ピンチの場面でも「笑顔」で堂々とした投球を続ける
新人らしからぬ存在感は、日に日に高まっている。千葉ロッテのドラフト3位ルーキー・廣畑敦也投手は、春季キャンプからアピールを続け、開幕1軍を掴み取った。即戦力の期待に応え、早くもピンチの場面での“火消し人”としての地位を確立しつつある。
社会人野球の三菱自動車倉敷オーシャンズから入団し、最速154キロを誇る即戦力右腕は、キャンプから1軍に帯同。「自分の球がどれくらい通用するのか、研究して、自分に何ができるかというのを考えながら野球をできる時間というのが凄く楽しいです」。プロの選手たちに囲まれながら過ごす日々は、刺激的で、充実している。
3月31日、福岡ソフトバンク戦の7回に登板し、1回無失点で公式戦デビューを飾ると、2試合目となった4月5日の北海道日本ハム戦では、2点リードの無死一、二塁というピンチを見事無失点で切り抜け初ホールドを挙げた。9日のオリックス戦では7回に1死満塁の場面で登板。紅林を2球で併殺打に打ち取り、追加点を許さなかった。
ピンチの場面でも堂々たるピッチングを披露できるのは、メンタルがタフなのかと思いきや「あまり僕はメンタルというのは分からなくて」と、頭をひねる。「メンタルを気にして野球をやっていないので……。ピンチを抑えたら流れが来ますし、楽しんでいこうというのは心がけています。ピンチで集中して自分の力が出せるというというのは強みでもあるのかなと思います」。淡々と語る口ぶりが頼もしい。
緊張感のある場面でマウンドに上がっても、どこか楽しそうだ。「僕はただただ野球が楽しくてやっているので、自然に(笑顔が)表情に出ます。楽しそうに野球をやっている姿というのをファンの方には見てもらいたいですね」と語る。「楽しく野球をする」というのが廣畑のモットーだ。
味方のミスでサヨナラ負けも「次打ってくれたら大丈夫」
プレー以外でも、自分の役割を考え続けている。6日の北海道日本ハム戦では同点の9回にゲレーロが先頭打者に死球を与えた場面で登板。その後1死一、三塁から左翼線へ上がったフライを高部が判断に迷って捕球できず、サヨナラ負け。廣畑には黒星こそ付かなかったが、肩を落とす同級生に声をかけた。
「判断は難しいですし、年に何回もあるプレーじゃない。その日は『悔しかったよね。次打ってくれたら大丈夫だから』という話をしました。僕は新人ですけど、そういう話をできたりする仲ではあります。(高部は)守備ができない選手ではないので。彼なら絶対、次は上手くやってくれると思っています」
持ち前の明るさで、チームメートとコミュニケーションを深めてきた。「自分から雰囲気を作っていくというのをすごく大事にはしています。どういう声掛けができるのか。どういう表現をしたらいいのかなというのは常に気にしながらやっています」。プレーでもベンチでも、24歳のルーキー右腕が新しい刺激を入れていく。
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