好きな日本語は「高田馬場」 7連敗の埼玉西武救った新助っ人、“瞬間三重殺”に大興奮

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2022.4.11(月) 10:42

埼玉西武のディートリック・エンス※写真提供:Full-Count(写真:宮脇広久)
埼玉西武のディートリック・エンス※写真提供:Full-Count(写真:宮脇広久)

来日初登板初先発で福岡ソフトバンク相手に5回1安打無失点

■埼玉西武 6ー0 福岡ソフトバンク(日本時間11日・ベルーナドーム)

 新助っ人が連敗を止めた。埼玉西武は10日、本拠地ベルーナドームで行われた福岡ソフトバンク戦に6-0と快勝し、連敗を「7」で止めた。来日初登板・初先発した新外国人左腕ディートリック・エンス投手が5回を1安打無失点に抑え発白星。チームを浮上させる救世主となるか。

 最後の1球が、予想もしない結果を呼んだ。2点リードで迎えた5回、エンスは先頭の正木、今宮に連続四球を与え、無死一、二塁のピンチ。ベンチの辻発彦監督は「同点までは我慢しよう」と覚悟を決めた。ところが、続く甲斐が送りバントの構えからバットを引き、バスターを敢行すると、打球はゴロで三塁手・山田の正面へ。三塁ベースを踏んだ山田から、二塁ベース上の外崎、さらに一塁手・呉へと転送され、トリプルプレーが成立。エンスは歓喜の雄叫びを上げ、「初めての経験だったから興奮したよ」と語った。

 打線はその裏に一挙3点を追加。エンスは5回85球、1安打無失点で1軍デビューを飾ったのだった。コロナ禍で来日は遅れたが、3月20日のイースタン・リーグ横浜DeNA戦で初めて実戦マウンドに上がり、4回59球1安打無失点。続いて同27日のイースタン・リーグ楽天戦でも4回83球3安打無失点と、順調に調整を重ねてきた。辻監督は「日本に来て初めての(1軍)登板だから緊張もあっただろうし、下(2軍)で投げる80球の倍くらい疲れたと思う。必死に投げてくれた」と労った。今後は先発ローテの一員として、球数も増やしていくことになる。

85球を投げ直球と得意のカットボールが大半、本来の球速取り戻せるか

 主砲の山川、森を故障で欠き、連敗地獄に陥っていたチームにとっては、救世主となる可能性がある。ただ、辻監督が「相手にしてみれば、映像やデータを見ていたとしても、実際に打席に立った感じは全くわからず、的を絞りづらい面があったと思う」と指摘した通り、この日に限ってのアドバンテージもあった。

 85球中、ストレートが47球(55.3%)、得意のカットボールが29球(34.1%)。この2球種が大半を占めた。その他にはカーブを7球(8.2%)、チェンジアップを2球(2.4%)投げたのみ。“最速156キロ”を誇るが、この日はまだ149キロどまりで状態は上がってきそう。レイズに所属した昨季はメジャーで9試合に登板し、計22回1/3で25奪三振をマーク。来日後のイースタン戦でも2試合計8回で、イニング数を上回る10三振を奪っていたが、この日の奪三振は1。球種の配分が変わらないとすれば、速球が本来のスピードを取り戻せばさらに頼もしくる可能性も高い。

 来日直後から積極的に日本語を勉強。「少しでもしゃべれれば、チームメートも僕に話しかけやすくなるだろうからね」とうなずく。お気に入りの日本語は「高田馬場(たかだのばば)」で、「発音が面白いね。高田馬場駅で降りたことはないけれど、乗り換えたことならあるよ」と笑わせる。

 埼玉西武投手陣は長年“左腕不足”に悩まされ、昨季左投手が挙げた勝利数はわずか2(内海、浜屋が1ずつ)だった。しかし今季は、ドラフト1位の隅田、同2位の佐藤、エンスが既に先発で1勝ずつ稼ぎ、早くも昨季を上回る3勝。チームの5勝中、過半数を占めている。このまま左腕が機能すれば、故障中の野手陣の復帰も相まって、埼玉西武はまだまだ上位を狙えそうだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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