第4回WBCがいよいよ開幕する。プールBに入った日本代表のオープニング・ゲームは3月7日のキューバ戦(東京ドーム)だが、熱戦の皮切りはプールAの3月6日のイスラエル対韓国(高尺スカイドーム)だ。大会に参加する全16ヶ国それぞれのロースターを見てみると、日本代表以外のチームにもNPBで活躍している選手、またはかつてプレーした選手が多く名前を連ねている。ここではプールA、Bの中から、国の威信を賭けて世界の舞台での戦いに臨む外国人選手たちを、チーム別でNPB通算成績とともに紹介しよう。(※は予備登録投手)
●プールA
【韓国】
イ・デウン投手(2015年-2016年・千葉ロッテ)
40試合 9勝9敗0S 124.2回 108奪三振 防御率3.97
林昌勇投手(2008年-2012年・東京ヤクルト)
238試合 11勝13敗128S 233回 231奪三振 防御率2.09
呉昇桓投手(2014年-2015年・阪神)
127試合 4勝7敗80S 136回 147奪三振 防御率2.25
李大浩選手(2012年-2013年・オリックス、2014年-2015年・福岡ソフトバンク)
570試合2122打数622安打98本塁打348打点 打率.293
金泰均選手(2010年-2011年・千葉ロッテ)
172試合631打数167安打22本塁打106打点 打率.265
【チャイニーズ・タイペイ】
宋家豪投手(2016-2017年・楽天)
一軍公式戦出場機会なし
チェン・グァンユウ投手(2011-2014年・横浜/横浜DeNA、2015-2017年・千葉ロッテ)
22試合 6勝5敗0S 88.1回 73奪三振 防御率3.67
郭俊麟投手(2015年-2017年・埼玉西武)
33試合 3勝10敗0S 102回 69奪三振 防御率6.00
【オランダ】
リック・バンデンハーク投手(2015年-2017年・福岡ソフトバンク)
28試合 16勝3敗0S 175回 212奪三振 防御率3.14
ルーク・ファンミル投手(2014年・楽天)
7試合 0勝1敗0S 8.2回 7奪三振 防御率4.15
ウラディミール・バレンティン選手(2011年-2017年・東京ヤクルト)
635試合2144打数593安打185本塁打459打点 打率.277
●プールB
【キューバ】
フレデリク・セペダ選手(2014年-2015年・巨人)
72試合129打数21安打6本塁打19打点 打率.163
アルフレド・デスパイネ選手(2014年-2016年・千葉ロッテ、2017年・福岡ソフトバンク)
282試合1010打数280安打54本塁打187打点 打率.277
【オーストラリア】
※クリス・オクスプリング投手(2006年・阪神)
16試合 4勝3敗0S 77.1回 51奪三振 防御率5.12
ミッチ・デニング選手(2015年・東京ヤクルト)
64試合194打数43安打4本塁打22打点 打率.222
「韓国プロ野球で三冠王2度」の看板を引っ下げて来日した李大浩選手の打棒は記憶に新しい。194センチ、130キロの巨体から繰り出されるパワーを生かしつつも、柔らかい打撃が特徴的で、本拠地の広いパ・リーグでも広角に長打を放つ技術を持ち合わせた。2012年には91打点でタイトルを獲得し、2015年には日本シリーズMVPを受賞。昨年はシアトル・マリナーズに所属し、今年は古巣のロッテジャイアンツでプレーする。
バンデンハーク投手は来日1年目に外国人選手枠の関係で一軍デビューが6月中旬と出遅れたが、その後は9勝負けなしの快投を披露。昨年も開幕から勝ち続けて、日本新となるデビューから14連勝の記録を打ち立てた。ただ、故障によりシーズンのおよそ半分を棒に振ったため、フル稼働が期待される今年はどのような成績を残すのか。覇権奪回へのキーマンとなるフル回転は、考えただけで末恐ろしい。
2013年にキューバ政府が自国選手のプロ契約を認めて以降、「最後の大物」と見られていたデスパイネ選手は日本球界でのプレーを選択。2014年に千葉ロッテと交わした契約は7月だったが、わずか45試合で12本塁打と期待に違わぬパワーを見せると、昨季はリーグ6位の24本塁打をマークした。今季は移籍先の福岡ソフトバンクで、勝利への使者として打線に厚みを加える。
プールA、Bでは上記3人の「個の力」に期待したい。韓国代表はメジャーリーガーの招集がうまくできず、現役からはセントルイス・カーディナルスの呉昇桓投手だけ。オランダ代表は黄金の内野陣と直近3年で127セーブを挙げたドジャースのケンリー・ジャンセン投手を擁するが、肝心の先発が不安要素となっている。メジャーでプレーする亡命選手を招集しなかったキューバ代表も、ベストメンバーには程遠い。ただし、国際試合における韓国代表の勝ちへの執念、キューバ代表の勝負強さ、そしてオランダ代表のタレント力は侮ることができない。韓日米の野球を知る李選手は2008年北京五輪、2009年、2013年WBC、2015年プレミア12に出場と経験が豊富だ。バンデンハーク投手は母国以外の3ヶ国を渡り歩いてプレーしている。セスペデス選手は長年キューバ代表の主軸を張り続けてきた。日本のプロ野球でも実績を残した、その実力には疑いの余地がない。彼らは、ダークホース的位置付けのそれぞれのチームをどこまで引き上げることができるだろうか。
また、余談だが、プールAには選手以外にも日本と縁のある人物が顔を見せている。韓国代表の宣銅烈コーチ、チャイニーズ・タイペイの郭泰源監督、オランダ代表のアンドリュー・ジョーンズコーチはいずれも日本で活躍した元選手だ。“オリエンタル・エクスプレス”の異名をとった郭監督は、最速158キロの快速球を武器に1980、90年代の西武黄金期を演出した。メジャーリーグでスーパースターだったジョーンズコーチは、持ち前の長打力で来日1年目の2013年に楽天初となる日本一に貢献している。こうした面々を見ながら、それぞれが活躍した時代を懐かしむのもプールAの楽しみのひとつになりそうだ。
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