【PR】「上に立つものは、誰とでも分け隔てなく話せないといけない」。楽天イーグルス・嶋基宏選手インタビュー(前編)

秋山健一郎

2018.5.19(土) 06:00

東北楽天ゴールデンイーグルス・嶋基宏選手【撮影:兼子美紀弘】
東北楽天ゴールデンイーグルス・嶋基宏選手【撮影:兼子美紀弘】

新シーズン開幕から早くも2カ月近くが経過した。昨季は夏場までリーグ首位に立ち、ペナントレースを大いに盛り上げた楽天イーグルスだが、今季は序盤戦を終えて最下位と苦戦が続く。主将を務める嶋基宏選手は今、何を思い、感じながらグラウンドに立っているのだろうか。まずは、扇の要としての心構えと、あるべき立ち振る舞いについて語ってもらった。

若手からの刺激も自身の糧に

2月の楽天イーグルスの沖縄・久米島キャンプ。ファームが使用する仲里野球場のお昼どき。ランチ特打に取り組む嶋選手の姿があった。

かつて痛めた右ふくらはぎの状態を考慮し、二軍キャンプでシーズンのスタートを切っていたためだ。ルーキーイヤーから一軍キャンプに参加していた嶋選手にとって、これはプロ入り初めてのことだった。

仲里野球場は、一軍が使う久米島野球場に比べるとファンも報道陣も少ない。落ち着いた雰囲気の中で嶋選手は一球一球じっくりとバットを振り、静かな球場に快音が響く。打ち終えると、外野で打球を処理していたスタッフからも見えるよう、高く掲げた両手を振って、「ありがとうございました!」と大きな声で礼を述べた。“イメージ通り”のナイスガイぶりで、見学に訪れた地元ファンを魅了する。

自身の健康状態から選択することになった二軍スタートだったが、日頃なかなか話すことのない若い選手とコミュニケーションを図る格好の機会になると考えた嶋選手は、「自分よりも若い選手たちを〈下の名前〉で呼ぶ」というマイ・ルールを設け、距離を縮めることに努めたという。

「高卒で入団した18歳の選手のような、若い世代の選手と話すタイミングはなかなかないので、そんな取り組みをしてみたんです。最初は気持ち悪がられたりもしたんですが(笑)、だんだんみんな慣れていって。
僕が新人だった頃を思い返すと、ベテラン選手は怖いという印象を持ってしまって、話しかけられずにいたんですよ。今はキャプテンをさせてもらってもいますし、そういう壁をなくしていくのは僕の務めだと思ったので。
ピッチャーとは、シーズンに入ってバッテリーを組む可能性もありますから、いい関係を築いておくに越したことはないですし、それ以前にいろいろな選手と話をすることで、僕自身の幅も広がると思ったんです。何よりも、上に立つものは、誰とでも分け隔てなく話せないといけないというのが、信条としてあったというのもあります。」

そんな気遣いが功を奏し、キャンプ序盤は遠慮が見られた若手選手から、質問されることも増えていったという。

「『これができるようになるためには、どういう練習したらいいですか?』とか、『嶋さんが自分ぐらいの歳のころ、どんな練習をしていましたか?』とか。そんな質問を多く受けましたね。少しずつですが、そういう関係性が生まれていったので、今回キャンプをファームでスタートさせてもらえたことは本当に意味があったと思っています。」

東北楽天ゴールデンイーグルス・嶋基宏選手【撮影:楽天イーグルス】
東北楽天ゴールデンイーグルス・嶋基宏選手【撮影:楽天イーグルス】

確かな信頼の積み重ねが勝利へとつながる

キャンプ期間を共に過ごした若手選手たちは、嶋選手と交わした言葉はもちろん、日々目にした、周囲への配慮を欠かさないその姿勢などからも、影響を受けたのではないだろうか。

年間143試合を戦うプロ野球。チームとして過ごす時間は長く、確かな信頼関係がなければ、チームがひとつとなり勝利をつかみ取ることは難しい。良い関係をつくっていくには、嶋選手が見せたような能動的なコミュニケーションが欠かせない。

「ユニホームを着て、グラウンド上で過ごす時間で築かれる関係もあります。でも、それがすべてではありません。ユニホームを脱ぎ、グラウンドの外でかわすコミュニケーションでいい関係ができることもあるんじゃないかと思います。」

試合が終わり、遠征先のホテルで食事をしているとき、自然な流れでその日の試合の話になっていくことも少なくないという。翌日試合があるときは難しいが、試合がないときには、ビールを飲みながら、思い思いに日頃感じていることを話しあうこともあるのだそうだ。

「オフなどには、選手同士で釣りに出かけて、そのあと食事にいってビールを飲みながら話をすることもあります。大好きなビールを飲みながら話していると、同じ野球の話でも、グラウンド上でのものとは違った感じになったりするので、僕はそういう時間も大事にしていますね。」

(中編)「すぐ熱くなるし、入り込みすぎてしまうのが本来の自分」
(後編)「プロなので、すべての努力は球場での結果にしてみせないといけない」

東北楽天ゴールデンイーグルス・嶋基宏選手【撮影:兼子美紀弘】
東北楽天ゴールデンイーグルス・嶋基宏選手【撮影:兼子美紀弘】

嶋選手プロフィール

嶋 基宏(しま もとひろ)/捕手
1984年12月13日生まれ。33歳。岐阜県出身。179センチ82キロ。右投右打。
小学生時に投手として野球を始め、中学では軟式野球部の全国大会出場を経験。中京大中京高校3年春には二塁手でセンバツ出場を果たした。国学院大学で捕手へ転向し、3年時に東都大学野球春季リーグ戦で首位打者を獲得する。2006年大学生・社会人ドラフト3巡目指名で楽天イーグルスに入団し、翌07年に開幕一軍入りを果たすと3月28日(対福岡ソフトバンク)のデビュー戦で初安打を放った。10年と球団創設初の日本一に貢献した13年にベストナインとゴールデングラブ賞を同時受賞し、オールスターには通算で8度選出されている。

【通算成績】1264試合 857安打 23本塁打 284打点 打率.245 長打率.303 出塁率.330
※成績は5月18日現在

提供:サントリービール

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