきている」。出力と体の微妙なバランス。そこにも考えを配りながら、マウンドに上がる。
源にあるのは今よりも成長したいという純粋な思いだ。「レベルアップしたい気持ちは若い子たちと変わりはない」とキッパリ。「自分で認めて、改善しなきゃいけないところは改善しないといけない。いい準備ができれば、こういう形でいいピッチングができるんだっていうのをこの2試合、自分自身に身をもって教えてもらえた」。また新たな自分、この日の登板でも発見した。
日米通算150勝はまだまだ通過点。あと5勝でNPB通算150勝にも到達する。衰え知らず、いや、進化し続ける41歳。和田毅はまだまだ白星を積み重ねていけるはずだ。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)
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