先発・石川の緊急降板を救ったのは今季初登板の尾形、田浦、板東の3人
■福岡ソフトバンク 6ー3 オリックス(5日・PayPayドーム)
福岡ソフトバンクは5日、本拠地・PayPayドームで行われたオリックス戦に6-3で逆転勝ちし、開幕8連勝を飾った。先発の石川柊太投手が1回で緊急降板するアクシデントに見舞われながらも、打線が試合をひっくり返すと、鉄壁のリリーフ陣がリードを守り抜いた。スクランブル登板となった尾形崇斗投手、3番手の田浦文丸投手、4番手の板東湧梧投手の“今季初登板トリオ”が勝利への道筋を描いた。
アクシデントにも動じない“強さ”が今の福岡ソフトバンクにはある。先発の石川は初回いきなり先制点を失い、なおも2死満塁のピンチで足首に異変を訴えて、ベンチへと下がった。治療を終えて続投したものの、押し出し四球で2点目を献上。このイニングはなんとか投げ切ったが、大事をとって1回2失点、27球で緊急降板となった。
週アタマの火曜日に先発が初回でマウンドを降りる緊急事態。この窮地をまず救ったのは5年目の尾形だった。開幕8戦目にして、ようやく迎えた初登板はスクランブル。2回からマウンドに上がると、2死から2連続四球でピンチを招く。3回も四球で走者を背負ったものの、いずれの窮地も粘り強く投げて無失点。2回の攻撃で三森の逆転3ランが飛び出し、1点リードの状況であとのリリーフ陣にバトンを繋いだ。
尾形のあとを受けたのは、こちらも開幕1軍入りしていながらも、今季初登板となった田浦。左打者が並ぶオリックスの上位打線を3者凡退に仕留めると、その裏、三森の適時打などで2点を追加した。5回にはこの日1軍に昇格したばかりの板東がマウンドへ。いきなり杉本にソロを浴び、さらに、1死二、三塁となったが、若月、太田を連続三振に仕留めてリードをなんとか守った。
1軍実績のあるリリーバーが2軍にいても、救援陣は驚異の安定度
ここまで来れば、あとは盤石の“方程式”がいる。この日はモイネロがベンチを外れていたものの、左打者が続いた6回を嘉弥真、7回を津森、8回を又吉で繋ぎ、9回は守護神の森がきっちり締めて早くも6セーブ目。藤本博史監督も「初登板は緊張するし、思った通りにできないことはある。津森もいいし、6回からは安心して見ていられる」と、8投手のリレーで逃げ切った投手陣を称えていた。
これで開幕から8連勝。この8試合で最も失点したのは3月27日の北海道日本ハム戦の4失点で、あとの7試合はすべて3失点以内に抑えている。特にリリーフ陣はわずか3失点しかしておらず、救援防御率1.00と驚異の安定感を誇る。しかも、この日はここまで接戦続きで登板機会に恵まれなかった尾形、田浦が初登板で好投。8連勝の中でも、この1勝が持つ意味は大きい。
福岡ソフトバンクは先発で武田翔太投手や笠谷俊介投手、リリーフでも甲斐野央投手や高橋純平投手、高橋礼投手、泉圭輔投手らが故障や不調でファームにいる。1軍実績のある選手たちが2軍にいる中で、選手層に一抹の不安もあったが、この日の尾形や田浦のように、蓋を開けてみれば、盤石も盤石。中盤までにリードすれば逃げ切れる、という雰囲気がグラウンド上に感じられる。
「僕は雰囲気づくりだけ」という藤本博史監督も「ベンチは明るいムードですよ。マッチも声を出してくれているし、今日は真砂がいきなりヘッドスライディングして盛り上げてくれて、そこに森山コーチが輪をかけて元気を出すんで、すごくいいと思います」と、チームの空気の良さを口にする。緊急事態を乗り越えて、連勝街道を走り続ける福岡ソフトバンク。球団記録の開幕10連勝が、あと2つに迫ってきた。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)
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