千葉ロッテ・森遼大朗が二軍最多勝→初の支配下キャンプ 美馬の教えで進化した“勝負球”とは

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2022.2.5(土) 11:11

千葉ロッテ・森遼大朗※写真提供:Full-Count(写真提供:千葉ロッテマリーンズ)
千葉ロッテ・森遼大朗※写真提供:Full-Count(写真提供:千葉ロッテマリーンズ)

5年目で初めて支配下選手として迎えるキャンプ

 千葉ロッテに、5年目の“勝負”にかける右腕がいる。このオフに育成から支配下に昇格した森遼大朗投手だ。昨季は2軍イースタン・リーグで10勝を挙げ最多勝を獲得。背番号が3桁の「123」から2桁の「62」になり、ようやく1軍を目指すスタートラインに立った。

 都城商(宮崎)から育成選手として入団して5年目、立場も心構えもこれまでとは全く違ったキャンプを迎えている。「チャンスが巡って来た。なんとかモノにできるよう頑張っていきたい」と、野球人生の勝負所にいることは十分すぎるほど理解している。

 昨年のキャンプは右足の肉離れで戦線離脱と、幸先の悪いスタートだった。ただ終わってみれば、2軍で自己最多の20試合に登板し10勝5敗、防御率3.20という自己最高の1年に。2020年の1勝6敗、3.84から大きく数字を伸ばせた理由は、どこにあったのだろうか。

 先輩“直伝”の変化球が、進化のきっかけだった。以前は見せ球にしか使っていなかったフォークボールを、勝負球に使えるようになったのだ。昨春、小野晋吾2軍投手コーチから「美馬に聞いてみたらどうだ」と助言を受けた。森は身長180センチで、169センチの美馬と体格は大きく違う。ただ共に直球の平均球速は140キロ前半~中盤、シンプルで癖のないフォームからコースへ投げ分ける右腕。いってみれば“普通の投手”がプロの世界を生き抜く術を、美馬はあっさり教えてくれたという。

 握りと投げ方、球を離す瞬間の意識と全てを伝授された。美馬流のポイントは「落とそうとするのではなく、力を抜くイメージ」にあった。「落差が大きくなったのもありますし、コントロールもしやすくなった。抜け感がいいというか。そこがハマったかなと思います」と、ボールの質が大きく向上。念願の支配下昇格を掴む武器となった。

 今年1月の自主トレも美馬と共に行い、フォームに関するアドバイスも受けた。上半身が突っ込まないよう歩幅を狭くするなど「新しい感覚も身に着けることができました」と成長を実感している。

千葉ロッテ・森遼大朗※写真提供:Full-Count(写真提供:千葉ロッテマリーンズ)
千葉ロッテ・森遼大朗※写真提供:Full-Count(写真提供:千葉ロッテマリーンズ)

同期入団の和田は2020年に支配下登録「自分も早く行けるようにと思っていた」

 千葉ロッテには育成選手が育っていく土壌がある。かつては岡田幸文外野手(現楽天コーチ)が1軍通算910試合に出場、外野の名手としてゴールデングラブ賞を受けるまでになった。昨季も本前郁也投手が開幕前の3月に、植田将太捕手が8月に支配下登録された。現在の育成選手にも、昨季2軍で18セーブを挙げタイトルを獲得した小沼健太投手、森に次ぐチーム2位の7勝を挙げた左腕・佐藤奨真投手と結果を残し始めた選手がいる。

 そして、森とは同期入団の和田康士朗外野手も、2020年に支配下昇格。昨季はパ・リーグ盗塁王にも輝くなど、出世街道を駆け抜けている。森は「自分も早くそっち側に行けるようにと思ってやっていました」と、身近な出世が刺激になっていたとする。さらに、千葉ロッテの育成選手が結果を残せる理由を「監督、コーチが凄くマンツーマンで親身になって指導してくださるので、自分の悩みも相談させてもらえます。そういうところが結果に繋がるのかな」と、分析した。

 今季から背負う背番号「62」は、同じ九州出身で、昨季限りで戦力外となった永野将司投手(九州国際大-Honda)が付けていた番号でもある。7学年上の同期から、背番号を受け継ぐことには「凄く仲良くさせてもらっていたので、自分的には嬉しい反面、ちょっとさみしい気持ちもありました」。永野氏に報告すると「頑張れよ」と背中を押された。

 心機一転し、迎える球春。「まずは初勝利を目指して、チームを優勝に導けるような成績を残せればいいなと思います」。次は1軍の舞台で、勝ち星を積み上げていく。

○森遼大朗(もり・りょうたろう)1999年4月22日、宮崎県都城市生まれ。都城商から2017年育成ドラフト2位指名を受け千葉ロッテに入団。2021年はイースタン・リーグで10勝を挙げ最多勝投手に。21年12月9日に支配下契約を結ぶと発表された。背番号は「62」。身長180センチ、体重87キロ。右投げ右打ち。

記事提供:Full-Count

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