開幕ダッシュに失敗しても優勝は可能? 昨季の上位2チームの“3月”を振り返る

2022.4.14(木) 23:00 パ・リーグ インサイト 望月遼太
千葉ロッテマリーンズ・益田直也投手(C)パーソル パ・リーグTV
千葉ロッテマリーンズ・益田直也投手(C)パーソル パ・リーグTV

開幕から好調なチームと、不振に陥っているチームは存在するが

 ついに2022年シーズンが開幕し、各チームのファンにとっては、1試合ごとに一喜一憂する日々が始まった。とりわけ、開幕直後に思うような結果を残せなかったチームのファンにとっては、今後の戦いぶりに向けた不安が多少なりとも募っているかもしれない。

 しかし、143試合を戦い抜くプロ野球のシーズンは長いもの。全日程が終了したころには、序盤戦の勝敗については忘却の彼方、ということも決して少なくはないだろう。

 そこで、今回は2021年に熾烈な優勝争いを演じたオリックスと千葉ロッテが、同年の開幕直後にどのような成績を残していたのかを振り返る。サンプルとしては格好の材料である直近のシーズンの例を通じて、開幕ダッシュとシーズン成績の相関性の一端を見ていきたい。

悲願の優勝を果たしたものの、開幕から絶好調というわけではなかった

 まずは、昨季のパ・リーグで優勝を果たしたオリックスが、同年3月に残した成績を見ていこう。

オリックス・バファローズの2021年3月成績(C)PLM
オリックス・バファローズの2021年3月成績(C)PLM

 オリックスは2021年を迎えた時点で開幕戦9連敗中と、開幕戦とは非常に相性が悪かった。2021年は山本由伸投手を開幕投手に立てて臨んだが、山本投手は味方の2つのエラーにも足を引っ張られ、7回を投げて自責点こそ1ながら4失点。チームは終盤に追い上げたもののあと1点及ばず、開幕戦の連敗記録を10に伸ばしてしまった。

 続く27日の試合は、この年13勝を挙げて新人王に輝いた宮城大弥投手が7回2失点の好投を見せ、チームにシーズン初勝利をもたらした。その勢いのまま貯金をつくりたいところだったが、28日には先発の山岡泰輔投手が6回4失点と踏ん張れず。1勝2敗と負け越して、開幕カードを終えることになった。

 続く本拠地での福岡ソフトバンク3連戦でも、初戦は打線がソロ本塁打1本と沈黙して敗戦したが、3月最後の試合となった31日の試合では、打線が7得点を奪って連敗を2で止めた。15得点・16失点と得失点の面では互角に近い数字だったが、勝敗に関しては2勝3敗と、開幕ダッシュに成功したとは言い難い結果となっていた。

最終盤まで優勝争いを演じたが、開幕直後の成績は……

 次に、昨季のパ・リーグで2位に入った千葉ロッテの3月成績も確認しよう。

千葉ロッテマリーンズの2021年3月成績(C)PLM
千葉ロッテマリーンズの2021年3月成績(C)PLM

 開幕戦は二木康太投手が5回5失点と打ち込まれ、リリーフ陣も含めて8失点を許す大敗となった。続く第2戦は美馬学投手が6回1失点と試合をつくったが、8回にフランク・ハーマン投手が同点に追いつかれると、9回に益田直也投手がサヨナラ打を浴びて、痛恨の逆転負けを喫した。

 28日はハーマン投手が8回に2点を失い逆転を許したが、1点ビハインドの9回2死から菅野剛士選手が起死回生の逆転2ランを放つ。劇的な今季初勝利かと思われたが、直後に益田投手が2点を失い、2試合連続のサヨナラ負けに。勝利の方程式を崩される形での同一カード3連敗という、まさに最悪のスタートとなってしまった。

 本拠地に戻って迎えた30日の東北楽天戦でも悪い流れは止まらず、小島和哉投手が6回5失点と試合をつくれず、打線も無得点と完敗した。そして、31日の試合では投手陣が相手打線を2失点に抑えたものの、攻撃陣が1点しか奪えずに惜敗。3月を終えた時点では0勝5敗、10得点・24失点と、光の見えない状況が続いていた。

若手の多いチームは、シーズンが深まるにつれて成長を続けていった

 3月は苦戦を強いられた両球団だが、その後の戦いぶりはどうだったのだろうか。まずは、オリックスが2021年に記録した月別成績を見ていきたい。

オリックス・バファローズの2021年月別成績(C)PLM
オリックス・バファローズの2021年月別成績(C)PLM

 3月に続いて、4月・5月と3カ月連続で負け越し、5月が終了した時点では借金4と苦しんでいた。しかし、6月に16勝4敗、勝率.800という素晴らしい快進撃を見せ、わずか1カ月でそれまでの借金を完済。その勢いのまま、一気に上位戦線に殴り込みをかけていった。

 そして、7月以降の4カ月においても全て勝率.500以上の成績を残し、最終的には15個の貯金をつくって優勝を飾った。5月までの序盤戦と6月以降の中盤戦以降では、まるで別のチームに生まれ変わったような戦いぶりの変化は、若手の多いチームが、シーズンを通して成長を続けていったことの証でもあるだろう。

まさに絶不調だった3月の流れを、2度の大量得点が大きく変えた

 オリックスの例と同様に、千葉ロッテが2021年に残した月別成績も確認していこう。

千葉ロッテマリーンズの2021年月別成績(C)PLM
千葉ロッテマリーンズの2021年月別成績(C)PLM

 開幕から先の見えない連敗が続いていたが、月が替わって4月1日と2日の試合では、2日連続で16得点という驚異的な猛攻を見せ、それまでのうっぷんを晴らすかのごとく打線が爆発。そこから勢いに乗ったチームは、4月を14勝8敗で乗り切り、早くも3月につくった5つの借金を完済。続く5月も10勝8敗と勝ち越し、開幕直後の不振から脱却した姿を見せた。

 オリックスとは対照的に6月には4つの負け越しをつくったが、7月以降は3カ月連続で3つ以上の貯金を生み出し、シーズン最終盤まで熾烈な優勝争いを繰り広げた。最終的には惜しくも2位となったものの、開幕直後は0勝5敗という成績から始まっていたことを思えば、開幕ダッシュの失敗から見事なV字回復を見せ、良いシーズンを送った好例といえよう。

開幕直後は不安定だった益田投手も、最終的には最多セーブのタイトルを獲得

 チーム全体の成績だけでなく、選手個人としても開幕カードからの切り替えに成功し、好成績を残した選手たちは存在する。益田投手は開幕2戦目から2試合続けてサヨナラ打を喫したが、その後もクローザーとして起用し続けた首脳陣の信頼に応え、4月の月間防御率は2.38、5月は同0.90、6月は同1.00と大きく復調。最終的には自己最多の38セーブを挙げ、自身2度目の最多セーブのタイトルにも輝いている。

 また、開幕戦で4失点を喫した山本投手も、続く4月は4試合に登板して防御率1.41と抜群の安定感を発揮。そして、6月以降は全ての月で月間防御率が1点台以下、そのうち4カ月が0点台という圧倒的な投球を続け、その間喫した黒星もゼロ。6月以降にチームが見せた快進撃とシンクロするような驚異的な投球を続け、最多勝、最高勝率、最優秀防御率、最多奪三振と、先発投手の主要タイトルを総なめにしてみせた。

一時の調子だけでは測れない先の読めなさも、野球の魅力

 今回取り上げたオリックスと千葉ロッテは、いずれも開幕ダッシュに成功したとは言い難かった。それにもかかわらず、最終的には両チームともに10個以上の貯金をつくり、最後まで先の読めない優勝争いを繰り広げた。特に千葉ロッテは、開幕直後にはまさにどん底といえるチーム状況だったにもかかわらず、次の月にはすでに貯金をつくっていた点が示唆的だ。

 こうした昨シーズンの例を見るだけでも、開幕直後に不振に陥ったからといって、決して諦める必要はないことがわかる。もちろん、開幕直後から好調を維持し、そのまま勢いに乗るに越したことはない。しかし、半年以上にわたって続く長いシーズンを、最初から最後までチーム状態が良いまま戦い抜くことができる例は、非常に稀であることは確かだ。

 野球は片方のチームしか勝利できないスポーツであり、全てのチームが揃って好調になることはあり得ない。現在は思うように勝ち星を伸ばせていないチームも、昨季のオリックスのように、シーズン途中から一気に成績を向上させてくるかもしれない。一時の状態だけでは測れない先の見えなさが、野球という競技そのものをよりおもしろいものにしていると言えよう。

文・望月遼太

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