「マリーンズの1番は藤原だ! と印象をつけられるよう」 千葉ロッテ・藤原恭大、新背番号でレギュラー獲得を誓う

岩下雄太

千葉ロッテマリーンズ・藤原恭大選手:球団提供
千葉ロッテマリーンズ・藤原恭大選手:球団提供

“マリーンズの1番は藤原だ!”

「いい選手が着けている番号。しっかり活躍して、“マリーンズの1番は藤原だ!”という印象をつけられるように、結果を残していきたいと思います」

 今季から背番号が2番から1番に変更となった千葉ロッテの藤原恭大選手は、強い覚悟を持って2022年シーズンに挑む。

 藤原選手は変更に際して「チームの大事な番号。結果を残せていないですが、いい番号をもらったので頑張らないといけないなと思いました」と身の引き締まる思いになったという。

昨季は「良い部分も悪い部分も出た」

 背番号1を輝かせるためにも、プレー面で示していかなければならない。

 藤原選手の昨季は、「良い部分も悪い部分も出たシーズンだった」と振り返ったように好不調の波が大きかった。

 昨季は開幕一軍を掴むも、打率.161(56打数9 安打)と振るわず、4月22日に一軍登録を抹消。7月3日に再昇格すると、同日の東北楽天戦に「2番・センター」で出場しマルチ安打をマーク。翌4日の東北楽天戦では本塁打を含む3安打4出塁、6日の福岡ソフトバンク戦でも3安打3打点の活躍を見せるなど、7月は月間打率.400(35打数14安打)、1本塁打、5打点の成績を残した。

 東京五輪明けとなった8月も、好調は続いた。後半戦初戦となった8月13日のオリックス戦で2安打すると、同試合から22日の福岡ソフトバンク戦にかけて9試合連続安打(7月6日の福岡ソフトバンク戦からは15試合連続安打)。8月も月間打率.316(57打数18安打)、3本塁打、10打点と、3番を打つ中村奨吾選手につなぐ2番打者としての役割を果たし、7・8月度の大樹生命月間MVP賞に輝いた。

「体の状態が良かった7、8月に結果が出た。改めて体が大事だなと思いました」

 9月5日の北海道日本ハム戦の初回の第1打席に死球を受けるも、そのまま出場を続け、第2打席に犠飛を放った。しかし、4回の守備から途中交代。9月8日に一軍登録抹消となり、9月18日に一軍復帰するも、状態が上がらず。次第にベンチを温める機会が増え、優勝を争った10月はスタメン出場した試合は21試合中わずかに5試合だった。

 9月以降の打率は.087(69打数6安打)。打撃不振に陥った原因はどこにあったのだろうかーー

「バッティングフォームが崩れたというところもありましたけど、体が打てた時と比べて体重、筋肉量がすごく落ちていた。それも大きく影響したのかなと思います」

 9月以降はインサイドを攻められている印象を受け、スタメン出場した10月5日の埼玉西武戦でも第1打席からインコース攻めを食らっていた。そこも関係していたのだろうか。

「自分のなかで崩れたなという試合が北海道日本ハム戦。ホームランを打ったんですけど、その試合でちょっとインコースのボールを引っ張りにいって、そこからホームランを狙いにいって崩れたなというところがあった」

 その試合というのが、8月25日の北海道日本ハム戦(札幌ドーム)。同試合で藤原選手は、左腕の河野竜生投手から右中間スタンドに第5号同点2ランを放つと、続く打席でも左の宮西尚生投手からライト前に適時打。前半戦16打数0安打と苦戦していた左投手からこの試合、2安打した。しかし、この試合を境に「インコースを意識しすぎて、ズレてしまったなと」と、好調だった打撃の状態が徐々に崩れていった。

「そこから本当に修正ができなかったというか、全部(体が)開いて打っていた。それだけではないですけど、シーズン最後まで修正というのができなかった。力不足を感じました」

 その反省を踏まえて「反対方向というのはすごく大事にしていて、バッティング練習、ティーなどは、最初は逆方向から入っていくというのは意識してやっています」と課題克服に励んだ。

 昨年11月にZOZOマリンスタジアムで行われた秋季練習では、打撃周りやロングティー、ティー打撃などで上半身にゴムバンドを巻きつけ打撃練習している姿があった。

 それも課題克服の一環だったのだろうか。「体幹で打つという意識づけと、体が開いていっていたので、固定して打つという意識づけでやっていました」

春季キャンプに向け最高の準備をするも……

千葉ロッテマリーンズ・藤原恭大選手:球団提供
千葉ロッテマリーンズ・藤原恭大選手:球団提供

 新シーズンに向けての自主トレでは、朝から2時間近く体のトレーニングなどで汗を流し、打撃練習は「ここができれば打てるというところをピックアップして練習するくらいで、そこまで大きく変えたことはないです」と、1年間戦うための体づくりを中心に行った。

「今もそうですが、踏み込みというか下半身の力強さというのをすごく感じていて、打球もそうですけど、力が伝わっているなと感じています」

 自主トレで手応えを掴んでいたなかで、春季キャンプ前に新型コロナウイルス陽性判定を受け、石垣島春季キャンプA組スタートの予定がB組スタートとなった。

「ここまで体をつくってきて、ゼロからではないですけど、また戻ってキャンプに入ったので、もったいないなというか……」

 そこをネガティブな感情で終わらないのが藤原選手。「キャンプで戻せるところまで戻してやろうかなと思っています」と前を向いている。

 2月15日からは練習試合がスタートし、開幕一軍入りを懸けたサバイバルレースが本格化する。藤原選手は「ヒットもそうですけど、ホームランも打てるというところを見てもらいたい」と誓う。

 振り返れば、新人時代には“将来は本塁打王を獲りたい”、“スケールの大きな打者になりたい”と話していた。「そこを売りにして入ってきているので、自分のプレースタイルとして変えてはいけない。やり続けたいというか、できる自信もある。そこをなくしたらいいところがなくなる。伸ばしていきたい」と今も、新人時代当時と気持ちは変わっていない。

 入団当時一番のセールスポイントは“足”と挙げるなど俊足も武器にしているが、盗塁に関しても「いいスタートを切れれば、高確率でセーフになるというのがあるので、まずは30盗塁」と目標を掲げる。

 30盗塁を達成するためにも、レギュラーとして試合に出続けていくことがカギとなる。レギュラーを獲るために必要なことについて藤原選手は「1年間出続ける体力面が一番大事」と話す。

「体的にも技術的にも今年は(レギュラーを)獲らないといけないなと思っています。4年目ですし、今年が勝負になると思っています」

 来年には大卒の同学年の選手たちがプロに入ってくる。「先にプロの世界に入っているので、同級生から目標にされるくらいの成績を残して、追われる立場にならないといけないと思います」

 背番号を1に変更し、“勝負となる4年目”の今季こそ、センターのポジションを掴み取って見せる。

取材、文・岩下雄太

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岩下雄太

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