パの本塁打王は翌年も活躍する? 過去10年間の数字を検証してみた

2022.3.24(木) 07:00 パ・リーグ インサイト 望月遼太
オリックス・バファローズ・杉本裕太郎選手(C)パーソル パ・リーグTV
オリックス・バファローズ・杉本裕太郎選手(C)パーソル パ・リーグTV

 2021年のパ・リーグでは、オリックスの杉本裕太郎選手が32本塁打を放ち、自身初の本塁打王に輝いた。チームのリーグ優勝に大きく貢献した主砲が、2022年シーズンも活躍を見せられるかどうかは、連覇を目指すチームにとっても非常に重要となってくる。

 さて、本塁打王が2年連続で活躍したケースは、過去にどれくらい存在したのか。今回は2011年以降のパ・リーグ本塁打王が、その翌年に残した成績を振り返っていきたい。

2年連続本塁打王の誕生は10年で三度

 まず初めに、2011年以降のパ・リーグ本塁打王が、同年並びに翌年に記録した本塁打数を確認しよう。

2011年以降のパ・リーグ本塁打王と翌年の本塁打数(C)PLM
2011年以降のパ・リーグ本塁打王と翌年の本塁打数(C)PLM

 以上のように、直近10年で本塁打王に輝いた選手は8名いる。本塁打王の翌年に、本塁打数を1桁まで大きく落としたのは、2012〜13年の中村剛也選手(埼玉西武)と2013〜14年のミチェル・アブレイユ氏(元北海道日本ハム)のみ。しかし中村選手は成績を落とした年は26試合、アブレイユ選手は6試合と、ともに故障によって出場試合数が少なかった。

 そして、2021年を除いた計11回のケースのうち実に8回、5選手が翌年にも20本塁打以上を記録している。さらに、同じ選手が2年連続となるタイトルに輝いたケースも三度。これは中村選手と山川穂高選手(埼玉西武)2名による記録だ。つまり、出場試合数を確保することさえできれば、前年の本塁打王が一定以上の数字を残す可能性は、過去の成績から見て非常に高いと言える。

本塁打ではなく、打率の面では数字を落とす傾向

 続いて、本塁打王を獲得した年とその翌年における、各選手の打率を見ていきたい。

2011年以降のパ・リーグ本塁打王と翌年の打率(C)PLM
2011年以降のパ・リーグ本塁打王と翌年の打率(C)PLM

 本塁打王を獲得した翌年に打率を上げた選手は、直近10年間では2014年の中村選手ただ一人だ。前年の本塁打王ともなれば、当然各種のデータを徹底的に分析されるうえに、相手バッテリーのマークも非常に厳しくなる。前年に大活躍したことの代償として、打率の面では苦戦を強いられる傾向が強いのかもしれない。

 ただし前述の通り、一定以上の本塁打数を維持することが多いのも確かだ。苦しみながらも、並以上の長打力を発揮しているところに、各選手の地力が表れている。以上のことから「本塁打王経験者はその翌年も、ホームランバッターとしての活躍が十分に期待できる」と総括できそうだ。

通算六度の本塁打王「おかわり君」はやはり規格外

 パ・リーグで歴代3位となる六度の本塁打王(2008、09、11、12、14、15年)に輝き、そのすべてが2年連続タイトルである中村選手は、やはり傑出した存在だ。初めて本塁打王となった2008年に描いたアーチは46本だったが、その翌年の2009年には自己最多タイの48本を放ち、自身初の2年連続本塁打王を達成している。

 自身二度目の2年連続本塁打王達成は、統一球の影響で球界全体の本塁打が減少した2011〜12年のことだった。さらに2014年、同僚のエルネスト・メヒア選手と並んで本塁打王に輝くと、続く2015年には3本上乗せして同タイトル獲得という離れ業を演じている。

 中村選手は、2008年まで規定打席到達の経験がなく、それまで記録したアーチは計40本だった。しかし、初のホームラン王に輝いた2008年以降の活躍は周知の通りであり、現役選手最多となる通算442本塁打を積み重ねている。自身初の本塁打王獲得をきっかけに才能を爆発させ、大きく成績を向上させたということだ。2021年に自身初のホームラン王となった杉本選手は、この経歴を良いお手本としたいところだろう。

山川選手も自身初のホームラン王から2年連続タイトル

 中村選手以外で、ここ10年の間に2年連続の本塁打王に輝いたのは、同選手の後輩であり「おかわり2世」の異名を取った山川選手だけである。山川選手は、2018年に47本を放って自身初の本塁打王となると、翌年にも43本を記録し、見事2年連続タイトルを獲得。40本の大台に乗せる高水準をもクリアした。

 3年連続の本塁打王を狙った2020年は不振に陥って数字を落とし、4番の座も中村選手に譲ったものの、最終的には24本を記録。全120試合の短縮シーズンだったことを考えれば、苦しんだ中でも随所で長打力を発揮したと言える。そして、山川選手がそのようなチームの主軸となったのも、中村選手と同じように自身初のホームラン王に輝いた年からだった。

遅咲きの本塁打王は息の長い活躍を続けられるか

 2021年の本塁打王である杉本選手は、規定打席に到達したこと自体がプロ6年目で初めてだった。自身初の規定打席到達で本塁打王に輝いた和製大砲という経歴は、2008年の中村選手や、2018年の山川選手と同じだ。この2名には、その後2年続けて本塁打王を獲得したという共通点もあるだけに、杉本選手にとっては心強い「先例」となる。

 杉本選手は30歳とやや遅咲きの選手ではあるが、現在のプロ野球界はスポーツ医学やデータ分析の進歩によって、選手寿命が以前よりも大きく伸びている。長距離砲として成果を残した先人たちに続き、杉本選手も2年続けての活躍を見せ、リーグ屈指の強打者としての地位を確立できるか。勝負の1年を迎える「ラオウ」が見せる豪快なバッティングから、新シーズンも目を離すことができない。

文・望月遼太

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